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動物関係

猫のトキソプラズマの検査方法や原因症状について獣医師がわかりやすく解説

猫 トキソプラズマ 検査




トキソプラズマ。
猫の診察をしているとたまに遭遇する感染症です。
特に人間の妊婦さん、あるいは妊娠の予定がある方にとって
猫のトキソプラズマのことが気になっているでしょう。

トキソプラズマ=流産
みたいなイメージがあるからです。

そこで今回の記事ではトキソプラズマの検査方法や原因症状について
獣医師である私がわかりやすく解説したいと思います。
プロフィールと当ブログを作ることになったきっかけ

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猫のトキソプラズマ原因

トキソプラズマは
『トキソプラズマ・ゴンディ(Toxoplasma gondii)』
という寄生虫が原因で起こる病気です。

寄生虫にはいろんなタイプがあるのですが、
トキソプラズマは原虫の仲間です。

原虫というのは単細胞生物の一種です。
ゾウリムシとかアメーバはトキソプラズマと同じで原虫の仲間です。

それからトキソプラズマは人獣共通感染症です。
人獣共通感染症とは同じ病原体によって
人間と人間以外の脊椎動物の双方でかかる感染症のことです。

人獣共通感染症はトキソプラズマ以外に狂犬病が有名ですね。
他にも皮膚糸状菌症というカビが原因で起こる皮膚病も
人獣共通感染症の一種です。

話を元に戻しますね。
トキソプラズマは猫などの猫科動物が終宿主になり
人間とか豚などの哺乳類とか鳥類まで
いろんな動物が中間宿主となります。

おそらく「中間宿主(ちゅうかんしゅくしゅ)とか終宿主(しゅうしゅくしゅ)って何?」
と疑問に感じた方もいるでしょう。
宿主とはウイルスなどを含んだ寄生生物が
寄生する『相手の生物』のことです。

トキソプラズマにおいて宿主(相手の生物)は人間とか猫、豚です。

そして

宿主には

・中間宿主
・終宿主

があります。

中間宿主とは幼生期の一時期を過ごすものです。
大人になるまでいないってことでもあります。

これに対して終宿主とは
最終的に寄生する相手の生物のことです。
繁殖を行う最後の寄生先のことという意味でもあります。

トキソプラズマ引用元:国立感染症研究所
https://www.niid.go.jp/niid/ja/kansennohanashi/3009-toxoplasma-intro.html

引用元:国立感染症研究所

上の画像をご覧ください。
緑色の粒1つ1つが原虫です。
気持ち悪いですね。

トキソプラズマ引用元国立感染症研究所
https://www.niid.go.jp/niid/ja/kansennohanashi/3009-toxoplasma-intro.html

引用元:国立感染症研究所
それから上記画像のような形でトキソプラズマは
生活しています。

まず猫などの猫科動物の腸で増殖して
糞便中にオーシストを排泄します。
オーシストはトキソプラズマの卵というイメージでOKです。

そして排泄されたオーシストは外で育ちます。
猫とか人間の体の中で成長するわけではないってことです。
猫がしたウンチの中でオーシストは成長します。
数日くらいで感染力のある
成熟オーシストになります。
そして成熟オーシストが口に入ることで感染が成立するのです。

このように書くと「うんちなんて誰も食べないでしょ!」
って思う方もいるかもしれません。

ですが、うんちを直接食べてなくても
うんちの周りの土とか水に成熟オーシストがくっつくこともあります。
あるいは成熟オーシストが野菜とか果物にくっつく可能性があります。
そんな感じで成熟オーシストがついた野菜や土、水などを食べると感染するわけですね。

それこそ毛についた成熟オーシストを舐めるとかでも感染します。

感染しているネズミとか鳥とか動物の生肉を
食べても感染するでしょう。
生の豚肉を食べたはいけない理由がここにあります。

で、もし成熟オーシストが人間や動物の体内に入ってしまうと
脳、心臓、骨格筋(筋肉)などで成長しシストという状態になります。

ちなみに終宿主である猫ちゃんは一度感染したら免疫ができます。
なんどえ最初のうちはオーシスト(卵)を出しますが
免疫ができたあとは虫卵を出さなくなります。

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猫のトキソプラズマ予防方法

猫のトキソプラズマの予防方法は

・感染した猫ちゃんのうんちに触れない
・猫ちゃんにも生肉を与えない

といった感じで感染源と接触させないことが大事です。

ちなみに人間の妊婦さんの場合、
お腹の赤ちゃんに問題が出るような感染というのは
妊娠中に『初めて』トキソプラズマに感染した場合だけだといわれています。

過去妊娠6ヶ月以上前にトキソプラズマに
かかったことがある場合には
免疫(抗体)がお母さんにできているようです。
そのためトキソプラズマの増殖が抑えられて
血液中にトキソプラズマが出てこないといわれています。

それから猫科動物から排泄されたオーシストは
空気に触れて胞子形成して
24時間から3週間くらい経って
初めて感染能力を持つ成熟オーシストになります。

なので猫ちゃんがしたうんちを『すぐに』片付ければ問題ありません。

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猫のトキソプラズマ症状

健康な猫ちゃんだと無症状です。
ただ猫白血病とかストレスなどで免疫が落ちているとか
ステロイド治療を受けているなどで
免疫が落ちている場合には熱が出たり、下痢、呼吸困難、神経症状が出ることがあります。

人間だったら妊婦さんが感染した場合
本人は重症化するケースは少ないといわれています。

ですが胎盤を通じてお腹の赤ちゃんに感染して
視力障害とか肝機能障害を引き起こすことがあります。
重症化すると流産や死産を起こすこともあります。

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猫のトキソプラズマの検査方法

糞便検査でオーシストを見つける方法もあります。
ですが絶対に発見できるというわけではありません。

そこで血液検査でトキソプラズマの抗体価を測定して診断します。
診断結果は陰性、偽陽性、陽性の3つがあります。
もちろん陽性がトキソプラズマに感染しているという意味です。

ちなみにトキソプラズマの抗体価は感染して4週間経って上がります。
そのためもし偽陽性の場合だったら再度2~4週間後に検査します。

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猫のトキソプラズマの治療方法

猫ちゃんがトキソプラズマに感染した場合、駆虫薬で治療します。
ですが、猫ちゃんだと完全にトキソプラズマを取り除くことは難しいと言われています。

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猫のトキソプラズマの予防方法

感染源となる生肉を食べないことが重要です。
室内飼いを徹底して外に行かさないようにしましょう。
室内であれば飼い主さんが食事をコントロールできるからです。

ただ完全に室内飼いであっても飼い主さんが
外からオーシストを持ち帰る可能性もあります。
なので帰宅時には手洗いや消毒はしっかりやりましょう。
土についた成熟オーシストが飼い主さんの靴とか衣服につく可能性を否定できませんからね。

土にもオーシストがあるかもしれないので
土を触るなら手袋を使うなど気をつけましょう。
野良猫に触らないことも重要です。

それから先ほど解説したように糞便中のオーシストが感染力を持つのに
数日かかります。
そういった意味で猫ちゃんがしたウンチを早く処理することが重要です。

国立感染症研究所のデータによると
日本の妊婦さんの初感染率は0.13から0.25%です。
重症化を防ぐ薬もあります。

なので妊婦さんの場合は
心配だったらすぐに産婦人科に相談に行きましょう。
諦めないでください。

それでは解説を終わります。