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一般知識

ルーマンの複雑性の縮減とは?簡単にわかりやすく解説

役割葛藤 例




今回の記事ではドイツ人『ルーマン』さんが提唱した複雑性の縮減について
簡単にわかりやすく解説していきたいと思います。

そもそもルーマンさんの考え方はめちゃくちゃ難しいので
どこまでかみ砕いて説明できるかわかりませんが、
最後までついてきていただけるとうれしいです。

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ドイツ人のルーマン

ルーマンさんは元々、公務員でした。
大学卒業後、すぐに研究者になったわけではありません。
ただ、研究関心がすごく強くてハーバード大学に留学し
パーソンズさんのもとで勉強し、研究者になりました。

「パーソンズってどんな人?」と気になる方はこちらの記事をご覧ください。
行為システムとは?わかりやすく解説

ルーマンがパーソンズさんの教えを学び
ドイツに帰ってきて最初にやったことは組織論の研究です。
行政学では『機能』という言葉をあいまいに使ったりします。
そりゃそうですよね。
中小企業診断士試験の企業経営理論で出てくる『機能』という用語は
行政学とか政治学といった領域で使われる『機能』とはどう考えても違うものでしょう。

たとえば、生物で出てくる『機能』だったら
腎臓の機能は尿を生産したり、再吸収したりして
みたいな意味合いでの機能となるでしょう。

これと同じで行政学者が使う機能と経営学の中の組織論における『機能』
とはまったく意味合いが違うはずです。

話を元に戻すと、
ルーマンさんは行政学者がいかに『機能』という言葉を曖昧に使うのか?
みたいなことを論文にしたりしながら
組織研究をすすめていきました。

その後、社会学全般にまで研究分野を拡大し
社会学者となりました。

ルーマンさんもパーソンズさんと同様に抽象的に物事を考えるのが好きな人でした。
また、パーソンズさんから学んでいたので
社会はシステムである」という観点からいろいろ考えようとしました。

ルーマンは「いろんな経験以上にいろんな可能性があり得る」と主張しました。
でも、いろんな可能性すべてを私たちは検証できません。

たとえばお笑い芸人コントをしているときに
「お前のコント、面白くないな」と
舞台に上がってくるお客さんがいるかもしれません。
可能性はゼロではありません。

でも、その芸人がお客さんが舞台に上がってきて
文句を言ってくるかもしれないと思いながら
コントをしているわけではないでしょう。
もし考えていたら、びくびくしながらコントをするはめになり
見ているお客さんはつまらないと感じてしまうでしょう。

とはいえルーマンさんはいろんな可能性がありえるはずだけど
一部分だけ考えればすむようにしている
と考えました。
これを複雑性の縮減といいます。

いろんな可能性を考えるのは複雑になりますね。
その複雑さを減らして考えるわけですよ。
だから複雑性の縮減というわけですね。

で、複雑性を縮減しているのは『システム』だとルーマンさんは考えました。
システムはシステムの中と外を分けて考えるのが一般的ですが
ルーマンさんは複雑性が高いか低いかで考えます。

システムの中の方が複雑性が低く、外の方が高いと考えます。

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複雑性の縮減

複雑性の縮減というのは2つの内容から成り立っています。

複雑性の縮減(1)世界の複雑性

1つ目は世界の複雑性という考え方です。
この内容は私たちに選択を迫る体験や行為の可能性が無数に存在するということです。
今日、あなたが自宅で起きてから今この記事を読むまでの間に
どんな行為を選択してきたか?思い出してみてください。

世界の複雑性

たとえば目覚まし時計が鳴ったとしましょう。
鳴った時にあなたはすぐに起きましたか?
起きたとしたら、まずは目覚まし時計を消しますね。
消した後、すぐに起き上がるという選択もありますし
ちょっと時計を見ながら、「10分くらい寝ようかな」
と二度寝する人もいるでしょう。

つまり

目覚まし時計が鳴り、消した後

・すぐに起き上がる
・二度寝する

という選択肢があったはず。

こんな感じで私たちに選択を迫る体験が
朝一番、目覚まし時計が鳴るということで始まりますよね。

ですが、あなたが学生なら大学の講義に行かないといけないかもしれませんし
サラリーマンなら会社に出勤しないといけません。

だからあなたはある時点で起きたはずです。
そうでないと大学の講義を欠席することになったり
会社を欠勤するはめになってしまうからです。

あるいは友達と遊ぶ約束があったならあなたが起き上がらないなら
約束を破ることになってしまいます。

するとある時点になって布団から起き上がりますよね。
起きた後に次にあなたは何をしますか?
またあなたの前にはいろんな選択肢があります。

トイレに行く人もいるでしょう。
喉が渇いたから水を飲む人もいるでしょう。
目を覚ますために朝シャンをする人もいるでしょう。

上記の中からどれかをあなたは選択したとしましょう。

その次にまたあなたは何かを選択することになります。
こんな感じで無数の選択肢があなたの前にはあります。

その無数に選べる選択肢の中の何か1つをあなたは選択し続けるわけです。

たとえば顔を洗うという選択をしたとしたら
次にタオルで顔を拭くとか歯みがきをするという選択をしたりと
選択肢は無数です。

だから私たちに選択を迫る体験や行為の可能性が私たちの前には
無数に存在していてその中のどれかを1つ選択して
それをし終わったらまた次に無数の可能性があって
その中の1つを選んでいくわけです。

そういう形でずっと私たちは選択してきて
最終的にはあなたはこの記事を読むという選択をして
実際にここまで文章を読んだわけですね。

だから世界の複雑性というのは私たちに選択を迫る体験や行為の可能性が
私たちの前に無数に存在しているということです。
そういう前提として私たちは世界と向き合っているということです。
そういうふうに捉えるのが世界の複雑性ということになります。

(2)複雑性の縮減

2つ目は『複雑性の縮減』になります。
私たちが生きていくためにはこの無数の可能性の中から限られたものを選択せざるを得ないということ。
まずは世界の複雑性として私たちの前には
行為が選択できるものがいっぱい並んでいる。
その中でどれを選んでもよくて、何かを選んだら
その次にまた選択できる行為の可能性は無数に存在するわけです。
そしてその中の何かを選んでいい。
そしてまた次も同じような感じで私たちの前には行為の可能性が無数に存在するという前提で捉えるのが世界の複雑性でした。

これに対して複雑性の縮減ということになると
何を選んでもいいからといって私たちは何を選ぶのか?といったら
私たちが生きていくためには無数の可能性の中から
限られたものを選択せざるを得ないと考えます

たとえばあなたにとって一番大事な目的は何でしょう?
大学院試験に合格するという人もいるでしょうし
就職試験に合格するという人もいるでしょうし
結婚するというのが目的の人もいるでしょう。

その目的を達成するために
いろんな行為が選択できるわけですが
たとえば今日どこかに遊びに行くという選択肢も選べるはず。
でもあなたは遊びに行かないでこの記事を読みながら
知らない知識を補うという選択肢をとったわけですね。

ということは自分にとって大切な目的を達成するためには
無数に行為を選べるけど
その中で遊びに行くという選択肢は排除し
勉強するという選択肢を選んだということになります。

だからいろんな可能性があるなかで
自分にとって大事なものを実現するためには
限られたものを選択せざるを得ないということです。

受験勉強のためにわからないところをネットで検索するとか
辞書で調べるといった受験に関係するような選択肢を選択せざるを得ないということです。

自分にとって大切な目的を達成するためには
無限に存在する行為の可能性の中から限られたものを選択せざるを得ません。
ということは世界が複雑性をもっているなかで
あなたが選べるものはその中で限定されたものに徐々に縮減されていくという形で
論じているのがルーマンの複雑性の縮減ということです。

私たちは何か重要なものを達成するために
いろんな行為の可能性の中から何かを選ぶということ。
何かを選ぶということは他の可能性を捨てることになります。
あれもこれも選択することはできません。
遊びか勉強か?を迫られたら、
この記事を読んでいるあなたは勉強を選択したわけです。

というような形で何かを選ぶということは他の可能性を断念することになります。
そういう決断は人生の中でしていかないといけません。
あれもこれもは無理です。
自分にとって一番大事なものは何か?
考え、選ばざるを得ません。
これが複雑性の縮減です。

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複雑性の縮減の具体例

複雑性の縮減の具体例としては

たとえばあなたが公認会計士の資格をとろうと思った時に
ジュンク堂書店に行ったとしましょう。

ジュンク堂書店のような大型書店だと公認会計士の資格関連なんて数百冊くらい置いてあります。
あまりの本の多さに唖然とするかもしれません。

でも、あなたは資格の大原とかLECにお金を払えば
「どの本で勉強しようかな」と悩む必要はありません。
その資格学校から与えられたテキストと先生の講義を利用すれば
合格する確率が高まります。

また資格の学校であれば
「この内容は覚えてください」「この内容は試験には出ません」
と試験に出題される内容を取捨選択してくれます。
こうやって重要な情報だけを絞り込んで
複雑性を縮減した形で情報提供しているのが資格の学校
です。

こうやって複雑で悩ましい社会を
より悩まない形まで取捨選択してくれているというのが
複雑性の縮減です。

ここまで理解できたらルーマンさんが書いた書籍を理解できるでしょう。
信頼 社会的な複雑性の縮減メカニズム [ ニクラス・ルーマン ]

続いて同じルーマンさんが提唱したオートポイエーシスについて解説します。
ルーマンのオートポイエーシスとは?例を挙げてわかりやすく解説