前回はプラトンの哲人政治とイデア論にについて解説しました。
⇒哲人政治とは?背景にある四元徳についてもわかりやすく解説
⇒イデア論とは?わかりやすく解説
今回はプラトンの弟子であるアリストテレスについて
プラトンとの違いを示しながらわかりやすく解説していきたいと思います。
プラトンとアリストテレスの違いは?
アリストテレスはプラトンの弟子です。
なのに、師匠のプラトンのイデア論を批判しました。
⇒イデア論とは?わかりやすく解説
そしてアリストテレスはエイドス論を主張したのです。
つまり
・プラトンはイデア論
・アリストテレスはイデア論を批判してエイドス論を主張
ということです。
もう少し詳しく説明しますと、
アリストテレスは「プラトンが主張したイデアの世界なんてない。
この世界を越えたところにある理想の世界なんてない。
存在するのはこの世界だけ。
この世界におけるあらゆるものは形と素材というものからできている」と考えました。
このアリストテレスの考え方をエイドス論といいます。
プラトンとアリストテレスの大きな違いになるエイドス論
エイドス論のエイドスとは『形相(けいそう)』のことです。
そしてエイドス論は『形相質料説』といったりもします。
形相とは『形』で質料とは『素材』のことです。
つまり素材に対して形が与えられることによって個々のものは成立するという考え方がエイドス論です。
(質料、素材)+(形相、形)=個物
となります。
上記図を詳しく説明しますね。
質料は質料因ともいいますが、素材のことです。
素材に対して形相(形)が与えられることによって個物が成立すると考えました。
個物というのはイデア論のところで解説しましたが、
この世に存在する犬とか人とか、絵とか目に見えるもののことです。
もっと詳しく個物について知りたい方はこちらをご覧ください。
⇒イデア論とは?わかりやすく解説
たとえば、石でできている彫刻作品があったとしましょう。
ただ、石だけ与えられたとしても、彫刻作品にはなりません。
石に対して形が与えられてはじめて彫刻作品になるわけですね。
こんな感じで素材(石)に対して形が与えられて初めて個物が成立するとアリストテレスは考えました。
このことを『可能態から現実態への発展』といいます。
だいたい形相というものが物事の本質に当たるわけですね。
そうですよね。
石という質料(素材)だけだとただの石ですからね。
石に形(形相)が与えられて初めて彫刻作品になり
人々に認められるわけです。
なので形相こそが物事の本質だといってもよいでしょう。
これがプラトンでいうところのイデアとイコールに近い関係になります。
でも、アリストテレスにおける形相はあくまでも個物に内在すると考えています。
つまり、それ自体(彫刻作品)に備わっているということです。
たとえばさっきの石の彫刻。
この上記画像の彫刻はその彫刻の外にあるわけではなくて
その彫刻そのものに備わっている(内在している)とアリストテレスは考えました。
このように考えないとプラトンのイデア論と同じになってしまいますからね。
形相というのは個物それ自体に備わっている(内在している)わけです。
イデアみたいに個物の外にあるわけではありません。
・プラトンのイデア・・・個物の外にある
・アリストテレスの形相・・・個物それ自体に備わっている(内在している)
ということです。
以上で解説を終わります。