※アフィリエイト広告を利用しています

1次試験

法人擬制説・法人実在説とは?わかりやすく解説

法人擬制説とは 法人実在説とは




前回の記事まで所得税関連の解説をしました。
人頭税・比例所得税・累進所得税とは?望ましいのはどれ?
ラッファー曲線とは?わかりやすく解説

今回の記事ではなぜ世の中に法人税があるのか?
という話です。
これは学問的には『法人税の根拠』という議論になります。

法人税の根拠として

・法人実在説
・法人擬制説

の2つがあります。

この記事では法人実在説と法人擬制説とは何か?
わかりやすく解説していきたいと思います。

スポンサードリンク




法人実在説・法人擬制説とは?

法人擬制説

法人擬制説の擬制は英語で言うとフィクションです。
完全に人間が勝手にフィクションとして作ったものですよという発想になります。

逆に法人実在説はノンフィクションだと考えます。
つまり法人は実在すると考える説です。

「法人?目に見えないけど・・・」
と思った方もいるでしょう。

法人実在説における法人は株主のことだと思ってください。
株主は目に見えますよね。

あなたがトヨタ自動車の株を買ったら株主なわけですからね。
この記事を読んでいるあなたは実在しているわけです。

ということで法人実在説だと実在するものだと考えます。
個人には所得税が課されるから、法人にも法人税が課されるのは
当たり前の話だと考えます。

つまり、なぜ法人税が存在するのか?という問いに対して法人実在説だと
個人に所得税があるわけだから、法人だったら法人税を納めて当然だと考えます。

これに対して法人擬制説だと法人は実在しないと考えます。
法人というのは個人の株主が集まってできているので国に対して法人税を納めなくてよいわけです。
まり法人擬制説に立つと、法人税は不要だとなります。
なぜなら株主が国に対して所得税を納めているからです。

たとえば、トヨタ自動車という会社がありますが、
トヨタ自動車をここに連れてくることはできませんよね。

「あれがトヨタ自動車ですよ」
って示しても、示したのはトヨタ自動車さんではないですよ。
トヨタ自動車という会社が持っている建物です。

なので会社って目には見えません。
目に見えているものは建物です。

法人というのはそもそも実在するものではありませんね。
完全に人間がフィクションとして勝手に作り上げたものにすぎません。

ですから法人というのは個人の株主が集まってできたものです。
だから人間が勝手に法人という人格を作って『法人格』として
あたかも人格を持つかのような存在にしたてあげたわけですが
実在していません。

あくまでも個人の株主が集まって会社という組織を作っているだけです。
これが法人擬制説の考え方です。

法人擬制説だと、法人があって株主がいますが
株主は法人から配当をもらいます。
この株主がもらった配当から所得税を納めています。
だったらこの配当にかかる所得税で十分だと法人擬制説は考えます。
法人税は国に法人税を納める必要はないということです。

でも日本に法人税を存在します。
ですから法人擬制説に立つと
株主の配当から所得税を納め、法人税も納めるという二重課税の問題が生じます。

これに対して法人実在説は法人は法人として
個人の株主と完全に独立した存在としていると考えます。
なので法人実在説に立つと個人の株主が所得税を納めるのと同様に
法人も法人税を納めるのは当然だと考えることができます。

ちなみに戦前は法人実在説をとっていましたが、
戦後、シャウプ勧告によって法人擬制説に変わりました。
なので、シャウプ勧告によて二重課税という問題が生じてしまいました。

スポンサードリンク




法人税の二重課税

法人税

シャウプ勧告により、法人税には二重課税問題が生じてしまいました。
たとえば、今年ある法人に1000万円の利益があったとしましょう。

法人税を仮に40%支払わないといけないとします。
だから1000万円×40%=400万円
法人税を納めます。

残りは1000万円ー400万円=600万円残りました。

残った600万円は会社の中で300万円内部留保し、
300万円株主に配当として支払うことにしたとします。
で、所得税が仮に20%だっとしましょう。

すると300万円配当として受け取った株主は
300万円×20%=60万円を所得税として納めることになりますね。

すると、1000万円の利益から法人税として400万円納め、
次に個人の配当から60万円所得税を納めたわけです。

1000万円の出どころは同じです。会社の利益です。
この1000万円に法人税400万円と所得税60万円を納めているので二重課税になりますね。

これが法人実在説の立場に立てば、
そもそも二重課税の問題は生じません。

個人と法人は完全に切り離して考えるわけですからね。
でもシャウプ勧告により法人擬制説に日本は変わっているので、
二重課税の問題が生じます。

この二重課税をどうやって調整したらよいのでしょう?

スポンサードリンク




法人税の二重課税問題をどう調整する?

二重課税


日本では配当控除方式によって調整しています。
先ほどの配当300万円で説明します。

300万円の配当を貰った株主はたいてい何らかの仕事をしていて
給料などをもらっているはずです。

所得税法では給料は給与所得、
配当は配当所得として切り離して考えます。

そして配当所得だけ別に税金を課して二重課税にならないように調整しているんです。
これを配当控除方式といいます。

ややこしい話となりましたが
以上で解説を終わります。