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一般知識

社会契約説とは?わかりやすく解説

社会契約説 わかりやすく




この記事では社会契約説とはどういう考え方なのか、
わかりやすく解説していきます。

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社会契約説とはどういう考え方かわかりやすく説明

社会契約説について語る教授

社会契約説とはどういう考え方でしょう?
社会契約説とは私たちが暮らしている社会というのは
みんなで同意して一定の契約のもとで成立しているという説のことです。

だから国家権力とか国王の権力というのは
契約によって成立しているものなので
もともとは国民1人1人に由来するものだという考え方になります。

ということで市民社会という考え方のベースになるような考え方が
社会契約説になります。

ただ、実際に契約が行われたわけではありません。
歴史を見てもらっても何年何月に社会契約がなされて
ある国が作られたみたいな話はありません。

そうじゃなくてあくまでも
みんなで同意して一定の契約のもとで成立しているとして
私たちの社会というものをとらえて考えていきましょうという説です。

国家権力とか国王の権力は国民1人1人に由来するという考え方が社会契約説です。

王権神授説

では社会契約説が出てくる前までは
どういうふうに国家権力や国王の権力が考えられていたのでしょう?
王権神授説(おうけんしんじゅせつ)です。
王権神授説は聖書のある特定の解釈から出てくるのですが
国王の権力というのは神に由来するという考え方です。

そして王権神授説は絶対王政を正当化する説になります。
世界史で登場しますね。

この王権神授説に代わるような考え方として
市民社会のベースとなったのが社会契約説です。

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社会契約説(1)ホッブズ

社会契約説の考え方をまず示したのがホッブズさんです。

ホッブズ(1)戦争状態

社会契約説において社会を作る前の状態のことを『自然状態』というのですが
ホッブズさんは『自然状態』のことを『戦争状態』と言いました。
ホッブズさん的には社会を作る前の野放しの状態というのは
お互い殺しあっていた、つまり戦争状態だったということです。

戦争状態を表している言葉に

・「人は人に対して狼」
・「万人の万人に対する闘争」

などがあります。

ではどうして戦争状態になってしまうのでしょう?
問題は自然権にあります。
自然権とは私たちが生まれたときから持っている権利のことです。
自然権は自己保存の権利ということもあります。
簡単にいうと自分の生命を維持して発展させる権利。
これを自然権といいます。

ホッブズに言わせると人間というものは
放っておかれると自分の自然権というものを最大限に行使しようとして
他人のことをまったく考えないそうです。
自分さえよかったらそれでOK、
自分の物は自分の物、他人の物も自分の物という
ドラえもんに登場するジャイアン思想みたいなものでしょうかね。

自己保存の権利を最大限行使しようとすると
他人の権利を侵害するということになります。
みんながみんな他人の権利を侵害したら恐ろしいことになってしまうでしょう。

みんながみんな自分の自然権を最大限に行使しようとする、
その結果として戦争状態になってしまうとホッブズさんは考えました。

ホッブズの人間観は性悪説的だと主張しました。
人間の本性は悪だから人間は放っておかれると
自分の生きる権利を最大限行使しようとして
その結果、戦争状態になってしまうとホッブズさんは考えたわけですね。

このままでは人類が滅亡してしまうでしょう。
人類滅亡を回避する手段が社会契約という形になります。
問題は自然権にあるわけですから、
自然権を国家なり君主なりに譲り渡す、
これが社会契約になります。

その見返りとして国民1人1人は自分の生命を守ってもらいます。
これがホッブズが言っている社会契約になります。
自然権を譲り渡してしまうので
後から自分の自然権を返してくれとは言えません。
だから国家というものはすべての国民の自然権を一手に引き受ける。
国民は自分の自然権を返してくれとはいえません。

そういう意味でホッブズさんは専制君主国家を擁護するという考え方につながっていきます。

ホッブズ(2)リヴァイアサン

ホッブズの著作で有名なものに『リヴァイアサン』があります。
リヴァイアサン 1 (光文社古典新訳文庫) [ ホッブズ ]
リヴァイアサン2 [ ホッブズ ]

リヴァイアサンというのは何か?
というと旧約聖書に登場する怪物のことです。
この怪物をホッブズさんは国家のこととしています。
国家を怪物に例えたわけです。

つまりホッブズに言わせると私たちが暮らしている国家というのは
自分で創り出した怪物。
いったん作り出してしまったらこの怪物に従わざるを得ないわけです。
なのでリヴァイアサンという本は専制君主国家のことを言っています。

以上がホッブズになります。

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社会契約説(2)ロック

次にロック。
ロックさんは現在の市民社会のベースになるような
考え方を展開した人として有名です。
社会契約説で有名なロックの重要ポイント(ホッブズとの違い)

たとえばロックの政治思想はイギリスで起きた名誉革命の
理論的な根拠づけとなったり
アメリカの独立運動に大きな影響を与えたり
現在の私たちの社会についての考え方のベースを作ったような人です。

ロックさんは『タブララサ』といって私たちの頭の中は生まれたときは白紙だから
生得観念はなく、すべての観念は習得観念だと主張しています。
これはイギリス経験論の考え方です。
イギリス経験論についてわかりやすく解説

ロック(1)平和状態

ホッブズは自然状態を戦争状態だと主張したわけですが、
ロックは自然状態を平和状態と主張しました。

自然状態を

・ホッブズは戦争状態
・ロックは平和状態

だと主張したわけですね。

平和状態ということは
野放しになっていてもお互い殺し合うことはないというわけです。
ロックは自然状態においても
自然法というは成り立っていると考えます。

自然法というのは別に私たちがあえて作らなくても
他人の生命、財産、自由なんかを侵害してはいけない、
ということはもともと成り立っているとロックさんは考えたわけです。

だから基本的には平和状態だとロックさんは考えました。
ですがそうであっても争いごとは起こることがあります。
たとえば自分の財産なんかをめぐって紛争が起こることがあるでしょう。
だからそういう起きた紛争をなるべく公平に決裁してもらう
そういう共通の尺度としての法律が必要になる。
だから国家や社会が必要になるとロックさんは考えました。

平和状態だけど争いごとは起こることがあるので
争いごとを公平に調停してもらうために国家が必要になるってことです。
だからロックの場合には自然状態=平和状態
なので、ホッブズさんの考え方みたいに差し迫っていません。

ホッブズさんの考え方だと
放っておくと人類滅亡につながったわけですけどね。

ロック(2)信託契約

ロックの場合、社会契約というのは信託契約という形になります。
「この君主、この国家なら信じられるな」みたいな話です。
信じて託するってこと。
どういうことか?というと後で信じられなくなったら
自分の自然権を返してくれっていえます。
これはホッブズとの違いになります。

君主や国家というものが民の心を反映していないような
権力の濫用であったり圧政をやっている場合には
政府をやっつけて新しい政府を作るという権利を持っていると
ロックさんは考えました。
これを抵抗権といいます。
抵抗権というのは革命の権利です。
なのでロックさんは革命の権利を認めたということになります。

ここまで解説したロックさんの考え方は
イギリス名誉革命の理論的な根拠になっていたり
アメリカの独立運動に大きな影響を与えたり
他にもアメリカの憲法にも大きな影響を与えたといわれています。

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社会契約説(3)ルソー

ルソーは180度考え方が変わっているので注意して読むようにお願いします。

ルソー(1)理想状態

ルソーは自然状態を理想状態と考えました。
だからルソーに言わせると社会の方が悪だと考えています。
むしろ社会を私たちが作る前の自然状態の方が理想状態なんだとルソーは考えました。
以上のことから『自然に帰れ』という言葉が残っています。

どうしてルソーの『理想状態』から『自然に帰れ』という理屈になるのでしょう?
ルソーに言わせると自然状態というのは
みんな自由で平等な平和状態だと考えます。
だから自然状態こそが失われた理想状態だとルソーさんは考えました。
むしろ社会の方が私有財産制を発達させ、
その結果、不平等、貧困、支配や服従といった格差が
表れるようになったとルソーさんは考えました。

だからこそ社会の方が不平等を助長しているから
社会を作る前の状態である自然状態の方が人間が平等な状態だったというわけです。
という意味で自然状態を理想状態だと考え、『自然に帰れ』という言葉が残っています。

ルソー(2)一般意思

ルソーの考え方は
ロックやホッブズの考え方と180度真逆の考え方をしているため
社会契約といっても単純に社会を作るということではなくなり
もう少し道徳的なニュアンスが入ってきます。

では社会契約とは何か?というと
ルソーの場合にはそれは特殊意志を捨て去って
一般意思に従うということです。

では一般意思とは何でしょう?
一般意思というのは公共の利益の実現を目指した普遍的な意志のことです。

ちょっと硬い言葉ですが
すべての人間の幸せを願う、そういう意志を一般意思といいます。
つまり自分さえよかったらいいっていうのではなくて
みんなで幸せになろう、みんなの幸せを願う、
そういう普遍的な意志を一般意志といいます。

一般意志に従って生きていく、
これがルソーが言っている社会契約ということになります。
もう少し細かく考えていきましょう。

ルソーは意志というものを

・特殊意志
・全体意志
・一般意志

の3つあると考えました。

特殊意志とは個人の利己的な意志のことです。
つまり自分さえよければよいって考え方です。

全体意志は特殊意志が単に集まったもののことです。
みんなが自分のことだけしか考えていない、
そういう悪い意味での社会的な意志が全体意志です。

一般意志というのは全体意志を越えたところにあって
公共の利益の実現を目指した普遍的な意志のことです。
だから全体意志と一般意志は対立する関係にあります。

で、社会契約というのは特殊意志を排除して
一般意志に従うとルソーは考えます。

こんな感じなので一般意志というのは大事なものになります。
一般意志がすべてのものに先立つものであって
国家を指導したりすることによって
政府は一般意志を執行するための一機関にすぎないと考えます。

以上のことによって失われた理想状態にあるような自然状態に近づけると
ルソーは考えました。

以上がルソーの社会契約の考え方です。

そしてルソーの場合には
もう1つ重要な考え方があります。
それは社会的な影響として直接民主主義を政治の理想としたという点です。
全人民が直接政治に参加するというのが直接民主主義です。

だから行政書士試験や公務員試験で
「ルソーは間接民主制」と書いてあったら×になります。
ご注意ください。
あくまでもルソーは直接民主主義です。

以上で社会契約説についての解説を終わります。