前回の記事では総合原価計算の先入先出法について解説しました。
6000文字くらい使って解説しているので、
かなり詳しく解説できたと自負しております(苦笑)。
⇒総合原価計算の先入先出法【日商簿記2級対策】
今回の記事では平均法についてわかりやすく解説していきたいと思います。
総合原価計算の平均法【日商簿記2級、中小企業診断士対策】
平均法は平均単価を求めてから、
平均単価に数量をかけて計算します。
と解説しても
「よくわかんない・・・」となるはずです。
この程度の解説でわかったら、苦労なんてしません。
そこでボックス図を使って平均法の考え方を説明していきますね。
ボックス図を使った平均法の考え方【総合原価計算】
こちらは先入先出法のときに解説したのと同じボックス図です。
⇒総合原価計算の先入先出法【日商簿記2級対策】

先入先出法では当月投入分から月末分が発生するって
考えましたね。
ですが、当然ですが平均法では違うわけです。
平均法では商店街の福引みたいに考えます。

商店街の福引みたいに
月初仕掛品も当月投入も全部混ぜてしまって
平均的に完成品と月末仕掛品が出てくると考えるんです。
ということで、
まずここが平均法と先入先出法の根本的な違いなんです。
なので、ボックス図も月初仕掛品と当月投入を
分ける線を消して考えていきましょう。

こんな感じで月初仕掛品と当月投入の垣根がなくなり
ごちゃまぜにして平均的な状態になったものが
完成品や月末仕掛品となっていくんです。
『平均的な状態になったもの』=『平均単価』という表現で
試験では登場しますので
知っておいてくださいね。
つまり、平均法では完成品や月末仕掛品は
月初仕掛品と当月投入の両方から発生するってことです。
ここが先入先出法と違いますね。
先入先出法では当月投入からしか
月末仕掛品が発生しませんでしたからね。
⇒総合原価計算の先入先出法【日商簿記2級対策】
ここまでわかったら、
実際に例題を解いて理解を深めていきましょう。
平均法の問題【総合原価計算】
例題
以下の資料にもとづき、平均法によって
月末仕掛品原価、完成品総合原価、完成品単位原価を計算してください。

なお、小数点以下は四捨五入してください。
では具体的に考えていきましょう。
まず与えられたデータをまとめていきます。

ボックス図自体は先入先出法の時と
まったく同じです。
⇒総合原価計算の先入先出法【日商簿記2級対策】
でもここから先は違います。
まず材料費の計算からやっていきましょう。
平均法では月初仕掛品の材料費3,000円と当月投入の材料費10,000円の合計13,000円を
完成品140個と月末仕掛品20個に配分します。
なので、材料費の平均単価は以下のように計算することができます。

分子は月初仕掛品の3,000円と当月投入の10,000円です。
分母は完成品数量140個と月末仕掛品数量20個です。
結果、四捨五入して平均単価は@81円となりました。
月初仕掛品の3,000円と当月投入の10,000円というのは
完成品数量140個と月末仕掛品数量20個を作るために
かかったコストです。
なので月初仕掛品の3,000円と当月投入の10,000円の合計を
完成品数量140個と月末仕掛品数量20個に分ければよいと考えます。
これが平均法の考え方です。
で、平均単価@81円から、
月末仕掛品は20個なので
@81円×20個=1,620円
完成品は140個なので
@81円×140円=11,340円
となります。
月末仕掛品の1,620円と完成品の11,340円を
合計すると本当は月初仕掛品3,000円と当月投入10000円の合計である13,000円
になるはずですが、ここでは四捨五入したので
1,620円+11,340円=12,960円となってしまいました。
すみません。
日商簿記2級や中小企業診断士財務会計の問題なら
合計すればおそらく一致するはずです。
では次に加工費の計算にいきましょう。
加工費も材料費と同様に計算で算出できますよ。

加工費の平均単価は@133円なので
月末仕掛品の10個をかけて
@133円×10個=1,330円
完成品は140個×@133円=18,620円
となります。
先入先出し法と平均法の違いは
平均法だったら月初仕掛品を巻き込んだ平均単価を使いますが
先入先出法だったら当月の投入分だけの単価を使うというところです。
あとは月末仕掛品原価は
月末仕掛品の材料費と加工費を合計すればよいので
1,620円+1,330円=2,950円となります。
それから完成品総合原価は
完成品の材料費と加工費の合計なので
11,340円+18,620円=29,960円
となります。
最後に完成品単位原価は
完成品総合原価÷完成品の数量なので
29,960円÷140個=@214円
となります。
以上で平均法についての解説を終わります。