前回の記事ではマートンが提唱した潜在的機能と顕在的機能について解説しました。
⇒顕在的機能と潜在的機能について例を挙げてわかりやすく解説
今回の記事では同じくマートンが提唱した中範囲理論について
解説していきたいと思います。
マートンが提唱した中範囲理論とは?
中範囲というと、ネガティブな感じに聞こえるかもしれませんね。
でもそんなことはありません。
中範囲理論はポジティブなイメージで捉えてください。
極端でなく、きちんとバランスがとれているという意味で使ってます。
中範囲=中くらいという意味ですから
両端(両極端)が存在するわけですね。
では(両)極端ってどんなものが考えられるのでしょう?
たとえばパーソンズが提唱したシステムが該当します。
⇒行為システムとは?わかりやすく解説
パーソンズの理論って話が大きすぎるし抽象度が高いです。
パーソンズの理論は現実社会を観察してそこから理論を組み立てたわけではありません。
パーソンズさんの頭の中で先に理論を組み立てて、
そこから現実社会に落とし込むような感じです。
たとえると、経営学部教授で、経営学の理屈はよくわかっているし
学会で自分の理論をよく発表するけど、
一度も社長になって経営をしたことがないみたいな感じです。
頭でっかちな感じですね。
こういう感じの頭でっかちの理論って
往々にして上手く行かないケースが多いでしょう。
これが中範囲理論に当てはまらない極端な例です。
もう片方の極端な例としてはアメリカ社会で流行している社会調査です。
アメリカって最近でも医学に基づかず、人々の意識から新型コロナはいつ治まるか?各国と比較してみたり、
各国の意識調査をしてみたりと社会的な調査が盛んです。
確かに調査してデータを集めることは無駄ではないでしょう。
でも、学問というのはデータを集めるだけではどうにもなりません。
これがマートンが考えた極端な例のもう1つです。
どうしてそういう結果になっているのか?説明するのが学問です。
たとえば、大統領の支持率が下がったとか、
大統領選挙でトランプさんが負けたと言っても
どうしてトランプさんが負けたのか?説明する理論が必要です。
でも社会学者はデータだけ集めて説明する図式をたてないのはよくないと
マートンさんは考えました。
そこでマートンさんは真ん中を行くわけです。
とにかく身近なデータから理論を積み立てます。
そこからだんだん話を大きくしていこうとしました。
こんな感じで下から積み上げていって
少しずつ大きくしていくような理論を中範囲理論といいます。
続いてマートンが提唱した準拠集団について解説します。
⇒マートンの準拠集団についてわかりやすく解説