今回の記事では新自由主義による福祉国家批判とはどういうことなのか、
わかりやすく解説していきたいと思います。
新自由主義による福祉国家批判とは?
どうして福祉国家批判が出てくるのか?
「生活保護を受けている人と、最低賃金だったら
生活保護を受けている人の方がもらっているお金が多いじゃないか!」
とか、あるいは「生活保護を受けている人の中には
不正受給している人がいるじゃないか!」
という批判が出てくることがあります。
不況になるとよくある話ですよね。
最低賃金を引き上げる。
現在から5%から6%程度。
それに追いつけない頑張っている中小企業には助成金を出す。
最低賃金を上げることは経済を活性化させる。
生活保護より低い最低賃金っておかしいわ。— サイ(SAI_Zoo jp)@AI or human 試験中 (@saizoojp) July 6, 2022
公務員は務めてれば給料上がるので勤続長い人が多ければそれだけ平均額は上がる。
公務員の給与額を高い、と感じるのは不当な額を当てるのではなく低すぎる自分の給料が問題なんだよ。
生活保護の受給額より最低賃金でフルタイム働いた金額の方が低いのがおかしいのと同じ。 https://t.co/4pSNundjXP— こはる(前田伸枝)@バッチフラワー(フラワーレメディ) (@koharu_fr) June 30, 2022
「私たちは一生懸命働いているのに、
働いてないのにどうして生活保護受給者は生きてるんだ!」って議論が出てくるわけです。
これは不況になると必ず出てくる議論です。
結果、福祉政策を切り捨てるような政策が出てきます。
今現在はそういう状況になってきています。
そこから福祉国家に対する批判が出てくるわけです。
新自由主義(ネオリベラリズム)による福祉国家批判
福祉国家批判は不況になると出てきます。
具体的には1970年代に入ってから現在に至るまでずっと
福祉国家に対する批判は続いています。
どういう形で出てきたか?というと
ネオリベラリズム(新自由主義)の台頭という形で出てきました。
たとえば、
今まで30万円で毎月生活していたサラリーマン家庭が
20万円しかお給料をもらえなくなったようなイメージですね。
もし毎月30万円入ってきていた家庭が20万円になったらどうしましょう?
30万円使ったら10万円赤字になってしまい、いつか破産してしまいますよね。
だから20万円で生活できるように無駄を省いていこうとするわけです。
これが国家だったらどうでしょう?
無駄を省くために大きな政府から小さな政府になろうとするわけです。
それからなんでもかんでも国、政府がやるのではなくて
市場に任せよう、あるいは自由競争をしようとなります。
つまり、市場経済を重視するようになるわけですね。
民間ができることがあるなら国がやらずに民間にやってもらおうという考え方です。
それからあまり社会に関わるのはよくないと考えます。
政府が社会に関わる機会を減らすということです。
ただどんな機会を減らすか?といったら
一番最初に切り捨てるのは『福祉』です。
だから不況になったときに福祉が切り捨てられるわけです。
(1)大きな政府から小さな政府になろうとする
(2)市場に任せて自由競争させる
(3)政府が社会との関りを減らそうとする(福祉を切り捨てる結果になる)
ということをひっくるめてやっていくわけです。
ひっくりめてやるとどうなるか?
行政改革となります。
たとえば会社が不況になる(売上が下がってきて倒産が近くなる)とどうするでしょう?
だいたいリストラすると思います。
社長自身の給料を減らしたくないでしょうから、
まずは従業員を辞めさせていくわけです。
みんなー(ºωº)!
会社が経営不振でリストラだ〜ヾ(*´□`*)ノ!!
今まで自己都合退職しかした事なくて分からんのだけど、
会社都合退職での失業保険のやり方教えてくれぇー( ̄▽ ̄)!
— ふしダラー (@fushidollar) June 10, 2021
人件費が会社のコストとして一番大きいです。
でも、公務員ってリストラされませんよね。
公務員って法に触れることをしない限り解雇されません。
でも、公務員ってたくさんいます。
公務員の人件費だっていっぱいかかっているはず。
では国が不況だったらどうしましょう?
たくさんいる公務員を減らすために公務員でなくしてしまえばよいわけです。
具体的には『民営化』です。
民営化することで公務員という身分をなくしていくことができます。
有名なものに『NTT』とか『JR』、『JT』、『郵便局』があります。
民営化は行政改革の1つです。
参議院にJT民営化法案を提出。JTを民営化。さらには株式を全て売却する。今の政府は資産を持ちすぎ。目的が天下り先の確保だけなら国が持つ必要は全くない。小さな行政機構という維新の思想が分かってもらい易い法案。 pic.twitter.com/VE2hDqD4Ee
— 浅田 均(参議院議員) (@asalogue) May 17, 2019
中曽根康弘元総理のご逝去を悼み、心からご冥福をお祈り申し上げます。元総理はJR、NTT、JTの民営化など行革を実現させました。大変大きな業績です。日米など外交でも日本の存在感を高めました。引退後も外交・安全保障の提言をされ、国民のため、世界の平和のためのご行動に敬意を表します。 pic.twitter.com/3WwRTdvTQo
— 山口なつお (@yamaguchinatsuo) November 29, 2019
あと、『市場に任せて自由競争させる』方法として『規制緩和』があります。
規制緩和も行政改革の1つです。
あと他にも行政改革として『民間委託』があります。
こういった形で公務員の人たちの仕事を減らしていくわけです。
そして小さな政府を目指していきます。
これをやっていった人は1980年代イギリスでいうと
保守党のサッチャーさんが有名です。
アメリカだと共和党のレーガンさんです。
ちなみに安倍晋三元首相がとった政策をアベノミクスといいますが
もともとはレーガンさんがとった経済政策であるレーガノミクスの方が先です。
レーガンさんも小さな政府を目指すためにレーガノミクスをやったわけです。
アベノミクスはレーガノミクスのようなネーミングで、2018年には米保守誌National Reviewが安倍首相(当時)を「日本のレーガン」と評価。
そしてレーガン財団のこちらのツイートでは、安倍晋三元首相への追悼だけではなく、1984年にレーガン大統領が当時の安倍晋太郎外務大臣と会った写真を紹介。 https://t.co/hiZIZfQNOH— Eimi1003 (@Eimi1003) July 9, 2022
あと日本だと自民党の中曽根元首相も小さな政府を目指しました。
ちなみにサッチャーやレーガンの経済政策に影響を与えた人が
ノーベル経済学賞をとった経済学者の『ハイエク』さんです。
80年代にサッチャー、レーガン、中曽根が政権に並んだときは「右からの革命」と言われ、書店ではハイエクやフリードマンの経済書が売れた。いま再び英米日に保守政権がそろったが、経済的には右派の新自由主義ではなくケインズ的な政策が出そうな雰囲気がある。日本も財政出動を恐れるべからず、だ。
— 斉藤久典 (@saitohisanori) January 20, 2017
以上で解説を終わります。