社会契約説といえば、ホッブズ、ロック、ルソーの3人が有名です。
今回の記事ではホッブズさんに焦点を当てて解説していきます。
社会契約説とは?
そもそも社会契約説ってどんな説なのでしょう?
簡単にいうと、一切の社会秩序のない自然状態を想定したもののことです。
要するに法もなければ、法の執行者(警察官とか)もいないという状態でもって
人間はどんなふうに生活しているだろうか?というのが自然状態です。
この自然状態から人が生まれながらにして持っている権利(自然権)を
持ち続けるために相互に社会契約を結んでいって
結果、国家が作られるという理屈が社会契約説です。
社会契約説で有名なホッブズの特徴
ホッブズさんはイギリス人で1588年から1679年まで生きた人です。
主な著書は『リヴァイアサン』です。
⇒リヴァイアサン 1 (光文社古典新訳文庫) [ ホッブズ ]
そして社会契約説の中核になる自然権のことを
ホッブズさんは『自己保存権』と規定しました。
自己保存権とは自分の生命や身体を守るために必要な一切のことをなす権利のことです。
要するに『命あっての物種』という意味です。
『自己保存権』=『命あっての物種』
ということです。
それからホッブズさんは自然状態をどのように捉えたのでしょう?
『万人の万人に対する闘争』状態と捉えました。
要するに自然状態、みんなが争っているような状態だから
自己保存権を勝手に使うのではなくて、
唯一の人間あるいは唯一の合議体に譲りわたしたらどうか?
と主張しました。
これが後で述べるように『絶対王政擁護』につながってしまいます。
たとえると、個人個人に自己保存権を渡して使わせると
みんなバラバラに使ってしまいます。
結果、みんなやることが違うからぶつかってしまい
万人の万人に対する闘争が始まってしまうわけです。
この状態を終息させるためにはどうすればよいか?
勝手に使わせるのをやめさせることです。
そのために力の強いものに預けて、
力の強いものが「今、お前が使っていいよ」みたいに
指示するわけです。
これをわかりやすくたとえると、
雷などが原因で信号機が停電してしまい、
無法地帯となった道路を警察官が一方の車の通行を止め、
一方の車を進行させるみたいな交通整理のことだと思ってください。
こんな感じで利用するとうまくみんなとぶつからずに使えると
ホッブズさんは考えたわけですね。
で、ホッブズさんの考え方だと『絶対王政擁護』につながってしまいます。
なぜならホッブズさんは唯一の人間を自己保存権を譲り渡す考えを示したからです。
ホッブズさんはさらに唯一の人間に譲り渡すし、さらに抵抗や反逆は許されないとしたため
絶対王政擁護につながってしまったのです。
ここは次回解説するロックとの違いにつながっていきます。
⇒社会契約説で有名なロックの重要ポイント(ホッブズとの違い)