今回の記事では行政国家とは何かわかりやすく解説します。
行政国家とは?
行政国家とは何でしょう。
本来法律を作るというのは議会(国会、立法府)です。。
なのに、議会は法律の枠組みだけを作って
あとの細かい内容は行政府に任せてしまう。
これを委任立法といって、議会が法律を作らず
議会は行政府に立法を委任し、行政府が法律を作ってしまうという国家を行政国家といいます。
たとえば前回解説した夜警国家と比べて行政国家は政府の仕事は増えるのでしょうか?
⇒夜警国家とは?わかりやすく解説
結論、行政国家の方が夜警国家より政府の仕事は増えます。
これは夜警国家とは何かがわかっていたら行政国家の意味がわからなくても理解できるはずです。
なぜなら夜警国家は
・治安の維持
・外交
・防衛
だけやっていればよかったわけです。
でも、行政国家はいろんなことを政府がやらないといけないわけですからね。
だから行政国家の場合には政治領域は量的に拡大します。
つまり政府の仕事量が増えるってことです。
行政国家は福祉国家化によって起きているので、
生活保護の対応もしないといけません。
⇒福祉国家とは?わかりやすく解説
たとえば生活保護の場合、
どれくらいの収入以上だったら申請を拒否するか、
どれくらいの収入以下だったら申請を受け入れるか?
判断する基準が必要になったりします。
つまり、政治そのものが質的に複雑になってきます。
さらに公務員がプロフェッショナルになっていきます。
たとえば、家畜の飼育がきちんとできているか?見極められるような公務員なら
獣医師資格を持っていないといけないみたいなことは
公務員がプロフェッショナルであるという具体例になるでしょう。
以上のような感じで仕事量が増えるし、質的にも複雑になるし、
公務員がどんどんプロフェッショナル(専門化)になっていくしで
政治問題の処理が議会では難しくなっていくわけです。
夜警国家では外向と防衛と治安の維持だけなら
議員さんも議論したりして、上手く対応できていました。
でも、行政国家になり、
たとえば現在の国会の議員さんも該当しますが、
彼ら議員さんが日本国全部のお店や行政を把握できるわけがありません。
国会議員さんは法律を作る人たちだから立法府ですね。
立法府の対応が難しいから、三権分立で残る司法と行政のうち、行政の
政治的な比重が高まっていくわけです。
夜警国家は立法が主体でした。
議員さんだけで対応できたわけです。
夜警国家ではやることが少なかったわけですからね。
⇒夜警国家とは?わかりやすく解説
でも、福祉国家になり、法律を作る議員さんたちだけでは
とても複雑な社会に対応できないので
行政の影響力が高まっていくわけです。
つまり、夜警国家から福祉国家になった結果、
行政権の方が立法権よりも優位な立場になっていったわけです。
これを行政国家現象といいます。
また、こういった行政権が立法権より優位な国家こそが行政国家です。
三権分立は行政、立法、司法がうまくバランスをとりあうことで
私たち国民が安心して生活できるわけですが、
現在の日本でもそうですが、行政国家になっているので、
圧倒的に行政が優位な立場になっています。
これは悪いことではありません。
福祉国家だとどうしても行政が優位に立たないと
うまく市民にサービスできませんからね。
そんなこともあって国会ではどこまで法律を詳しくしていいかわからないので
大まかに法律を作っておいて、
あとは行政に任せるような委任立法も主流です。
行政国家は福祉国家に伴って必然的に登場してくるものです。
以上で解説を終わります。、