1次試験

長期フィリップス曲線と短期フィリップス曲線の違い




参考文献・URL
マンキュー経済学ミクロ編・マクロ編

分厚いマンキュー経済学を読み解くのがめんどくさい人は、こちらをおすすめします。
スタンフォード大学で一番人気の経済学入門(ミクロ編) [ ティモシー・テイラー ]
スタンフォード大学で一番人気の経済学入門(マクロ編) [ ティモシー・テイラー ]

以前の記事で
フィリップス曲線は右下がりの曲線になることを説明しました。
フィリップス曲線が右下がりになる理由

そして失業率が低下すれば物価上昇率が(インフレ率)が上昇することも
説明しました。
インフレ率(物価上昇率)と失業率の関係

ここでは失業率を下げるためには
インフレに耐えるのは仕方がないことだと考えました。

でも、失業率も物価上昇率も上がるというケースも
存在することも解説しました。
スタグフレーションとは何か簡単に解説

失業率も物価上昇率もどちらも増えてしまうケースというのは
長期フィリップス曲線の考え方になります。

逆に失業率が下がるとインフレ率が上がるという考え方は
短期フィリップス曲線といいます。

この記事では短期フィリップス曲線と長期フィリップス曲線の違いについて
わかりやすく解説していきたいと思います。

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短期フィリップス曲線と長期フィリップス曲線の違い

まず前回の記事で解説したグラフを以下のように書きます。
フィリップス曲線が右下がりになる理由
インフレ率(物価上昇率)と失業率の関係

長期フィリップス曲線

上のグラフは縦軸に名目賃金上昇率(⊿W/W)、横軸は失業率(u)
下のグラフは縦軸に物価上昇率(⊿P/P)、横軸は失業率(u)
とします。

そして曲線と横軸の交点をuNとします。
uNは自然失業率です。

自然失業率とは摩擦的失業と自発的失業を含むもののことです。
逆に非自発的失業は自然失業率に含みません。

摩擦的失業についてはこちらの記事で解説しています。
摩擦的失業の例
自発的失業とは自分の意志で失業している状態のことです。

非自発的失業とは働く意思や能力があるけど
景気が悪くて働けない状態のことです。

つまり自然失業率とは、契機と関係なく自分の意思で
働いていない人を計算に入れる失業率のことです。

ところで1960年代のケインズ派ですが。
uNの点をNとすると、

ケインズ派

ケインズ派は点Nから、
物価の上昇率に耐え抜けば失業率を減らせると考えたわけです。
そこで、点NがN´に移動しました。
失業率はUN´となりました。

その代わり物価の上昇率は上がってしまいます。
これが1960年代のケインズ派の考え方です。

ところがフリードマンは「物価の上昇に耐え抜いたら失業率が減るというのは
一時的なことなんだ」と言いました。

フリードマンは失業率の低下すると物価が上昇するというのは
短期的な話なんだと言ったのです。

長期的には違う結果になるってことです。

フリードマンは以下のように考えました。
自分の賃金が上昇しているときっていうのは
基本的には物価も上昇している。
でも、労働者は物価の上昇に気づいていないから
自分の賃金だけ上がったと錯覚していると考えました。

実質賃金というのはW/P(Wは賃金、Pは物価)ですが、
労働者は分子のWだけ上がっていて、分母のPは上がってないと錯覚しているわけです。
つまり、分子のWだけが上がったら全体の実質賃金(W/P)も上がったと
労働者は錯覚しています。

このことを貨幣錯覚といいます。

たとえば100/10=10ですけど、
分子の100が200と増え、分母の10が増えないなら
200/10=20と全体の数字が10から20に増えましたね。

こういうことです。

ところが長い目で見ると(長期的な目線で考えると)、
労働者は「物価(P)って上がっているんじゃないの?」と気づき始めます。

となると、実質賃金(W/P)で、WもPも増えているわけなので
変化はなしってことになります。

給料が増えても物価が上がったら、
労働者は得も損もないわけですね。

たとえば100/10=10ですが
100が200に、10も20に増えたら
200/20=10で変化がないですね。

こういうことが長期的には起きているとフィリップスさんは考えました。

長期的フィリップス曲線

短期的に見たら実質賃金は上がっていると錯覚していたけど、
長期的に見たら何の変化もなかったわけなので、
上記グラフの紫色のように、元に戻るわけですね。

変化なし=元の状態
ですからね。
自然失業率uNに戻ってしまうんです。

これがマネタリストの考え方です。

マネタリストは短期のフィリップス曲線は右下がりの曲線だけど、
長期のフィリップス曲線は元に戻り、点Aとなります。

長期フィリップス曲線

物価上昇率や賃金上昇率は上がっているけど、
失業率は元に戻るから長期では点Aとなってしまうわけですね。

なので、点Nと点Aをつなぐと垂直(ピンクの線)になりますね。
これが長期フィリップス曲線です。

ちなみにこれを自然失業率仮説といいます。

結局長期的には自然失業率に戻るってことです。
賃金上昇率や物価上昇率がどうなっても
長い目で見たら必ず元に戻ってくるわけです。