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一般知識

リースマンの孤独な群衆についてわかりやすく解説

リースマン 孤独な群衆




この記事ではデーヴィド・リースマンの孤独な群衆について
わかりやすく解説します。

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デーヴィド・リースマンの孤独な群衆

リースマンが書いた『孤独な群衆』という本は
戦後アメリカで出版された社会学の本の中で一番売れた本です。
そういった意味ですごく有名な本です。

その社会において支配的な性格を『社会的性格』というのですが、
リースマンは孤独な群衆の中で3つに分けています。

社会的性格は

(1)伝統指向型
(2)内部指向型
(3)他人指向型

の3つに分けることができます。

では何を基準に人は行動するのか?というときに
まず伝統指向型の人は慣習や伝統にのっとって行動します。
なので伝統指向型は伝統社会につながります。

内部指向型は自己の良心です。
自分の考え方に従って生きていく人のことです。
内部指向型は近代市民社会につながっていきます。

他人指向型は他人の期待です。
他人の期待通りに動いていきます。
他人指向型は現代大衆社会とつながっていきます。

当然問題になっていくのが他人指向型になります。

順番注意して欲しいのがウェーバーの支配の3類型みたいに
歴史的に変遷しないというのもありますが
リースマンの社会的性格は歴史的な順番です。

ちなみに

ウェーバーの支配の3類型とは

(1)伝統的支配
(2)カリスマ的支配
(3)合法的支配

のことです。

そして

社会的性格は

(1)伝統指向型⇒(2)内部指向型⇒(3)他人指向型

という順番で動いていきます。
そして現在は(3)の他人指向型になっているということです。

どういうものか?というと
ケインズの一般理論の中で美人コンテストの例があります。
ケインズの一般理論を読んでいれば結構有名な箇所です。
その中で「美人コンテストをしよう!」といった時に
伝統指向型の人は歴史的に美人だと思った人に投票します。

歴史的に美人とはどういう人か?というと
西洋だったらミロのビーナスが一つの基準になっているので
ミロのビーナスに近い人が美人だと思って投票する人は伝統指向型になります。

これに対して内部指向型の人はどういう人か?というと
自分が美人だと思った人に投票する人。
それが内部指向型の人になります。

他人指向型の人というのはみんなが美人であろうと思う人に投票する人です。
現在はどうなっているか?というと他人指向型になっています。
どうして他人指向型か?というと、
人のことを気にしているからです。

人のことを気にしてうまくいくものって何か?というと
言い換えると他人指向型で上手くいくものって何か?というと
ズバリ『株の取引き』です。

人が欲しがるであろうというものを予測して行動しないといけません。
だから株の取り引きをするようなことっていうのは
他人指向型の典型的なものです。

もう一つは人がうらやましがるものを買うことも他人指向型で上手くいきます。
たとえばブランド品です。
別にブランド品でなくてもよいのですが、
「あ、グッチのカバンだ」みたいに人がうらやましがる可能性が高いですよね。

こんな感じで他人がうらやましがるものを『あえて』買う人も他人指向型です。

私は獣医師として動物病院を経営しています。
プロフィールと当ブログを作ることになったきっかけ

他人指向型

スタッフ採用面接をしていて、
面接に来た人に私が
「最近関心のあるニュースって何かありますか?」って聞いたら、
「最近関心のあるニュース・・・。何かありましたっけ?」
みたいな質問を質問で返す人がいます(苦笑)。

不思議ですよね。
「あなたが最近関心があるニュースは何ですか?」って聞いているのに
私に聞いてどうするって思いません?

その人はどうしてそういうことを聞くか?っていうと
どういうニュースが人に受けるか?ということを気にしているのです。

今の20代くらいの人ってたいていそうです。
典型的な他人指向型です。
どうやったら受けるか?ということしか言いません。

そうじゃなくてあなたの考えはどこにあるの?
って面接では聞いているのに、
面接官である私に「どうすれば受けますか?」って聞き返すのは
明らかに他人指向型の典型例です。

こんな感じなので
他人指向型の人ばかり集まると意見を言わなくなります。
それはどういう場面で出てくるか?というと『会議』です。

スタッフ間で会議をやってもらうと
なんとなく意見を言いにくい雰囲気ってありますよね。

そうすると何というか?というと
「空気を読む」っていいます。
空気を読んで何も言いません。

空気を読み始めるとどうなるか?というと
なんとなく物事が決定します。
なので誰が決定したかわかりません。

あと他人指向型の具体例を挙げると
社会学の大衆消費社会論で
登場するヴェブレンが提唱した『誇示的消費(こじてきしょうひ)』があります。
ちなみにリースマンってヴェブレンのことを研究していますから
そこから他人指向型の具体例として『誇示的消費』が登場したりします。

たとえば行政書士試験と司法書士試験に受かったとしても
「司法書士」といった方がかっこいいから「司法書士試験に受かった」
と行政書士試験に触れない人を見かけたりします。

これは他人指向型ですよね。
自分が何をやりたいか?わかっていないわけです。
人がいいと思うものがいいわけです。
自分がないってことです。

引きこもり

他人指向型が極度になった人ってどんな人でしょう?
人の目を気にしすぎる人なわけですから
引きこもりの人」が該当します。

引きこもりの人は人の目を極度に気にしています。
他人指向型だからです。
すごく自意識過剰になっています。
こういうのが現代社会の特徴ということです。

現代アメリカ人の社会的な性格は?

デーヴィド・リースマンは『孤独な群衆』という本の中でアメリカ人の
社会的な性格の歴史的な変遷というのをまとめました。
それによると現代のアメリカ人の社会的な性格は他人指向型(他人志向型)になっているとリースマンは主張します。

他人指向型の指向(しこう)というのは『指』という字が一般的です。
でも志す(こころざす)方の『志』を書く場合もあります。
両方の表記(他人志向型、他人指向型)で覚えておきましょう。
どちらかが間違っていて、どちらかが正しいということではありませんからね。

リースマンの『孤独な群衆』を翻訳した加藤秀俊という社会学者自身が
他人志向型と他人指向型を区別しないで使っています。
仕方ありません。
一般的には『指』の方の他人指向型を使います。

伝統指向型

歴史的に見ると最初は『伝統指向型』です。
農業、漁業、林業といった第1次産業が盛んだった時代の話です。
このときの人々は1つの農村で生まれて成長し、
同じ農村で死んでいくというような一生を送っていました。

するとその人の生まれ育って死んでいく1つの共同体(村社会)というのは
その人にとって世界に等しいわけです。
だからその共同体の中の慣習とか倫理に同調するような生き方をすればよかったわけです。
それが伝統指向型です。

村の慣習とか規定に従うような生き方がよい生き方として
認められていたわけですね。
それが伝統指向型です。

内部指向型

伝統指向型からもう少し時代が進むと
工業生産が盛んになっていきます。
つまり第2次産業が盛んになってくると都市に工場が作られます。
すると農村から都市への人口の移動が起こります。

すると都市に作られる工場にいろんな地方から働きにやってくるわけです。
新しく形成された都市では人々が従うような道徳とか社会的なルールが確立されていませんでした。
かといった自分が生まれ育った村の倫理観とか生活様式を
そのまま再現することもできません。
だって他の村出身の人のルールと自分の生まれ育った村のルールは違うでしょうから。

たとえば食事のルールだって違うでしょうし。
悪いことをしたら村八分にするルールがあったりなかったりとか。

自分が従うものもまだ形成されていないし
自分がかつて経験したものをそのまま再現することもできないから
何か行為をするたびにその人が自分の内面に問いかけをするわけです。

「私はこういう場合、どのように行動したらいいのだろう?」
と自分の内面的な良心に対して問いかけをします。
そして良心が「お前はこのようにこのように行動せよ」
と自分に対して命じてくれるわけです。

船がどのような方角に航海していったらいいか?示すものを羅針盤(ジャイロスコープ)といいますが
心の中に羅針盤を持っているように「お前はこのような行動をせよ」みたいに
自分に示してくれるわけです。

自分の心の内側を探っているから
内部指向型といいます。
羅針盤を持っているような感じだから
内部指向型をジャイロスコープ型ともいいます。

他人指向型

次に20世紀にはいると今度は第3次産業のサービス業が中心になります。
他人が何を要求しているのか?をレーダーを張り巡らして
敏感にキャッチして顧客が満足することにこたえていくのが
サービス産業に従事する人間に求められる行動様式です。
顧客満足度を高めるのが重要だということです。

そのためには世の中がどういう方向から
どういう方向に流れているかを
レーダーを張り巡らしてキャッチしてその流れに同調して
自分を合わせることができる人間というのが
その社会の中では期待される人間になります。

「空気を読む」という言葉がありますね。
空気を読める人間というのが他人の期待に応えることができる人間ですよね。
コミュニケーション能力が高く、
周りの人が何を望んでいるのかを敏感にキャッチして
その期待に応えることができるのがサービス産業の世界では期待される人間になります。

つまり他人指向型です。
他人の反応とか流行に同調する、そういうタイプの人間が
サービス産業の世界では成功しやすいでしょう。
まるで心の中にレーダーを持っているようなものだから
他人指向型はレーダー型といわれることもあります。

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デーヴィド・リースマンの孤独な群衆まとめ

デーヴィド・リースマンの孤独な群衆では
ここまで解説してきたような歴史的な流れが重要です。

歴史的な流れ

伝統指向型あ(第1次産業が主)
⇒内部指向型(第2次産業が主)
⇒他人指向型(第3次産業が主)

です。

アメリカ人の社会的性格は伝統指向型から内部指向型へ、
さらには内部指向型から他人指向型へと移り変わっていきました

ではデビットリースマンは上記3つの類型の中で
どのタイプに期待をかけていたのでしょう?

他人指向型はあまり期待をかけていませんでした。
どうしてでしょう?
カリスマ的なリーダーが登場したら他人指向型だとそのリーダーの示す方向に
そのまま引っ張られていく可能性があるからです。
大方の連中が、そのリーダーの示す方向に進んでいるなら
自分もその流れについていこうというタイプです。
心の中の信念とか自分の心にこだわるということがありません。

これに対して内部指向型というのは
100万人が右に行っても自分は左に行くような考え方を持っています。
つまり自分自身の考え、主体性にこだわります。
だから内部指向型の人間にリースマンは期待をかけています
つまり内部指向型が民主的な社会には適合的であると
リースマンは主張しています。

以上で解説を終わります。