この記事では、福祉国家(Welfare State)とはどんな国家なのか、
わかりやすく解説していきたいと思います。
福祉国家とは?わかりやすく説明します
福祉国家とは高度に発展した資本主義経済が原因で誕生した国家観で、
社会福祉サービスや失業をなくし、完全雇用の達成を目指す経済対策などを重視し
実現している国家のことをいいます。
夜警国家は国家に放っておいてくれ!と言っていましたが、
福祉国家は構ってくれ!という点で完全に真逆の国家観になります。
⇒夜警国家とは?わかりやすく解説
夜警国家のころから資本主義は作られ始めていきますが、
一番大きな転機を迎えたのが産業革命です。
ちなみに夜警国家についてはこちらの記事で詳しく解説しています。
⇒夜警国家とは?わかりやすく解説
産業革命により富の偏在が生まれました。
富の偏在とは
・貧富の差が生まれた
・労働者の生活環境が劇的に悪くなっていった
ということです。
近代初期の夜警国家のころは「放っておいてくれ!」
「構わないでくれ、来ないでくれ」という自由主義でしたね。
⇒夜警国家とは?わかりやすく解説
でも、産業革命のころから国家に「放っておいてくれ!」という自由主義では
うまくいかなくなってきたのです。
そこで国民の生活保障も国家の重要な任務として認識されるようになってきました。
で、福祉国家が誕生です。
国家が国民生活に入ってくる状況が福祉国家です。
夜警国家では国家に「国民生活に入ってこないで!」と言っていたのですが、
福祉国家では「困っているから早く来てくれ!」
「失業して大変だから失業給付をください!」という形で
国家が国民生活に介入し、社会的経済的弱者を救済する形になりました。
これが福祉国家です。
つまり、夜警国家という「放っておいてくれ」という自由主義により
国家の役割が外交とか防衛とか治安の維持に限定されていたときから
だんだん、福祉国家にうつり、国家に「こっちにきて助けてください!」
となっていったわけですね。
福祉国家では
・社会保障(例:維持のために消費税アップ)
・完全雇用の達成を目指す経済政策(例:ハローワーク)
といった政策が第二次世界大戦後から全世界的に波及していきました。
社会保障といったらイギリスで誕生したベバリッジ報告です。
⇒ペバリッジ報告とは?わかりやすく解説
「ゆりかごから墓場まで」の社会保障が必要であるということで
イギリスは福祉大国を目指しました。
それから完全雇用の達成を目指す経済対策は市場重視ではなくてケインズ経済ですね。
⇒ケインズの一般理論・有効需要についてわかりやすく解説
たとえば、ニューディール政策を挙げることができます。
不況になって失業者があふれていたら、国が公共事業を起こして有効需要を高め、
雇用を確保し、景気を回していこうとしました。
こんな感じで夜警国家みたいな放っておけばなんとかなる的な国家観から
サービスをしてくださいという福祉国家へと変化していきました。
以上で福祉国家についての解説を終わります。