今回の記事ではエリートの周流とは何か解説します。
長々と書いていきますが、結論はこの記事の最後辺りに書きますので
結論だけ知りたい方は、今すぐ記事下まで行ってください。
エリートの周流の前提となる残基と派生体とは?
パレート最適で有名なパレートさんですが、
⇒【分かりやすく解説】パレート最適とは?
パレートさんが人間が何か行為をするときにも
正当化の仕方があるといいました。
この正当化の仕方にはどこに行っても変わらない恒常的なものと
その場その場で変わる部分があると主張しました。
たとえば、キリスト教、仏教、イスラム教も人の命を奪ってはいけないといいます。
人の命を奪ってはいけないという点は変わりませんが
どうして人の命を奪ってはいけないのか?理由付けは違います。
で、どこに行っても変わらない恒常的な部分を残基といい、
その場その場で変わる部分は派生体といいます。
英語で表現すると残基(ざんき)は『residue』で派生体は『derivative』ですが、
残基というのは人間の本質を見たものです。
人間は日常生活において
表面的にとりつくろっている、仮面を被っている生き物です。
この表面的にかぶっている仮面を全部はがしたとしても
最後まで残るような基礎的な部分、本質が残基です。
これに対して派生体というのは何か本体があって
そこから分かれてくるものをいいます。
つまり、派生体はオプションです。
だからその場その場で組み合わされるものになります。
エリートの周流とは?
もう少しでエリートの周流の説明に入れます。
ところで
・結合
・集合体の持続
の2つに分類できます。
結合というのはいろいろなものを組み合わせることによって
新しいものを生み出す創造性のものをいいます。
集合体の持続は一貫的な信念と暴力的な行動に出てでも秩序を
守る傾向のことです。
それから『結合』の残基が強いのをキツネ型、
『集合体の持続』の残基が強いのをライオン型といいます。
これはイソップ童話をイメージしていただけるとわかりやすいでしょう。
キツネは賢いですが、正統派の賢さじゃなくてずる賢いイメージです。
これに対してライオンは力が強いし勇気があるけど、
残念ながら頭が悪いです。
ドラえもんで例えるとスネ夫型とジャイアン型みたいな感じです。
もちろんスネ夫がキツネ型で、ジャイアンがライオン型です。
キツネ型は頭がいいので政治をやるには適しています。
ですが、節操がないので賄賂をもらったりします。
そんな賄賂をもらう姿を見て
「今の政府は腐ってる!」という感じの陸軍将校タイプがライオン型になります。
ライオン型は大衆の支持を集めてクーデターに成功します。
それで政権をのっとるわけです。
ところがライオン型は力は強いけど頭は悪いので
なかなか政権を運営できません。
それで政権を運営するためにキツネ型のエリートを仲間に引き入れます。
するといつの間にかキツネ型に政権をのっとられて
ひっくり返ります。
こんな感じでキツネ型⇒ライオン型⇒キツネ型
みたいに政権が変わっていく流れのことをエリートの周流といいます。
エリートは流れて周るということです。
ところでイタリアにキツネ型とライオン型で思いつくのは
以前解説したマキャベリの君主論の話になります。
⇒マキャベリの君主論を要約【忙しい方向け】
マキャベリの君主論でいうと君主たるもの
キツネ型の要素もライオン型の要素、どちらも持たないといけないといっています。
でも、パレートは両方持つのは無理で
どちらか片方しか持てないと主張しています。
片方しか持てない=不完全
です。
不完全だからこそ一方だけで終わらず
不安定に入れ替わっていくということでエリートの周流が出来上がるわけですね。
以上で解説を終わります。