この記事では
部分的核実験禁止条約についてわかりやすく解説します。
目次
部分的核実験禁止条約(PTBT)とは?わかりやすく説明
部分的核実験禁止条約(PTBT)について理解するためには
まず基本的な用語を知っておく必要があります。
部分的核実験禁止条約(PTBT)を理解するための前提知識
部分的核実験禁止条約(PTBT)だけでなく、
今後もいろんな条約について解説していくつもりです。
いろんな条約について理解するためには
基本的な用語の意味を知っておく必要があります。
(1)採択とは?
採択とは条約を結ぶ、「この条約は合意された」ということです。
では採択された条約は成立したのでしょうか?
いいえ、まだ成立していません。
例えるなら「明日遊ぶ?」ってA君がいったら
B君が「いいよ、明日遊ぼうね」っていったレベルです。
これが採択です。
明日遊ぶことを約束したとしても
当日、「ごめんお腹が痛くなったから行くのやめるよ」
って言うことも可能ですし、あるいは
何も言わずに遊びに行かないという方法も可能です。
(2)署名とは?
署名という段階になると条約が成立したということになります。
ですが、署名の段階でも効力は発生していません。
なので本当に条約が効果を発揮するかはわからない状態だといえます。
(3)批准(ひじゅん)とは?
批准の段階で成立した条約に拘束されるということになります。
国家が認めるという行為、それが批准(ひじゅん)です。
以前解説しましたが、
条約を締結するのが内閣で承認するのが国会ですが、
それと同じような感覚です。
国会が承認すると
締結した条約を我が国の法体系の中に組み込むことに
了解したということになります。
これが批准です。
(4)発効とは?
批准が両国ともに行われるとようやく
『発効』という運びになります。
発行に関しては2国間条約、
たとえば日米安全保障条約みたいなタイプもあります。
あるいは国際刑事裁判所に関する条約は
一定の加盟国数がないと発効しないみたいな感じで
一定の加盟国数に達するとようやく効力が発生するみたいなものもあります。
こんな感じで発行に関しては
条件が違っていたりします。
以上の用語をしっかり踏まえたうえで
部分的核実験禁止条約(PTBT)について解説していきますね。
部分的核実験禁止条約(PTBT)とはどんな条約?
部分的核実験禁止条約(PTBT)は1963年に調印発効されました。
これは1962年に起こったキューバ危機の反省からきています。
アメリカとソ連による第三次世界大戦が起きるのではないか?
という直前までいったといわれるような大事件がキューバ危機です。
部分的核実験禁止条約が発効されたことで
終末時計が7分前から12分前に戻されたそうです。
1962年に起こった「キューバ危機」後の「デタント(緊張緩和)」の動きとしては、63年に米ソ政府間の「直通電話回線(ホットライン)」が開設されたことや、同年に地下実験を除く核実験を禁止する「部分的核実験禁止条約」が署名されたことなどがある。 #center_seikei
— りょーま/まう (@_a_Mt) November 29, 2010
時々忘れそうになるが
ウクライナ戦争とは『核戦争を避けながら独裁者の横暴を決して許さない』という全く新しいミッションで西側諸国は試されているんだよなー。
キューバ危機に例えれば
『ソ連がキューバに侵攻してミサイル配備した』ようなもの。核戦争を避けながらキューバを救わねばならない。— アンチ坊主⛩️クロスバイクなめんな教🚲 (@iikn_yoritomo) August 27, 2023
ところで部分的核実験禁止条約と『部分的』と書かれていますが、
何を禁止しているのでしょう?
・大気圏内
・宇宙空間
・水中
の核実験は禁止されています。
ではどこでできるの?となりますよね。
結論として『地下核実験だけ』許可されています。
部分的核実験禁止条約では地下核実験だけやってもよいとなっているわけですね。
東太平洋海嶺で1972年に大噴出があり、その後太平洋プレートに沿って噴火や地震が多発しているようだ。1963年に締結された部分的核実験禁止条約にて地下核実験「以外」は禁止された。1976年地下核実験の地下核実験制限条約が米ソで締結。地下核実験と大地震の関連を指摘する意見もある。
— たかおん (@TakaoMorimoto) April 2, 2011
この記事をご覧のあなた、
見たことありませんか?
「スリー、ツー、ワン、ゼロ。ズゴゴゴゴ」
みたいな感じで地面が下がっていくような動画です。
これは地下核実験です。
フランスが太平洋・ムルロア環礁で地下核実験をやっていました。
海底での地下核実験です。
アメリカ #ビキニ環礁 エニウェトク環礁と合わせて67回の #核実験 フランスは1996年までフランス領ポリネシアのファンガタウファ環礁、ムルロア環礁で217回の核実験を実施。タヒチなど仏領は国連非独立地域リストに入ったまま。 pic.twitter.com/ZyAMnJfTr8
— wildgees8 (@wildgees8) August 5, 2017
そんな部分的核実験禁止条約が結ばれたのが1963年です。
おはようございます🌻
お誕生日の方おめでとうございます🍾1963年 米露英3ヵ国がモスクワで部分的核実験禁止条約に調印しました。キューバ危機後、ケネディ大統領の功績大。
中仏は未だ調印せず、北朝鮮などの核の恐怖に世界は脅かされています。誕生花「向日葵(ひまわり)」「愛慕」 pic.twitter.com/DfUYW7QmCU
— みやのすみれ (@sumiremiya) August 4, 2017
部分的核実験禁止条約の流れから包括的核実験禁止条約(CTBT)
ところが今は包括的核実験禁止条約(CTBT)というのが結ばれています。
ただ、包括的核実験禁止条約(CTBT)は未発効です。
まだ発行していませんから条約としての効力が発生していません。
ちなみに包括的核実験禁止条約はどんな条約か?
というと、かなりまとも、真面目な条約です。
核爆発を伴う一切の核実験の禁止を基本的義務とする条約です。
2022年12月現在署名しているのは186か国で
批准しているのは176か国となっています。
【本日の乱】
本日9/10は、国連総会にて"CTBT"包括的核実験禁止条約が締結された日となります(1996)
※なお、アメリカ等一部の核保有国が批准していないため未発効#本日の乱 pic.twitter.com/TWc2wGXpTK— Stove⊿ (@prfm_Centurion) September 10, 2020
ですが、包括的核実験禁止条約は特定の44か国(発効要件国)すべての批准がないと
発効されません。
外務省によると
引用元URL:https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/kaku/ctbt/gaiyo.html
CTBTが発効するためには、特定の44か国(発効要件国(注))すべての批准が必要とされている(第14条)。しかし、現在のところ、米、印、パキスタン等、一部の発効要件国の批准の見通しはたっておらず、条約は未発効。
(1)署名国185か国、批准170か国
(2)発効要件国44か国のうち、署名国41か国、批准国36か国
発効要件国のうち、
署名済・未批准国(5か国):米国、中国、エジプト、イラン、イスラエル
未署名・未批准国(3か国):北朝鮮、インド、パキスタン
(注)条約の附属書二に掲げられている。
ジュネーブ軍縮会議の構成国であって、IAEA「世界の動力用原子炉」の表に掲げられている国。
となっています。
一応、包括的核実験禁止条約については
注目しておきましょう。
以上で解説を終わります。