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一般知識

獲得的地位・生得的地位とは?わかりやすく解説

獲得的地位 生得的地位とは




今回の記事では

・獲得的地位とは?
・生得的地位とは?

についてわかりやすく解説していきたいと思います。

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生得的地位・獲得的地位とは?

地位と役割

地位と役割というのは社会学の特殊的な概念であると同時に
あなたの日常生活の中でも普段から使う言葉だと思います。

例えば会社の中だったら
係長とか部長とか、執行役員とか。
そういった会社の中での地位というものがあります。
そういった課長なら課長という地位に付随する役割。
果たさなければいけない権利と義務の両方の側面を持ったものを役割と言います。

例えば課長は課全体の目標を達成するために
部下を動員してうまく主導していくという役割が課長には求められています。
それぞれの地位にはそれに付随する地位がセットになっているってことです。
地位と役割はそういった日常的な用語であるわけです。
ただ社会学ではもう少し厳密に地位と役割という用語を使っていきます。

リントンは地位の分類を2つに分けた

リントンは地位の分類を2つに分けています。

リントンは地位を

・帰属的地位(生得的地位)
・獲得的地位(業績的地位)

の2つに分けました。

生得的地位(帰属的地位)

生得的地位は帰属的地位ともいわれたりします。
生得的地位とは生まれながらにして持っている地位のことです。
例えば男性であるとか女性であるとかいった性別。
これは生まれた時に定まっていますよね。

それからあなたの生年月日。
1990年4月10日生まれとか。
これも運命的に与えられたものですよね。
つまり、年齢も生得的地位だといえます。

他にも日本人であるといった人種。
これも生まれながらにして運命的に与えられたものです。
こういったものが生得的地位とか帰属的地位です。

ただ今の時代生得的地位はほとんどありません。
政治家の息子だって選挙に勝たなければ政治家にはなれません。

生得的地位

歌舞伎であっても、あまりにも能力がない場合には
ネット社会なので、「いくら〇〇の息子だからって
あんな大根役者を後継ぎにするの?」みたいなことがSNSで
言われてしまいすぐに噂になってしまいますから
さすがに後継者にはなれないでしょう。

そういった意味で生得的地位というのは今の時代はほとんどありません。
大部分は獲得的地位だといえるでしょう。

獲得的地位(業績的地位)

生得的地位に対して
獲得的地位とは自分の努力によって手に入れた地位のことです。

あなたは今一生懸命働いていたり勉強したりしていると思います。
社会学の記事を読んでいるくらいですから、
少なくとも勉強熱心な方であるということは間違いないと思います。

あなたが今勉強している理由は
もしかしたら司法試験の予備試験で一般教養対策かもしれませんし
あるいは国家公務員とか地方公務員対策かもしれません。

あるいは定期テスト対策かもしれません。

いずれにしても自らの努力によって
あなたがなりたい職業を掴み取るために
一生懸命勉強しているのだと思います。
定期テスト対策だって
別に大卒資格を得たいってだけではないでしょう。
将来の就職のために大学に通っているのでしょうから。

こんな感じで自分の努力によって掴むとる
そういうような地位が獲得的地位(業績的地位)です

そこで獲得するためには能力を証明しないといけませんね。
そのときの証明としてよく利用されるのが学歴です。

「学歴で人間性なんて測れませんよ!」と思うかもしれませんね。
確かに学歴で人間性は測れないかもしれません。
でも、面接官はあなたの人間性をたったの5分程度で正確に判断できるわけがありません。

5分程度の会話であなたが会社の利益を上げてくれるような
本当に優秀な人物かどうかなんてわかりません。

そこで学歴に頼るわけです。
実際、高学歴の人であっても仕事の役に立たない人物なんてたくさんいるでしょう。
逆に低学歴であっても会社の利益に貢献できる優秀な人物はたくさんいるはずです。

ただ確率的には学歴が高い人の方が仕事ができる可能性が高いということです。
言い方を変えると、面接官からしたら採用した後に起きた責任をとりたくないから
学歴というものを採用の判断基準にしていたりします。

これは資格だってそうです。
たとえば韓国語ができるというだけだとどれだけできるかわかりません。

これが韓国語能力試験Ⅱ(中・上級)に合格していますとなると
相手は「かなり韓国語ができる人なんだな」と判断できるわけですね。

そうやって人を選抜するときの能力の証明として利用されます。

でも何でもかんでも学校(学歴を高める場所)に頼りすぎているということを
イリイチさんは「学校化社会」と批判しています。
イリイチさんは近代のいろんな論理を嫌っている人です。

そんなこともあって学校に頼るメリトクラシー社会を批判しています。
メリトクラシー社会とは?わかりやすく解説

「学歴なんかで判断しやがって」みたいな話はあると思います。
忘れてはいけないのは学歴は建前としては若いころの努力で変更可能なものです。
生まれつきのものではありません。

自分の努力で変更可能なものを基準に評価するわけですから
学歴主義は典型的な業績主義の一つになります。

業績主義についてはこちらの記事で解説しています。
メリトクラシー社会とは?わかりやすく解説

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生得的地位と獲得的地位まとめ

生得的地位(帰属的地位)とは自らの意思に関わらず、
生得的に持つ地位のことです。
具体例としては性別、年齢、人種が該当します。

それから獲得的地位(業績的地位)とは
自らの才能とか努力によって獲得する地位のことです。
具体例としては職業とか会社の中の地位とか、
夫婦関係が該当します。
夫婦関係だって獲得的地位です。
努力しないと夫婦関係になれませんからね。
相手が同意してくれないと夫婦関係になれませんからね。
相手に同意してもらうために努力するはずですから。

まとめ

・生得的地位とは生まれながらにして持っている地位のこと
・獲得的地位とは自分の努力によって手に入れた地位のこと

です。

では歴史的に見ると前近代的な社会においては
獲得的地位と生得的地位で
どちらが優位を占めると思いますか?
例えば江戸時代。
江戸時代みたいな封建的な社会や前近代的な社会においては
帰属的地位(生得的地位)が優位を占めます。
自らの意思に関わらず、生得的に持つ地位にずっと一生拘束されます。
例えば男性であること、女性であるということ、
そういう地位によってやっていいことと悪いことが決められます。
それを自分の努力によっては変更できかったわけです。

あるいは地位を身分という言葉に置き換えると分かりやすいかもしれません。
武士とか農民という身分の人たちも生まれた身分にずっと拘束されていました。
いくら努力しても自分の身分を変えることができませんでした。
運命的に与えられたものにずっと拘束されてしまうわけです。
前近代的な社会はそういう社会だったわけですね。

これに対して獲得的地位(業績的地位)というのは
どのような家庭に生まれたとしても
自分自身の努力によってなりたい自分になる、
なりたい地位につくことができることを言います。

例えば司法試験予備試験とか公務員試験というのは
全ての人に公正公平に与えられています。
自分の家がどんな家庭であろうとも
自ら努力して公正公平な試験を受けて合格すればなることができるわけです。

という意味で才能や努力によって自らの手で掴み取ることができるわけです。
近代以降の社会は業績的地位(獲得的地位)を優位に持っているということです。

以上で解説を終わります。