今回の記事では移用と流用の違いについて
わかりやすく解説していきたいと思います。
移用と流用の違いを理解する前提知識
以前歳出予算について解説しました。
⇒歳入歳出予算とは?わかりやすく説明
環境省の歳出予算を例にとると
環境省の歳出予算の例
・各省庁「所管別」・・・環境省
・「組織別」・・・環境本省や出先機関
・「項」・・・環境本省共通費など
・「目」・・・気候変動影響研究調査費など
となり、「所管別」から「目」に向かってどんどん細かくなっていきます。
ところで、上記歳出予算の中で国会の議決が必要なのはどれでしょう?
「所管別」、「組織別」、「項」です。
逆に「目」は国会の議決は必要ありません。
「目」は細かすぎる予算なので、
国会で議決をやっている暇がないのでしょう。
国会の議決の有無については暫定予算とか補正予算についても
知っておいた方がよいでしょう。
公務員試験や行政書士試験の一般知識で出題される可能性がありますからね。
⇒暫定予算とは?わかりやすく解説
⇒補正予算とは何か?わかりやすく解説
ここまで理解できたか?
では、移用と流用の違いについて説明していきますね。
移用と流用の違い
移用というのは「項」と「項」の間で金額を移動させる(変える)ことです。
先ほどの環境省の例で言うと、環境本省共通費などの「項」に該当するものの金額を変えることを移用といいます。
これに対して流用は「目」と「目」の間で金額を移動させる(変える)ことをいいます。
移用と流用では移用は「項」で流用は「項」よりも細かい「目」が対象という点で違います。
あと重要なのは、移用の対象になる「項」は国会の議決が必要になるんでしたね。
国会で議決して決めた「項」ですから
移用しようと思ったら再度、国会の議決が必要になります。
勝手に移用をしたらダメです。
しかも移用の場合、国会の議決を経たうえで、さらに財務大臣の承認も必要になります。
かなり厳格な対応ですね。
ところが流用は「目」と「目」の移動であって、「目」は国会の議決が不要でしたね。
ですから、流用の場合は国会の議決が不要です。
ただ、流用の場合も財務大臣の承認は必要になります。
財務大臣のお仕事大変ですね。
まぁおそらくこの辺は官僚がやってくれているんでしょうけどね。
移用と流用の違いまとめ
最後にまとめますと
移用と流用の違いは
・移用は「項」と「項」の移動、国会の議決必要
・流用は「目」と「目」の移動、国会の議決不要
で、共通点は移用も流用も財務大臣の承認が必要ということでした。
以上で解説を終わります。