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一般知識

ウォルターリップマンの世論についてわかりやすく解説

ファヨール




前回の記事では現代政治学の祖ウォーラスについて解説しました。

政治の場面で「我が党が与党になったら消費税が廃止されますよ」
みたいな甘い言葉を使われてしまうと
イメージだけ先行してしまいます。
現実でものをみれなくなってしまうよ。
政治的実在とは上記のような『言葉』のことだという解説をしました。

言葉やシンボルというのは現実の認識を阻んでいるということです。
それを問題にしたのがウォーラスです。

ウォーラスと同じようなことを考えたのが
ウォルターリップマンです。

リップマンはウォーラスの弟子でジャーナリストでした。
現代政治学の祖ウォーラスについてわかりやすく解説

ウォルターリップマンは『世論』という本を
1922年に書きました。

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ウォルターリップマン『世論』

ウォルターリップマン


1922年にウォルターリップマンは『世論』を書きました。
『世論』という本の中でウォルターリップマンは
パブリックオピニオンではないと主張しました。
「世論は人々の考え方ではないよ。世論っていうのは作られたものですよ」って意味です。

別の言い方をすると
民衆の意見なんてものは存在しないということに
ウォルターリップマンはたどりつくわけです。

台風

たとえば台風があったとしましょう。
そしてそのことをマスコミが報道していたとしましょう。

あなたは北海道に住んでいるとしましょう。
そして台風の被害があったのは沖縄県だとします。
その台風の被害を私たちが確認するためには
メディアが流したニュース、映像を見るしかありません。
現実のものを私たちは生で見ているわけではないですよね。

あなたは台風の被害の映像を見て
「被害がすごいんだろうな」って思ったりするわけです。

私たちが行動を起こすときに根拠になっているのは疑似環境なわけです。
疑似環境というのはマスコミが流した台風の被害などの映像のことです。

私たちは疑似環境を見て刺激されているわけです。
たとえばテレビの映像は疑似環境です。
その映像は本物ではありません。
マスコミが情報を取捨選択して作ったものですからね。
ですが、この本物じゃない、イメージに基づいて
現実の環境に働き掛けてしまうところに非合理的な行動の原因があるよっていっているわけです。
非合理的な行動ってどういう意味か?については前回の記事で詳しく解説しています。
非合理的な行動とは?

それから情報に選択的に接触したり
情報を単純化、歪曲化すたりすることをステレオタイプといいます。
ステレオタイプを色眼鏡と言ったりします。

私たちがものを見るときには偏見があるということです。
疑似環境自体にも偏見があります。

そもそも現実を見てないし現実から
マスコミが作ったイメージを(疑似環境)を見ています。
そのイメージを見るにしても私たちは色眼鏡(ステレオタイプ)で見ている。

・私たち一般大衆にも偏見がある(ステレオタイプ)
・マスコミが流す映像にも偏見がある(疑似環境)
⇒以上の情報などをもとに私たちは行動してしまう

真の現実を私たちは見ていないのに
私たちは何らかの行動をしてしまうという問題があるわけです。

報道番組でよく芸人が登場しますよね。
たとえばサンデージャポンとか。

たとえばサンデージャポンでAという芸人が出演していたとしましょう。
これは真の現実です。
言葉ではわかりにくいかもしれませんが、
撮影しているスタジオには触ったら感じれる生身の芸人Aがいますよね。
それを真の現実といっています。
だから私たちがテレビで見ているのは疑似環境であって真の現実ではありませんよ。
ここの解釈を間違えるとよくわからなくなってしまうのであえて書いておきますね。

話を元に戻しますね。
芸人Aさんは芸人ですからハイテンションです。
ハイテンションでテレビに出演しています。
そのときの映像は疑似環境ですよ。
さっきの台風の映像と一緒です。
台風を生で見ている人は真の現実です。

台風を生で見ている被害を受けている=真の現実
スタジオで生身の芸人がその場にいてハイテンション=真の現実

マスコミがカメラで撮影して編集して放送する=疑似環境
スタジオの芸人がハイテンションの姿を放送=疑似環境

芸人Aがハイテンションの姿をテレビに流す(疑似環境)を
視聴者である一般の人が見ています。
そもそも芸人だから偏見(ステレオタイプ)を持ってみています。

ここでの偏見(ステレオタイプ)というのは
「芸人だからハイテンションで騒ぐのは当たり前だよね」
みたいな感覚です。

スタジオで生身の芸人がその場にいてハイテンション=真の現実
スタジオの芸人がハイテンションの姿を放送=疑似環境
芸人だから騒ぐのは当たり前だよねっていう偏見=ステレオタイプ(色眼鏡)

ではステレオタイプな視聴者は何を考えているか?というと
「芸能人だからハイテンションだろう。
だったらなんか笑わせてくれるような一発芸でもやってくれるんじゃないか」
って思っているはず。

そこで芸人Aに司会が「芸人Aさん、そんなに売れてるんだったら
街を歩いていたらファンが寄ってきて大変じゃないですか?」って振ってきたとしましょう。
Aさん「素の自分で街を歩いてたら芸をやってくれってよく言われます。
でも仕方ないから実際芸をやってみたら
ファンからAさん、テンション低いねって言われちゃいました」
この文章部分私が勝手に作ってますが、そういう話よくありますよね。

これはステレオタイプの一般大衆が
持っている『芸人は面白い』という偏見があるから起こり得る出来事なわけですよ。

つまりテレビの中の芸人Aのイメージ(疑似環境)にのっとって
一般大衆が発言するからそうなるのです。

でも現実の芸人Aは日常生活レベルでテンション高いことはありません。
だから一般大衆の行動が現実(素の芸人Aのテンションを生で見た)に来た時に
不合理になるわけですね。

そもそもテンションが高い人間だと思い込んで
芸人Aにリアルで会っているから
ここに非合理的な反応(面白いと思ってたのに面白くなかった)が出てくるわけですね。

もしかしたらテレビの芸人Aは声がデカいかもしれません。
でも素の芸人Aは声が小さいかもしれませんね。
であるならリアルで芸人Aにあったらステレオタイプな視聴者は
「芸人Aは声がデカい」と思い込んでいるのに実際に芸人Aに会ったら
声が小さいので「Aさん、声が小さいんですね」みたいな反応になってしまうでしょう。
これも非合理的ですよね。

これだってテレビのイメージ(疑似環境)を見た
ステレオタイプな視聴者が「Aは声がデカい」
と偏見を持った結果の話です。

仮に声が小さくてもテレビではマイクがあるから問題ありませんからね。
でも普段は声が小さいのに声が小さいといわれても・・・って話です。
そもそも声が小さいのがその人にとっての真の環境なわけですからね。

でも、声が小さいと言ってしまうステレオタイプな視聴者は
そもそもイメージ(疑似環境)にのっとって
芸人Aに接してしまったからです。

そういう意味で非合理的な行動をしてしまうということですね。

問題はここからです。

リップマンによると非合理的行動の原因は?

疑似環境に基づいて、現実に働きかけるのが非合理的行動の原因なわけです。
つまり正しく認識していないというところが問題なわけです。
あくまでも疑似環境というものがテレビの世界の話ですと
割り切ることができるかどうかがポイントになります。

特に大衆的な人になればなるほど
テレビの世界が現実の世界だと勘違いしやすくなるという結果がわかっています。

ウォーラスの場合、まだ政治教育をすればなんとかなるって話をしました。
現代政治学の祖ウォーラスについてわかりやすく解説

でもリップマンは政治教育しても無駄だと考えました。
政治家のいうことを聞いてくれればいいんだということにリップマンは気づいてしまいました。

今回の記事は以上になります。