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1次試験

マートンの官僚制の逆機能について事例を挙げてわかりやすく解説

マートンの官僚制の逆機能




前回の記事でウェーバーの官僚制論について解説しました。
ウェーバーの官僚制論

ウェーバーさんがいった官僚制論は
いい意味での話でしたね。

ところが、マートンさんは
「前回解説したウェーバーの官僚制は基本的にはよい考え方だけど、
状況によっては悪い方向に働くこともある」
と言ったんです。

これを官僚制の逆機能といいます。
逆機能=弊害』です。

今回の記事では官僚制の逆機能について事例を挙げながら
わかりやすく解説していきたいと思います。

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マートンの官僚制の逆機能

官僚制組織というのは時と場合によっては
悪い方向に作用したりするというのが官僚制の逆機能です。

目的の転移

ルール


マートンの官僚制の逆機能の中で
まず1つ目として『目的の転移』というのがあります。
官僚制というのは巨大な組織を合理的に運営する仕組みのことです。
合理的に運営して効率よく仕事を達成するために
規則を遵守するということが大切になってきます。
そりゃそうですよね。
みんながルール無視で仕事したら
職場がカオス状態になりますからね。
しかも自分のやりたいようにやるので
足の引っ張り合いになるかもしれませんし。

なので規則を遵守するというのは
効率よく仕事を達成するために重要になってきます。
効率的に目的を達成するためには規則を遵守するということが大事だということです。

手段として重視されている規則の順守が
いつの間にか手段ではなくて
それ自体が目的に変わってしまう。
かえって規則の遵守にこだわるあまりに
効率が減退してしまって当初の目標である
組織の目標の達成をかえって阻害してしまう。
非効率になってしまうってことです。

効率をよくするための手段である『規則の遵守』にこだわるあまり、
かえって効率が悪くなってしまい、
能率的、合理的に仕事ができなくなってしまう
このように逆機能として作用してしまうのが『目的の転移』です。

手段であったものが目的に変わってしまったということ。
それで効率が悪くなってしまうってことです。

訓練された無能力

無能力


訓練された無能力というのは自己の分担する役割など、
局部的な領域に閉じこもって
専門外の領域に無関心、無能力になってしまうことをいいます。

訓練された無能力には2つの意味合いがあります。

1つ目の意味合い

まず1つ目。
自己の分担する役割というのは
ある領域の専門家として育成訓練されていくわけです。
だから自分が担当する専門的な部局の内部に関しては
専門的な知識とか技能というのがかなり高まっていきます。
でも、自分が担当する以外のところに対しては興味・関心を抱かない。
自分の専門性を有する領域に閉じこもって
その中のスペシャリストとして訓練されて
卓越した存在になっていく。

でも、自分が担当する以外の領域に対しては
まったく訓練されていないし
学んだところで自分の利益にもならないので
専門外の領域には無関心、無能力になってしまう。
これが訓練された無能力です。

以上が1つ目の意味を持つ訓練された無能力です。

2つ目の意味合い

もう1つの訓練された無能力というのは
官僚というのはマニュアルに沿って仕事をします。
マニュアルに載っていないような新しい事態が起こった時には
そのことについてどういうふうに対応したらいいかわからないということです。

ということで新しい事態、
つまりマニュアルにないことは対応できないという感じで
訓練されているので、そういう場合には無能力を発揮してしまうということ。
先例のないことには非常に弱いということで
無能力を露呈してしまうということです。
そのことも訓練された無能力という形でいいます。
以上が2つ目の意味合いの訓練された無能力になります。

マートンの官僚制の逆機能を例を挙げながら解説

ウェーバーの官僚制論の特徴の1つに文書主義がありましたね。
ウェーバーの官僚制論

文書主義=マニュアルです。

文書主義の逆機能(弊害)として繁文縟礼(レッドテープとも)といって
分厚いマニュアル書を結んでいるのがレッドテープです。

分厚いマニュアルを結んでいる紐が赤いのでレッドテープで、
マニュアル本が繁文縟礼(はんぶんじょくれい)です。

文書主義の逆機能というのはマニュアルを守ること自体が目的になっているんです。
本来レッドテープは手段でないといけません。

ところがレッドテープで守ること自体が目的になってしまっているわけです。

もっというと、マニュアルに書いてあることはやるけど
マニュアルに書いてないことはやらないとなってしまったりするんです。

たとえばコンビニの店員さん。
マニュアル通りには動いてくれるけど、
マニュアルに書いてない仕事はやってくれなかったりする人もいるでしょう。
これが悪いとは言ってませんよ。

ただ、コンビニで買った商品はビニール袋に入れるという風に
マニュアルに書いてあるとしましょう。

ただ、熱いコーヒーと冷たいジュースを一緒に買ったとしたら
マニュアル通り同じ袋に熱いのと冷たいのを入れてしまう店員さんもいます。

「そんなことしたら、冷たいジュースはぬるくなるし
熱いコーヒーもぬるくなっちゃうよ!」と思いますが、
マニュアル通りには動いてくれるわけです。

でも、それ以上のことはやってくれない可能性が高いです。

で、お客さんが「一緒に入れるな!」と怒ったら
お客さんが怒った時用のマニュアルを実践し店長さんを呼ぶかもしれませんね(苦笑)。

ともあれマニュアルというのは
目的を達成(売り上げアップとか)のための手段のために存在しているのであって
マニュアル(ルール)を守ることが目的になっていたりします。

そうすると新しい発想って生まれにくくなってしまうんです。
つまり官僚制の逆機能によって新しいアイデアが出てこなくなったりします。

以上で解説を終わります。

またウェーバーの官僚制論をご覧になってない方は
こちらもご覧ください。
ウェーバーの官僚制論についてわかりやすく解説