アノミー理論というのは社会学の基礎概念の一つで
デュルケムさんが提唱しました。
アノミー(理論)というのは無秩序とか無規範とかルールが壊れたとかそういう意味になります。
ところでマートンは先輩社会学者の議論を論じなおすのが
得意でした。
それでマートンさんはデュルケムのアノミー理論を利用しつつ
アメリカ社会の状況を分析していきます。
マートンのアノミー理論
マートンはアメリカ社会はアノミー状況にあって
無秩序で混乱していると認識していました。
アノミー=無秩序、無規範(ルールが壊れている)です。
なぜマートンはアメリカ社会はアノミー状況だと考えたのでしょう?
社会が押し付ける文化的目標とそれを達成する手段がズレているからです。
たとえばアメリカといえばあなたは何を想像しますか?
私はアメリカンドリームを想像します。
アメリカンドリームというのは
とにかく頑張ればだれでも成功できるんだ
努力すればだれだって一人前になれるってことです。
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そんな考え方があるので、
アメリカでは小さいころからリンカーンとかカーネギーとか
ベンジャミンフランクリンなどの伝記を読まされるそうです。
そして小さい頃は貧しくても頑張れば成功できるんだと
信じ込まされるわけです。
で、マートンはアノミー理論を3つに定式化しています。
1つ目で、みんな参加できる権利があるからあなたも
頑張りなさいとプレッシャーをかけます。
2つ目として、まだ逆転できるチャンスがあるからあきらめたらいけないと考えます。
3つ目として、あなたも失敗しないように参加して頑張りなさいということです。
ただ、こういうのは本音と建前で言ったら建前、きれいごとです。
アメリカ社会に多い考えですね。
ただ、誰でもがんばれば成功できるわけではありません。
総資産が10億円の社長の息子と、年収100万円の家庭の息子では
どちらも医者になる夢があったとしても、
総資産10億円の社長の息子の方が医者になれる可能性が高いでしょう。
あるいは、「俺、キムタクみたいな俳優になる!」って言っても
顔がいまいちだったらいくらダイエットしたり筋トレしても無理でしょう。
ただ、アメリカでは建前をおしつけてプレッシャーをかける文化があるわけです。
ところで、デュルケムさんの考え方は後にギデンズさんによって改良されて行きます。
詳しくはこちらをご覧ください。
⇒社会学で有名なギデンズについてわかりやすく解説