この記事ではシュタイン行政学についてわかりやすく解説していきます。
シュタイン行政学
以前、官房学について解説しました。
⇒官房学とは?わかりやすく解説
・警察学
・財政学
に分けてその中で警察学として福祉行政学、
経済政策、社会政策ということを官僚の人たちが学んでいきます。
そのあと出てくるのがシュタイン行政学ということになります。
シュタインはドイツの国家学者であり、
行政学者であり、財政学者です。
ちなみに明治時代の伊藤博文はシュタインの授業を
受けに行っていたようです。
憲法や行政法の授業です。
どうして伊藤博文はシュタインの授業を受けていたか?というと
箔をつけるためです。
「あぁ、シュタインのもとで勉強をしてきたんだ」
みたいな感じです。
ところでシュタイン行政学はヘーゲルの影響を受けています。
⇒ヘーゲルの弁証法についてわかりやすく解説
ヘーゲルは一元的国家論です。
一元的国家論は国家は社会、その他の集団に対して
特権的な立場にあるという考え方のことです。
ということは今回解説するシュタインの学説も一元的国家論になっていくわけです。
社会に対して国家が優位な立場にあるという話になっていきます。
シュタイン行政学|国家と社会の関係
シュタインにとって国家というのはどんなものか?
というと、人格をもった倫理的な共同体です。
ある意味人間みたいなものです。
それに対して社会というのは何でしょう?
ヘーゲルの言葉を借りれば
社会というのは欲望の体系、あるいは欲求の体系です。
ということは片方の国家が倫理的であるとすれば
社会というのは非倫理的なものとしてシュタインは考えています。
他人を踏み台にして自らを高めるという
そういうものとして社会を装丁しているということです。
ここでいう社会とは資本主義社会の事です。
そうなると倫理と非倫理的なものの対立が生まれるわけです。
シュタイン行政学|国家はどんな原理で動いているのか?
以前解説した官房学の内容とあわせてまとめますね。
⇒官房学とは?わかりやすく解説
官房学があってそれが警察学になるわけです。
さらに警察学を2つに分けました。
憲政(けんせい)と行政です。
憲政とは何か?というと国家意思の形成です。
一番近い概念は政治です。
これに対して行政とは国家意思の実行です。
では国家意思とは何を指しているのか?
というと法律であったり予算であったりです。
なので憲政と行政というのは政治と行政という言葉に置き換えることができます。
憲政(政治)が法律や予算を作って
行政は法律や予算を実行するってことです。
政治が決めたことを行政が実現していく。
それが行政学だということです。
シュタイン行政学まとめ
ここまで解説してきたことを図で表すと以下のようになります。
![シュタイン 行政学](https://www.management-consultant.info/wp-content/plugins/lazy-load/images/1x1.trans.gif)
国家があって社会がある。
社会というのは不平等で非倫理的です。
階級社会です。
いろんな社会問題を抱えています。
その社会問題をどうやって解決していくか?
というところで出てくるのが憲政という活動なわけです。
社会の中から憲政という活動が起きてきて国家に対して働きかけていく。
ではどうして国家に働きかけるか?
というと国家は倫理的なわけです。
もう1つ、国家は中立的でもあります。
だから国家に働きかけるわけです。
中立的でないところ、偏ったところに働きかけたら
働きかけた人が不利益を被るかもしれませんからね。
たとえば、あなたが働いている会社に
残業代を払ってくださいっていったら
その会社は「わかりました」とならず
もしかしたらクビにされるかもしれませんし
逆に給料を下げられるかもしれません。
それは中小企業レベルだと社長が神様的な存在で
社長に反抗してくる人材はみんな敵だからです。
話を元に戻して
国家が決定したことが今度は行政という形で
社会にフィードバックされてきます。
![シュタイン 行政学](https://www.management-consultant.info/wp-content/plugins/lazy-load/images/1x1.trans.gif)
社会で不平等で非倫理的な問題がいっぱい起きている。
その問題を解決するために個人の政治参加があるわけです。
憲政によって働きかけられた国家は政策決定をして
その政策は行政という形で社会にフィードバックされていく。
つまり社会の問題を解決していくってことです。
そういう意味で行政って何か?というと
国家の労働だということです。
ポイントになるところは何か?というと
憲政と行政だったらどっちが上なのか?というところです。
結論は対等の関係になります。
どちらが優位というわけではありません。
対等の関係だということです。
問題があったら問題解決という形で
フィードバックされてくる。
そういう関係になっています。
ここが行政法との違いになります。
今回の記事は以上になります。