前回の記事ではマルクスの階級論やウェーバーの階級論について解説しました。
⇒マルクスの階級論についてわかりやすく解説
⇒ウェーバーの階級論についてマルクスと比較しながらわかりやすく解説
今回の記事ではマルクスやウェーバーの階級論を踏まえて
階層と階級の違いについてわかりやすく解説していきたいと思います。
階層と階級の違い
階層とはどういうものをいうのでしょう?
同じくらいの年収のグループとか同じくらいの偏差値のグループなど、
同じくらいの資源を持っている人たちのグループを少なくとも社会学では階層といいます。
これに対して
・歴史的
・実体的
・相互対立的
なものです。
たとえば、資本家と労働者という階級は1000年前にはありませんでした。
資本主義の世界になって初めて資本家と労働者という階級が出現しました。
つまり歴史的なものです。
また実体的です。
誰が資本家か、誰が労働者かというのは
具体的に名前を挙げることができます。
「~さんは労働者だよね」
「~社長は資本家だよね」みたいな感じで。
さらに相互対立的です。
お互い対立します。
マルクス的には「しょせん資本家なんて労働者の生み出した価値を奪い取っているだけだ」
と考えています。
⇒マルクスの階級論についてわかりやすく解説
つまり、資本家の利益と労働者の利益は対立するということです。
言い換えると階級とは人々がどのように位置付けられているのか?に
力点を置いた見方のことです。
これに対して階層というのは
特に決まったものではありません。
その時々の研究者の関心によって自由に操作的に設定できるものです。
たとえば人の上下を見るとしても
何で見てもOKということです。
年収で見てもいいし、住んでいる場所で見てもいいし、
学校のテストの成績で見てもいいし。
また線引きの仕方も決まったものではありません。
事務方労働者というのははっきりした区別ですが、
年収で人の上下を見るとしても、どこのラインで切るのか
たとえば、108万円できるのか、1000万円で切るのかは
その都度、興味関心によって設定するわけです。
また、資本家と労働者というのは
それぞれ自分たちで「私は労働者だ」「私は資本家だ」と
ある程度、グループとしても意識があるかもしれません。
でも、年収108万円、年収1000万円と区切っていったとしても
当事者にはそんな意識はありません。
「私は年収100万円だから、年収1000万円のやつを絶対に許さない」
みたいな感じでお互いに意識し合って対立しているわけではありません。
そういった意味で階層は非対立的な概念です。
また階層というのはいろいろ積み重ねていったときの1つの層だけのことを指して
階層といいます。

中卒層、高卒層、大卒層なら高卒層だけとか大卒層だけを指して階層というわけです。
また、中卒層、高卒層、大卒層など、
たくさんの階層が積み重なった全体像のことを社会成層(しゃかいせいそう)といいます。
以上で階層と階級の違いについての解説を終わります。