今回の記事ではアメリカ人のロストウさんのテイクオフ論についてわかりやすく解説します。
ロストウのテイクオフ論

ロストウさんは経済学者です。
しかもただの経済学者ではありません。
アメリカのケネディ政権で大統領補佐官をしていました。
なので、大統領に直接、経済政策をアドバイスするような立場だったのです。
ロストウさんが活躍した1960年代というのは
アメリカとソ連の対立がすごく激しい時代でした。
だからロストウさんも露骨にソ連への対抗意識がありました。
ソ連はマルクス経済学が中心でしたので、
ロストウの著書には以下のようなものもありました。
⇒ロストウの非共産党宣言
こんな感じでロストウさんはマルクスを敵視するような理論を展開していきました。
そこでロストウさんは経済成長の5段階を掲げます。
特に第3段階と第5段階が重要です。
まず第1段階は『伝統的社会』です。
これは農業中心の単純再生産の時代になります。
農業は毎年毎年1年サイクルで同じことをやっています。
単純再生産ですから同じことの繰り返しをずっと続けていました。
次に第2段階に入ります。
第2段階は『離陸のための先行条件期』になります。
第2次産業が導入されます。
そして第3段階『離陸(テイクオフ)』になります。

そして上記図をご覧ください。
これは1国の経済規模になります。
当時はGNPで現在はGDPですが、
これをグラフ化したものです。
⇒GNPとは?わかりやすく解説してみた!
⇒GDPとGNPとNDPの違いとは?

GNPが横ばいということは経済成長率が0ということです。
これは経済規模が同じだからです。
これがある時を基準に一気に経済が成長する、転換点です。
このことをテイクオフといいます。
飛行機の離陸に例えているわけです。
飛行機はいきなりは飛び立てません。
だから滑走路があるわけです。
ヘリコプターとは違います。
飛行機は滑走路を時速400㎞とか500㎞くらいまでスピードを上げて
初めて飛び立てるわけです。
これの助走期間が必要です。
それまではずっと地上を這うだけです。
ロストウさんは経済も同じだというわけです。
経済成長をしようと思ってもいきなりはしません。
ある程度の準備期間が必要です。
ですが、経済成長のための準備がしっかりと整ったら
あとはぐんぐん経済成長を続けていくということです。
さらにロストウさん的にはいったん飛んだ飛行機は落ちないといいます。
いったん経済成長が始まったらあとはぐんぐんと天高く飛び立っていくだけだと理論化していきました。
さらにだ4段階に入ると重工業化していき成熟していき、
さらに第5段階に入ると『高度大衆消費社会』に入ります。
第3次産業が中心になります。
こんな感じでサービス業が充実していくのが高度大衆消費社会になります。
さらにそんなこといっても世界中を見渡せば、
豊かな国もあれば貧しい国もあります。
どうして貧しい国があるのでしょう?
ロストウさん的には「まだ飛び立っていないだけ。どの国もテイクオフを経て
どんどん豊かになっていく。単に早いか遅いかにすぎない」といいました。
先進国、発展途上国という言葉がありますが、
これはロストウさんの考え方に基づいて作られた言葉です。
すでに飛び立っているか(先進国)かまだ飛び立っていない(発展途上国)かということです。
ですが、どこの国もみんな同じコースをたどる(同じような経済発展の段階を辿る)から安心しましょうと
ロストウさんは考えました。
続いてロストウさんの収斂理論について解説します。
⇒収斂理論とは?わかりやすく解説