アメリカの教育社会学の中でメリトクラシー社会という議論があります。
この記事ではメリトクラシー社会について解説します。
メリトクラシー社会とは?
まずメリト『クラシー』などの『~クラシ―』ってどういう意味でしょう?
たとえばデモ『クラシー』という用語がありますね。
デモクラシーは民主主義を意味しています。
『クラシ―』には支配体制みたいな意味があります。
デモクラシーの語源となる『デモス』には一般民衆の意味があります。
だから、デモクラシーは一般民衆が上に立って動かしていくから民主主義という意味になるわけですね。
ではメリトクラシーですが、『メリト』『クラシ―』に分けてみましょう。
『メリト』はメリットのことです。
メリットと聞くと、「長所のことかな?」と思った方もいるかもしれません。
ですが、違います。
ここでのメリットは『能力』の意味です。
つまり、それまでは能力は関係ありませんでした。
その人の身分や血筋、家柄、そういうところで定まっていました。
だから王様の家に生まれたら、低スペックな人でも王様になれました。
将軍家に生まれたらどんなに能力が低くても将軍になれたりするわけです。
一方で能力が高い人であっても
下級身分に生まれたら上に上がれませんでした。
こんな感じで身分や血筋でその人の将来が決まってしまっていました。
でも、今では能力によって上に立てます。
選抜試験なんかがあって、能力を発揮できれば上に上がれたりします。
その結果、社会の指導者たちは能力のある人なんだという『建前』になっています。
前近代社会では階級階層の変化は閉鎖的でした。
階級や階層についてはこちらの記事で解説しています。
⇒階層と階級の違いをわかりやすく解説【社会学】
生まれつき人生が決まっていたわけです。
でも、今は開放的です。
職業選択の自由がありますから、本人の能力さえ発揮できれば
いろんな仕事ができます。
それから、「男だから」「女だから」
「岩手県出身だから」「鹿児島県出身だから」みたいな感じで
人を見るのを属性主義的といいます。
これに対して「営業成績が1位だから」みたいなのは業績主義的です。
本人の努力によって変更が可能だからです。
とはいえ、昔の身分制度じゃなくても今の時代だって不平等です。
人によってもらっている給料は違いますし、
職業威信も違います。
職業威信とは簡単にいうと、その職業名を相手にいうと
どれくらい尊敬されるか?みたいな意味です。
たとえば裁判官なら人から信用されやすいし尊敬されやすいでしょうから
職業威信が高い職業だといえるでしょう。
とにかく現在でも上下はあります。
ただ、今の世の中でも能力が違うからしょうがないと正当化されています。
高給取りは能力が高いみたいな感じです。
ここまでいろいろと解説してきましたが
メリトクラシー社会とは前近代社会は生まれた家庭や場所によって
将来の自分の地位などが決まってしまっていたけど
近代社会になり、自分の能力で地位が返られるという原理・考え方のことです。
以上で解説を終わります。