イギリスのギデンズさんは理論社会学者として有名なだけでなく
実際の政治にも関わった人です。
・保守党
・労働党
の2大政党です。
保守党は小さな政府路線です。
労働党はもともと社会主義政党なので大きな政府路線です。
イギリスというのは1970年代までは福祉国家路線を歩んでいました。
ですが、1970年代終わりに
保守党のサッチャー政権に変わります。
サッチャー政権は小さな政府を推し進めていきます。
でも、それはさすがにやりすぎだということで
20世紀末に再び労働党政権に戻ります。
ただ、いくら労働党政権に戻っても
昔ながらの大きな政府路線はとれませんでした。
イギリス国民も1970年代終わりから20世紀末まで小さな政府路線に
慣れ親しんだわけですからね。
そこでイギリス労働党のブレア政権のブレーンとしてギデンズさんは
完全な自由放任でもなく、かといってかつての労働党みたいな大きな政府でもなく
『真ん中の第三の道を歩みましょう』と主張しました。
要するにギデンズさんは折衷的なものの考え方をとる人です。
和洋折衷の折衷ですね。
要するに両極端を挙げた上で、その両極端は行き過ぎだから
真ん中をとりましょうということです。
ギデンズがとった社会学の理論
![ギデンズ](https://www.management-consultant.info/wp-content/plugins/lazy-load/images/1x1.trans.gif)
・主体を中心に考えていく流れ(マックスウェーバー)
・構造を中心に考えていく流れ(デュルケム)
がありました。
マックスウェーバーは社会は個人の集まりにすぎないから
個人個人が何を考えてやっているのか?見ていけば
社会現象を説明できるという主体中心に社会現象を説明する立場です。
⇒ウェーバーの理解社会学についてわかりやすく解説
ただ、ウェーバーさんの考えを突き詰めていくと
結局は人間の思いですべては変わるみたいな話になりがちです。
実際は社会現象は人間の思い込み(主観)だけでは成立しません。
人間はいろんな社会構造の中で生きているので、構造の中に縛られています。
しがらみってどんな社会でもありますよね。
これに対して構造を中心に考えるのがデュルケムです。
⇒デュルケムが提唱したマートンのアノミー理論とは?わかりやすく解説
社会学だから社会構造で物事を説明しようとする立場です。
ただ、構造にフォーカスしすぎると、今度は人間の自由意思が見えなくなってしまいます。
人間は社会構造の中で生きているだけで自由意思なんてないだろうみたいな話になってしまうわけです。
主体を中心に考えていく流れ(マックスウェーバー)も
構造を中心に考えていく流れ(デュルケム)もどちらも極端な考え方といえるでしょう。
そこで、主体的な判断と構造によって縛られているという考えを
つなげて考えていきましょうというのがギデンズさんの問題意識となります。
こんな感じで主体を中心に考えていく流れ(マックスウェーバー)と
構造を中心に考えていく流れ(デュルケム)をうまく合わせて構造化理論を提唱しました。
社会学者ギデンズが提唱した構造化理論とは?
![カフェ](https://www.management-consultant.info/wp-content/plugins/lazy-load/images/1x1.trans.gif)
たとえば、あなたがカフェで上司と会話しているとしましょう。
あなたは「このコーヒーおいしいですね」みたいにしゃべります。
で、会話するという行為をするためには
『規則』と『資源』を利用する必要があります。
まず会話するためには日本語という文法を利用しないといけません。
日本語という文法はある意味、『規則』ですね。
たとえば「です、は私員公務」みたいなのだと相手は「?」となりますね。
でも、「私は公務員です」と日本語の文法という規則に従えば相手も理解できます。
ただ、日本語の単語は無数にありますね。
年々増加しているでしょう。
たとえば令和3年現在、『よっ友』という言葉が生まれています。
【「よっ友」消滅?コロナ下の若者】https://t.co/LLE4tjzluq
若者マーケティング研究機関「SHIBUYA109 lab.」の18~24歳の529人を対象にした調査で、24.4%が「関係の浅い友達と遊ぶことが減った」と回答。「大学生の『よっ友』と呼ばれるような人と遊ぶことが減ったのではないか」との指摘。
— Yahoo!ニュース (@YahooNewsTopics) June 28, 2021
何がいいたいか?というと、
無数にある日本語から適切な単語(これは資源の1つ)をチョイスして
会話しているわけですね。
語彙という『資源』を有効利用して
文法の中にいろんな語彙を当てはめることで文章を成立させています。
ところでギデンズさんは構造を行為を制約すると同時に可能にする条件とみなしています。
文法という規則があるわけですが、逆に文法という規則に従わなければ
まったく相手に伝わらなくなってしまいます。
逆にいうと会話というのは文法に縛られています(制約されています)。
でも、文法があるからこそ会話が可能になるわけですね。
ということで、文法というのは制約するけど会話を可能にする条件です。
さらにいうと、文法や語彙というのは人が使うから維持されます。
文法や語彙がないと会話できませんが、
みんな会話するからこそ、文法や語彙は再生産されます。
ということは文法や語彙は会話を可能にするけど
人々が会話することに依存しているわけです。
ギデンズさんというのは両極端なことをいって
「この2つはお互い関係しているよね」といっていく学者です。
以上で解説を終わります。