「政党」って、ニュースや授業ではよく聞く言葉だけど、
「結局なに?」って思ったこと、ありませんか?
じつは政党という言葉の意味を
たどっていくと、意外とシンプル。
英語の「パーティー」との関係もふくめて、
今回は「政党ってなんだろう?」を、
できるだけわかりやすく説明していきます。
政党とは?定義をわかりやすく説明

簡単に見ていきましょう。
まずは「定義」です。
もともと政党とは何かというと、
「徒党」や「派閥」という意味なんです。
「徒党」や「派閥」と聞くと、
ちょっと悪いイメージがありますよね。
どういうことかというと、
社会の中に3人の人がいるとします。
その3人のうち、
2人が仲良くなったとします。
そうすると、残った1人は
仲間はずれになってしまいますよね。
この、仲良くなった2人のことを
「徒党」や「派閥」と呼ぶわけです。
つまり、もともとは3人でいたのに、その中の2人がくっついたことで、「2対1」に分かれてしまったということです。
このように、仲良くなった2人が結びついたことで、社会の中で分かれ方ができてしまうんですね。

たとえば、男2人と女1人の3人で登山に行ったとしましょう。
最初は3人でワイワイと登っていたのに、
途中から男1人と女の子が自然とペアになって、
2人だけで会話が盛り上がり始めます。
笑い声は2人の間でだけ響いていて、
もう1人の男は数歩後ろからついていくだけ。
話しかけても会話に入れず、
歩くペースも合わず、
いつの間にか「一緒に来た」のではなく
「付いてきただけ」になってしまう。
表向きは同じ山を登っているのに、
心の中では完全に1人きり。
こうして、自然と「2対1」の構図が生まれ、
そこにいるはずの誰かが
いないもののように扱われてしまうんです。
このように、もともとは一緒だった人たちが
、一部の人どうしで強く結びつくことで、
グループが「分かれる」ことになります。
それが「徒党」や「派閥」と呼ばれるもので、
のちに「政党」とつながっていくのです。
だから、政党は英語で「パーティー(party)」と言いますが、
この「パーティー(party)」という
言葉のもとになっている「パート(part)」には、
「分けられた一部分」という意味があります。
つまり、「ひとつだった社会」が、
誰かと誰かが結びついたことで、はっきりと分かれてしまった。
そうした「分かれた側(=パート)」を表す言葉として、
「パーティー(=政党)」という呼び方が使われているのです。
もともとひとつだったものが、
いくつかのグループに分かれてしまう。
そうなると、社会の中でも「こちらのグループ」と
「あちらのグループ」という形ができあがります。
それぞれがまとまって行動しようとすると、
意見のちがいも出てきますし、
ときには対立が起きることもあります。
そうやって、社会の中に分かれ目ができてしまうんです。
だから、「政党」は社会を2つに分けるもの。
社会を分断させるもの。
そういう意味で、「パーティー」や「徒党」、
それから「派閥」などと呼ばれるわけです。
簡単に言えば、こういうことです。
小学校や中学校のクラスを思い出してください。
女の子のグループができますよね? 2つとか3つくらい。
それが「パーティー」なんです。
クラスの女子全員がひとつになって
仲良くしているわけじゃなくて、
その中でグループができて、2つか3つに分かれている。
たとえば、新しく転校してきた子が、
どのグループにも入りづらそうにしている場面を
見たことがあるかもしれません。
それぞれのグループがしっかり固まっていて、
「ここは私たちの場所」みたいな雰囲気ができている
。
クラスにいる全員が同じ空間にいても、
実際には小さく分かれていて、入りにくい壁がある。

給食の時間にも、そういうことが起こることがあります。
いつも同じメンバーだけで
机をくっつけて食べているグループがあると、
ほかの子がそこに入ろうとしても、
ちょっと遠慮してしまうことがあります。
「ここに座っていいかな」と思っても、
なんとなく輪の中に入りにくい空気がある。
そんなふうに、見えない線が引かれてしまうのです。
つまり、そこで「分断」が
起きているということなんです。
仲のいい人と、そうじゃない人って、分けちゃいますよね?
それが「パーティー」なんです。
前にお話ししたように、
たとえば新しく転校してきた子が、
どのグループにも
入りにくそうにしている場面ってありますよね。
それぞれのグループがかたまっていると、
入ろうとしても声をかけづらくて、
ひとりぼっちになってしまうかもしれません。
つまり、そのクラスの中で、
「みんなでひとつ」という感じがなくなっていて、
いくつかのグループに分かれてしまっているということです。
そうやって、クラスの中に目に
見えないかべができてしまうと、
誰かがさびしい思いをしたり、
話したいことが言いづらくなったりしてしまいます。
だから、クラス全体にとっては、
あまりよくないことなんです。
「みんなの場」だったはずの教室が、
「いくつかのグループだけの場」になってしまうからです。
政党をわかりやすく理解するための見方の転換
だからこそ、「パーティー」っていう言葉は、
もともとはあまりいい意味じゃなかったんですよ。
で、それに対して、
バークという人が出てくるわけです。
バークは、「政党っていうのは良いものなんだ」というふうに、
定義を変えていきます。
もともと、「政党」は「徒党」や「派閥」のように、
社会を分けてしまうものとして
マイナスの意味で見られていました。
そんなふうに、悪いイメージを持たれていた政党を、
「社会をまとめるしくみとして大切なものだ」と、
はじめてプラスの意味でとらえたのがバークなんです。
「バークによれば、政党とは、
みんなが同じ考えにそって力を合わせ、
国民全体のためになるように
行動する人たちの集まりである」と。
バークの定義によって、
政党に対する見方が変わったんです。
簡単に覚えてほしいんですけど、
「政党とは、国民的利益を増進させるもの」。
この言い方を覚えておけば、
公務員試験の問題が解けます。
昔の国税の試験で、バークの定義が出たことがあるんです。
とてもよくある問題で、
一番有名なバークの定義が正解の選択肢として出ていました。
全部をきれいに覚えるのがむずかしいなら、
「国民的利益を増進させるもの」だけでも
覚えておいてください。
では、なぜバークが「政党は良いものだ」と言ったのか、
もう少し見ていきましょう。

もともと悪い意味で使われていた「政党」は、
「派閥」や「徒党」のように、
自分たちの利益だけを追いかけていたからなんです。
たとえば、あるグループが、
「自分たちの給料だけを上げよう」とか、
「自分たちの身内だけが得をすればいい」と
考えて動いてしまう。
そうなると、他の人たちは置き去りにされてしまって、
社会のバランスがくずれてしまいますよね。
いいですか?
ここは大事なところですが、
そういうグループは「自己利益を追求している」んです。

でも、バークは「そうじゃない」と言いました。
「政党っていうのは、自分たちのためだけじゃなくて、
国民全体のために動いているんだ。
もっとよくしていこうとしているんだ」――
そういう定義を加えたということです。
たとえば、「みんなの暮らしをよくしたい」とか、
「国全体の安心・安全を考えよう」と、
自分たちだけじゃなくて社会全体のことを大事にする――
そんな考え方です。
つまり、政党に対する評価が、
マイナスからプラスに変わったということですね。
そこが、大事なポイントなんです。
そして、このとき、
「イメージの転換」が起きたということなんです。
この「政党」っていうのは、
ちょっと深い話になりますが、
もともとバークは政治家でありながら、
「美学」にもくわしい人だったんです。
美しさや価値について考える「美学者」でもあり、
最後は政治家として活動しました。
バークが話していたのは、
イギリスの自由党についてのことです。
「私が属しているイギリスの自由党は、
国民全体の利益を増進させるんです」――
そんなふうに、みんなのために働く政党なんだ、
ということを演説で伝えたんですね。
そこから、「政党」という考え方が、
ただのグループではなく、
社会をより良くするためのしくみなんだ、
というふうに広がっていったのです。
政党とは?簡単にわかりやすく解説まとめ
ここまで読んでくれて、ありがとうございます。
この記事では、政党とは何か、
そしてその意味がどのように変わってきたのかをお話ししてきました。
はじめは「パーティー(party)」という言葉が、
「分かれてしまう」「仲間はずれを生む」という、
マイナスの意味で使われていたこと。
でも、バークが「国民全体のために働く政党」
という考え方を示したことで、
政党は社会にとって必要で大事なしくみだという、
プラスのイメージに変わっていったこと。
つまり、政党とは、ただのグループではなく、
社会と国をつなぎ、
みんなの生活をよりよくするために活動するものなんです。
ちょっとむずかしい話もありましたが、
ここまで読んでくれたあなたなら、
もう「政党って何?」と聞かれても、
しっかり自分のことばで説明できるはずです。
「政党って、なんかムズカシイし、よくわからない…」
そう思っていた人にとって、
少しでもイメージが変わるきっかけになっていればうれしいです。
最後まで読んでいただき、
本当にありがとうございました!