会社法上の会社は以下の4つです。
会社法上の会社は
・株式会社
・合名会社
・合資会社
・合同会社
の4つです。
ところで「株式会社ってどんな会社だったっけ?」
と株式会社の勉強をするときには
株式会社とちょうど対極にある合名会社と比較しながら
おさえていくのが効率的です。
そこでこの記事では株式会社と合名会社の違いについて
解説します。
株式会社と合名会社の違い1:社員の責任
注意して欲しいことがあります。
日常用語で社員といった場合、その会社の従業員のことを意味しますね。
でも法律用語で社員といったら働いている従業員のことではなくて
出資者のことをいいます。
株式会社の出資者のことを株主といいます。
つまり法律的には株式会社の社員=株主ってことです。
で、株式会社の社員である株主の責任は有限責任です。
「有限責任って?」と疑問に感じる方もいるでしょう。
たとえば、もしあなたが500万円持っているとしましょう。
そこで、株式投資をしようと
A自動車株式会社の株を500万円分買ったとしますね。
するとあなたはA自動車株式会社の出資者(株主)なので社員となります。
そして500万円分の株を買った1か月後に
仮にですけど、A自動車株式会社が100億円の借金を抱えて倒産したとしましょう。
このときに株主であるあなたの責任はどうなるでしょう?
まずあなたが買った500万円分の株はただの紙切れとなります。
つまり、500万円を失います。
ですが、A自動車株式会社自体が負っている100億円の借金について
株主であるあなたが返済をする義務を負わされるか?というと
負わされません。
これを有限責任といいます。
つまり、株主というのは自分が出資した額を限度としてしか
責任を負わないってことです。
これに対して合名会社の社員の責任は無限責任です。
無限責任とはどういうことでしょうか?
たとえば、あなたが500万円持っていて、
あなたの友達も500万円持っていたとしましょう。
で、お互い気が合うので
2人で500万円ずつ出し合って会社を作ろうという話になりました。
そこでA合名会社を設立したとしましょう。
設立後、あなた経由で1億円の借金を作ってしまい
返済ができず倒産してしまったとします。
このときあなたが負うべき責任はどうなるでしょう?
株式会社と違って、あなたが出資した500万円をあきらめるだけではすまないです。
その会社の1億円の借金を自分の家や土地、車を売ってでも
返済する責任があるんです。
だからいくらになるかわからないという意味で
無限責任と言います。
連帯保証人の考え方に近いです。
株式会社と合名会社の違い2:持分の譲渡
株式会社は原則として譲渡は自由です。
そして株式会社の中でも大企業の場合には証券の流通性も確保されています。
どういうことかというと、
たとえばあなたがA自動車株式会社の株を500万円分買うとしましょう。
でも、あなたは急にお金が必要になり、自分が買った株を他人に売るとしましょう。
これを持分の譲渡といいます。
株式会社だったら、原則持分の譲渡は自由なんです。
売りたいときにだれに対してでもいつでも売ることができます。
上場企業だったら、証券取引所ですぐ売ることができます。
では合名会社はどうなるでしょう?
たとえば、あなたが500万円持っていて、
あなたの友達も500万円持っていたとしましょう。
で、お互い気が合うので
2人で500万円ずつ出し合って会社を作ろうという話になりました。
そこでA合名会社を設立したとしましょう。
あなたが何らかの原因でお金が必要になり、
500万円分の出資を誰かに売りたいというとき
株式会社と違って自由に売ることができません。
他の出資者の承認が必要になります。
どうして必要になるのでしょう?
合名会社というのはあなたと一緒に設立した人との間に信頼関係があるという前提で
設立するものだからです。
ということはあなたがよくわからない、
信頼関係のない人に500万円の出資を売ってしまったら
一緒に設立した人は無限責任を負っているわけですから
怖いわけです。
だから合名会社の場合には他の出資者の承認がないと
持分の譲渡はできないという規定になっています。
株式会社と合名会社の違いまとめ
こういう風に合名会社と株式会社は対極の関係にあります。
一般的な社会というのは1億円とか2億円という高額な貯金はないけど、
100万円程度の貯金ならあるという方が多いでしょう。
そんな方にとっては
合名会社よりも株式会社の方がお金を出しやすいわけですね。
株式会社は有限責任でリスクの上限が決まっているし
売りたいときに売ってお金に換えられるわけです。
でも合名会社の場合には売りたいときに売れないかもしれないし
会社が損失を被ったら無限に責任を負わされ、
自宅まで奪われるかもしれません。
だから株式会社というのは社会の遊休資本を集めるのに
適した制度なんです。
したがって、株式会社というのが
現代会社制度の中心になっています。
ちなみに世界初の株式会社は
17世紀初頭の東インド会社です。
日本初の株式会社は諸説さまざまありますが
一般的には1872年にできた第一国立銀行です。
国立とついてますが、民間の会社です。
以上で解説を終わります。