参考文献・URL
マンキュー経済学ミクロ編・マクロ編分厚いマンキュー経済学を読み解くのがめんどくさい人は、こちらをおすすめします。
⇒スタンフォード大学で一番人気の経済学入門(ミクロ編) [ ティモシー・テイラー ]
⇒スタンフォード大学で一番人気の経済学入門(マクロ編) [ ティモシー・テイラー ]
前回の記事ではライフサイクル仮説とは何か解説し、
そのうえで簡単な計算問題を解いていきました。
⇒ライフサイクル仮説とは何か?例題を使ってわかりやすく解説
今回は、さらに詳しく
ライフサイクル仮説における計算問題の解き方について
解説していきたいと思います。
ライフサイクル仮説の計算問題1
計算問題
現在28歳のサラリーマン男性について考える。
この男性は63歳が定年の会社に勤務しています。
そして現在から38歳までの10年間は毎年の所得は350万円だが
後半の25年間(63歳まで)の所得は毎年500万円だとします。
寿命は88歳です。
定年後は働く気がないので年収は0円となります。
そんな状況下ですが、それでも毎年同じ額の消費をするとします。
この場合、この人が働いている後半(25年間)における毎年の貯蓄額は
いくらになりますか?
ただし個人の消費行動はライフサイクル仮説に基づきます。
また最初、資産は500万円持っていて、遺産は残すつもりはなく
利子所得もないものとします。
この計算問題は前回解説した問題を
さらに難しくしています。
まだ前回の問題を解いていない方は
一度、見ておいていただくとわかりやすいと思います。
⇒ライフサイクル仮説とは何か?例題を使ってわかりやすく解説2
では、解いていきましょう。
まず問題を図式化すると
こんな感じになりますね。
加えて、28歳のときに資産を500万円持っています。
そして、38歳から63歳までの期間の貯蓄を計算する問題になっています。
で、前回の記事でも書きましたが
でしたね。
それから年間の消費額をCとします。
すると一生涯の消費額は60年間×Cとなります。
次に一生涯で使えるお金としては
28歳のときに既に持っている500万円、
前半の10年×350万円、後半の25年×500万円
があります。
一生涯の消費額=一生涯で使えるお金
ですから式は
60×C=500万円+10×350万円+25×500万円
60C=4000万円+1億2500万円
60C=1億6500万円
C=275万円
ところで貯蓄=所得ー消費です。
後半の貯蓄額を求めるわけですから、
後半における1年間の貯蓄額=500万円ー275万円
=225万円
よって正解は225万円となりますね。
この計算問題のポイントは一生涯の消費額=一生涯で使えるお金
です。
ライフサイクル仮説の計算問題2
計算問題
あるサラリーマン男性Aさんは現在30歳。
今後の稼得期間を30年(60歳定年)。
その後20年後に亡くなると仮定する(80歳で亡くなる)。
Aさんは現在500万円の資産を保有している。
30年間の稼得期間中、毎年400万円の所得がある。
定年後の所得は0円とする。
Aさんはライフサイクル仮説に従って、
生涯にわたって毎年同額の消費を行うとした場合、
現在の限界消費性向と現在の平均消費性向はいくらになるか?
ただし、亡くなった瞬間に保有資産は0円となり
利子所得も0とします。
現在の限界消費性向と現在の平均消費性向
を計算する問題です。
問題の内容をまとめると
といった感じになりますね。
とにかく大事なのはライフサイクル仮説の計算問題では
の式を作ることです。
では解いていきましょう。
年間の消費額をC、年間の所得をYとすると
50C=500万円+30Y
先ほどまでの問題では30Yのところは
30年×年収400万円で1億2000万円と計算していました。
ですが、この問題では限界消費性向を求めないといけません。
ここでYでなく400万円を入れてしまうと
限界消費性向を求めることができなくなります。
これは計算していけばわかりますので、
このまま一緒に計算していきましょう。
50C=500万円+30Y
なので、
C=10+0.6Y
この0.6が限界消費性向ですね。
限界消費性向についてはこちらの記事で
詳しく解説しています。
⇒ケインズ型消費関数とは?式についてもわかりやすく解説
では次に平均消費性向についてみていきましょう。
平均消費性向についてもこちらの記事で詳しく解説しています。
⇒ケインズ型消費関数とは?式についてもわかりやすく解説
先ほどの式
C=10+0.6Y
に年収400万円を代入します。
C=10+0.6×400万円
C=250万円
ところで平均消費性向=C/Yなので
平均消費性向=250万円÷400万円=5÷8=0.625
となります。
この計算問題はひっかけ問題でしたね。
限界消費性向は0.6Yと、Yの前の数字が答えになります。
Yが1万円増えたときに何割消費に向かうのか
示す数字が限界消費性向ですからね。
なので計算の最初の段階で年収400万円を入れてしまうと
限界消費性向がわからなくなってしまいます。
だから限界消費性向がわかるまでは
Yのところに数字を入れずに計算を続けるようにしてください。
以上でライフサイクル仮説が関係する計算問題についての
解説を終わりにしたいと思います。