参考文献・URL
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前回の記事で貨幣需要の利子弾力性について解説しました。
まだご覧になっていない方は、先にこちらをご覧ください。
⇒貨幣需要の利子弾力性についてわかりやすく解説
この記事ではまず貨幣需要の利子弾力性が無限大のケースについて解説します。
貨幣需要の利子弾力性が無限大のケース
貨幣需要の利子弾力性が無限大とはどういうことでしょう?
たとえば2019年、銀行の利子率が4%だったとしましょう。
そしてお金が手元に100億円必要だったとしましょう。
これを貨幣需要が100億円と表現します。
で、2020年銀行の利子率が2%に下がりました。
そのとたんに貨幣需要が無限大になったとしましょう。
つまりお金が手元に無限大で必要だということです。
これが貨幣需要の利子弾力性が無限大という状況です。
この状況を前提にLM曲線を作っていきます。
貨幣需要の利子弾力性が無限大のグラフ
前回の記事でLM曲線を導出しましたね。
⇒LM曲線の導出についてわかりやすく解説
この時に使った図がこちらです。
この図は4象限図といいます。
ちなみに第1象限がLM曲線になります。
では貨幣需要の利子弾力性が無限大のグラフはどうなるのでしょうか?
上記のグラフ(図)と貨幣需要の利子弾力性が無限大のグラフで
どこが違ってどこが同じでしょうか?
まず一番最初に違うのは第2象限ですね。
第2象限で特徴が出てきます。
貨幣需要の利子弾力性が無限大というのは
あなたが気がつかないくらい銀行の利子率が下がったら
貨幣需要が無限大まで増えていきます。
L2は銀行にお金を預けたり債券を買ったりせずに
自宅にお金を置いておくというイメージです。
L2(投機的動機に基づく貨幣需要)の意味はこちらでも解説しています。
⇒LM曲線の導出についてわかりやすく解説
銀行の利子率がちょっとだけ下がったら
債券の価格が上がるから、債券のを買うという投資をする気力が失われるため
自宅にお金を置いておこうとするわけです。
で第2象限に話を戻しますが、
貨幣需要の利子弾力性が無限大のため、
利子率がちょっと下がると、債券価格が上がり、
自宅に置いておく現金が無限大に増える(L2が無限大)ことになります。
これが貨幣需要の利子弾力性が無限大に増えるケースです。
ですので第2象限は水平になります。
あと、第3象限と第4象限は前回解説した4象限図とまったく同じです。
第3象限と第4象限については前回の記事をご覧ください。
⇒LM曲線の導出についてわかりやすく解説
なので、前回解説したLM曲線の導出と今回の
貨幣需要の利子弾力性が無限大のケースで異なる点というのは第2象限だけです。
この状況下で第1象限のLM曲線を作って行きます。
LM曲線は第2象限、第3象限、第4象限を埋めてから作って行くんでしたね。
ただ貨幣需要の利子弾力性が無限大のケースでは、
スタートポイントが点r1(ピンク色で記載)しかありません。
前回のLM曲線の導出だったら適当に2点ほど利子率(r1とr2)をとれていました。
でも、今回はr1の1点のみです。
なのでr1からしかスタートできません。
あとは適当に2点決めながら反時計回りに上記図のようにつなげていってください。
するとY1、Y2点を通り、LM曲線が出来上がります。
結果、水平なLM曲線が出来上がりました、
まとめますと、貨幣需要の利子弾力性が無限大のケースでは
LM曲線は水平になります。
貨幣需要の利子弾力性がゼロのケース
続いて貨幣需要の利子弾力性が0のケースについて考えていきましょう。
たとえば、2019年、銀行の利子率が4%で貨幣需要が100億円だったとします。
2020年銀行の利子率が2%に下がったけど、貨幣需要は100億円のままだったとしましょう。
要するに銀行の利子率が上がっても下がっても、
貨幣需要に動きがないケースが貨幣需要の利子弾力性が0のケースとなります。
この状況を理解していただいたら、
先ほど作ったような4象限図を使いながら
LM曲線はどうなるか?見ていきましょう。
左上の第2象限を見てください。
縦軸の銀行の利子率が上がっても下がっても
L2の金額に変化が見られません。
貨幣需要の利子弾力性が0というのは
L2の金額に変化がない(動きがない)=弾力性が0ということです。
このときに、LM曲線を作るとどうなるでしょう?
こんな感じで利子率r1とr2からスタートしたとしても、
第2象限が垂直なので、どうしてもLM曲線も垂直になってしまいます。
ですので、貨幣需要の利子弾力性が0だと、
LM曲線は垂直になります。
4象限図を使ったLM曲線の基本的な導出方法についてはこちらを参考にしてくださいね。
⇒LM曲線の導出についてわかりやすく解説