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1次試験

サイモンの意思決定論についてわかりやすく解説




サイモンは経済学者です。
1978年にノーベル経済学賞を受賞してます。

サイモンさんは前回解説したバーナードさんの影響を
強く受けているということもあって、
まとめてバーナード・サイモン理論と言われたりします。
バーナードの組織論をわかりやすく解説
バーナードの組織論の具体例

以下、サイモンの意思決定論を具体的に見ていきましょう。

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サイモンの意思決定論:限定合理性

人間というのはできる限り合理的に意思決定しようとするけど、
合理性に限界が存在するために完全に合理的な意思決定をすることができないという
人間を仮定することを限定合理性といいます。

「???」となった方がほとんどでしょう。

そこで具体例を挙げてみますと、、、

サイモン

たとえばあなたが卵を買おうとスーパーに行ったとしましょう。
普通、合理的な人間というのは1円でも安く買いたいと思うものです。

Aというスーパーだと卵が10個1パック130円で
売られていたとしましょう。

ところが、Bというスーパーでは
卵が1パック120円で売られていた、
さらにCというスーパーでは110円で売られていたとします。

これを知っている人からすれば
Aというスーパーで130円で卵を買ってしまったら
合理的な人間ではないとなってしまいますね。

でも、情報収集能力に限界があるから仕方がありません。

つまり意思決定のために
必要な全ての情報を事前に収集することはできないから
仕方のないことです。

サイモンの人間観

たとえばAというスーパーで卵を買ったとします。
買った生卵を使って卵かけご飯を作って食べたら
食中毒を起こしたとしましょう。

詳しく調べてみたら
スーパーで販売されている時点で
卵がサルモネラ菌に侵されていたとします。

ただ近所のおばちゃんからしてみたら
「腐った卵に130円支払うなんて・・・残念な人」
と思う可能性は否定できません。

ですが、計算能力に限界があるから仕方がありません。
人間というのは意思決定に基づいた行動の結果を
すべて完全に事前に予想することはできないから仕方のないことです。

つまり、できる限り合理的行動しようとするけど
結果的にみたら合理的であるとは限らないってことです。
こういうのを限定合理性といいます。

限定合理性って要するに普通の人間のことですね。

ではどうしてサイモンさんは
わざわざ当たり前の話をこんなに難しい言葉を使って
解説しているのでしょう。

そうじゃない人間を仮定する学問があるからです。
それが『伝統的な経済学』です。

当サイトではミクロ経済学の記事をたくさん書いていますが、
ミクロ経済学では完全合理性を前提にしています。

完全合理性というのは神様レベルの合理性で
情報収集能力も計算能力も限界がない人のことです。

これは現実問題としてはあり得ません。
ですが、経済学という学問は最終的には市場の分析というのが
目的なので、人間については完全合理性を仮定します。

なので、完全競争市場みたいなのが成立するわけです。
完全競争市場の4つの条件についてわかりやすく解説

で、完全合理性から出発してしまうと
なぜ企業が人の集まりになっているかとか
企業行動に違いが出るのか、説明ができないんです。

完全合理性から出発してしまうと一人企業にならないとおかしいからです。
完全合理性と仮定すると、その人は神様なわけです。

となると一人で情報収集して
一人で完全な予測して意思決定する人となります。

となると企業が人の集まりになっている理由が
なくなってしまうわけです。

そのため、完全合理性だと1人企業にならないといけませんし
企業行動に違いが出ません。

なぜならみんな世界のことを知っていて将来のことを
予測できるから、同じ意思決定になるはずだからです。

だから完全合理性を仮定してしまうと
一人で最適な意思決定ができてしまうから
どうして企業が人の集まりになっているのかとか
どうして企業行動に差が出るのか?説明がつかなくなります。

サイモンは経済学者ではあります。

ですが、企業の話をするためには経済学がとっている
完全合理性という前提を外さないとだめだとサイモンさんは考えました。

そこで代替案として限定合理性をサイモンさんはとったのです。

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サイモンの意思決定論:意思決定のプロセス

サイモンは経済学者でもありますが、
人工知能の基礎的な研究をやっていた人でもあります。

なので、以下のようなことを考えるのはサイモンの得意分野です。

サイモンの意思決定プロセス

どういうことかというと、人間の意思決定というのは
問題の認識があり、次に代替案の探索があり、次に代替案の評価があり、
それから代替案の選択があり、最後に実行するというループの繰り返し

だということです。

わかりやすく例を挙げるとすると、
あなたは大学生だとします。

大学を卒業するので
就職したいから就職先を探すなら、
これは立派な問題の認識です。

次に、就職先候補を探すでしょう。
これは代替案の探索です。

ただ、あなたは神様ではありません。
情報収集能力に限界があります。
自分がやりたい仕事を探すのはもちろんのことですが、
他にも有給休暇をしっかり取得できるか、給料はいくらか
残業はあるのかないのか。ボーナスはあるのか、
パワハラ上司はいないかいろいろ・・・望みはあるでしょう。

あなたにとってもっとも希望にかなった会社を見つけて
就職したいわけですね。

でも、困るのはあなたにとってのベストな就職先が
あなたが住んでいる地域であればいいですが、
もしかしたら、海外かもしれません。

ただ、ベストな就職先を見つけるために
プラハとか、

代替案の探索

ニュージーランドとか、

ニュージーランド

コロンビアなどにいって

コロンビア

就職先を探すわけにもいきません。

つまり情報収集能力に限界があるから
大学の就職課に行くなどして
その中から、あなたに合った就職先を探すしかないわけですね。
これが代替案の探索です。

次に代替案の評価をします。

一昔前までは終身雇用といって、
一度就職したら、その会社を辞めるのは定年退職時です。

40年近くその会社で働くことになりますから、
この会社に就職したら将来、
どんどん規模が大きくなって給料は増えるだろうか、
自分は社長になれるだろうか?
みたいなことを予想していくわけです。

でも、ここで困るのが、
あなたは普通の人間で計算能力に限界があります。

今はこの会社は上場企業で株価もどんどん上がっている。
でも、就職して1年後くらいに倒産するかもしれないわけです。
こういったことを予想しようとするけど、
普通の人間で計算能力に限界があるから予想しきれません。

そこで代替案の選択をするときにどうやって選択するか?
これをサイモンさんは満足化原理という形で
説明しています。

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サイモンの意思決定論:満足化原理

限定合理性から出発すると満足化原理に基づく
意思決定をせざるを得ません。

満足化原理では、意思決定のときに一定の目標水準を定めます。
その目標水準を達成できる代替案を発見した時点で
新たな代替案の探索を中止して、
それを選択するという意思決定方法が満足化原理です。

先ほどの就職の例でいうと、
就職先を探すときにあなたにとってベストな会社に
おそらく就職できないわけです。

情報収集能力に限界がありますからね。

そこで、あなたにとって満足できる水準を
まず先に決めます。

年収は300万円以上で
週休2日制で
通勤時間が電車で1時間以内で
みたいな感じです。

そして、候補となる就職先に片っ端から
応募してみるわけです。

それで面接にこぎつけたら、
実際にその会社に行ってみて、担当者と話してみたりして
あなたにとって満足できる水準を超え
しかもそこの就職試験にパスした最初に会社に就職するというやり方が
満足化原理です。

ちなみに
経済学が想定している完全合理性から出発した場合には
最適化原理に基づく意思決定をします。

サイモンの意思決定プロセス

完全合理性というのは神様だから
代替案の探索のときに情報収集能力に限界がありません。

世界中の就職先からあなたにとってベストな会社を
調べることができます。

代替案の評価をするときにも神様で
計算能力に限界がないから
その就職先が将来、どれくらい大きくなるか、倒産するか
全部わかるわけです。

だから選ぶときには最適化といって
全就職先候補の中からベストワンの会社を選べます。

でも実際は限定合理性なので
満足化原理に基づく意思決定をせざるを得ないと考えます。

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サイモンの意思決定論:階層化

「今日からあなたをペットショップの店長にします。
年収は1000万円です」

「でも条件があります。
あなたは店長だから、犬の仕入れとか猫の仕入れなど、
スタッフの雇用など、全部意思決定してください」と言われたとしましょう。

でも、1人で全部意思決定することは無理です。
1人で意思決定しようとしたら
集めないといけない情報だっていっぱいあるでしょう。

たとえば犬を仕入れるとなったら
ミニチュアダックスフンドの相場価格を
知っておかないといけませんし
今需要があるかどうか?も知っておかないといけません。

従業員の労働時間や休日などについても
把握しておかないといけません。

でないと働かせすぎたら
スタッフの誰かが労働基準監督署に言いに行き
結果、労働基準監督官から調査を受けることにもなりかねません。

売上の管理だってしっかりしておかないと
ペットショップが赤字になっているかもしれません。

他にも全部の情報を知っておこうと思ったら
それこそ無限の情報を追いかけないといけないでしょう。

こんな感じでいろんな情報を全部把握するのって
限界がある
わけです。

だから一人で意思決定することって普通出来ません。
そこで実際の会社ってどうしているのか?というと
組織っていうのは必ず組織目的ってのがあります。

たとえば利潤追求とか。

仮に利潤追求だったとして
次に利潤追求するための手段を考えます。

たとえば研究開発するとか、よい製品を作って売るとか。
次に製品を売るとなったら手段を考えます。
グーグルやヤフーに広告を出すとか
市場調査するとか、飛び込み営業するとか。

こうやって分解して人を割り当てていきます。
製品を開発するなら開発部長、
商品を宣伝するならマーケティング部長とか。

こうやって意思決定する範囲を狭めていくわけです。

たとえばマーケティング部長だと、
製品を売るという目的を果たすために
広告宣伝についてだけ
情報を収集し予測して意思決定するということをやっています。

つまり一人一人の個人というのは限定合理性を持っているわけですけど
限定合理性を持っている個人が意思決定の範囲を狭めることで
全体としてできる限り合理的な意思決定を行う、
そのために組織が形成されると考えます。

これが組織が階層化構造を持っている理由です。

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サイモンの意思決定論:意思決定の種類

サイモンは意思決定の種類を

・定型的意思決定
・非定型的意思決定

の2つに分けました。

まず定型的意思決定というのは
プログラム化ができる意思決定のことです。

定型的意思決定

たとえば、ガストなどのファミレス。
どこのお店に行っても同じ味のハンバーグが食べれます。
これはマニュアルが存在するからできることです。

ガストの店員さんが日常遭遇する意思決定問題というのは
ハンバーグをどう焼くか?です。
ハンバーグの焼き方っていろいろあるはずです。

ですが、店員さんがそのたびごとに意思決定していたら
失敗して焦がしてしまうかもしれません。
味もバラバラになるでしょう。

そこで定型的な意思決定はマニュアル化して
やり方を決めたほうがよいわけです。
そうすればそのたびごとに意思決定する必要がなくなりますし
お客さんも安心していつもの味を味わうことができます。

これに対して非定型的な意思決定は
プログラム化が困難な意思決定で
上位者が判断するものを言います。

たとえば他の地域にガストの新店舗をオープンさせるとか
売上が落ちているから、退店をするかどうかとかです。

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サイモンの意思決定論:決定前提

サイモンによると人間の意思決定をする前段階に
決定前提があるといいます。

で、決定前提が決まると
意思決定は自動的に導かれます。

決定前提には2種類あります。

決定前提には

・価値前提
・事実前提

の2種類があるんです。

たとえば、大学4年生が、大学院に行かないで働くという
意思決定をしたとしましょう。

価値前提としてはその人は大学院に進学しても意味がないとか
就職してお給料をもらった方が素晴らしいと思ったりする前提です。

事実前提というのは
その人は大学院に行くための頭がないかもしれませんし
学費を支払うだけの経済的余裕がないという前提です。

以上で解説を終わります。