1次試験

等級別総合原価計算のやり方|等価係数についても解説




前回の記事で総合原価計算の計算の仕方について
解説しました。
総合原価計算の計算方法【日商簿記2級対策】
総合原価計算の先入先出法【日商簿記2級対策】
平均法を使った総合原価計算【日商簿記2級】

総合原価計算の中にも
細かく分けていくと、いろいろな計算方式があります。

日商簿記2級レベルだと

・等級別総合原価計算
・組別総合原価計算
・工程別総合原価計算

の3つが重要です。

この記事では上記3つの中でも
等級別総合原価計算のやり方であったり、
等級別総合原価計算でも、等価係数とは何か
分かりやすく解説していきます。

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等級別総合原価計算とは?

等級別総合原価計算とはどんな計算方法なのでしょうか?

こちらの画像をご覧ください。
等級別総合原価計算

まったく同じ飲料が入っているんですけど、
内容量が違います。

2L と500mLの製品を作っている会社だとしましょう。
でも作っている内容はまったく同じです。
たとえば2Lのお茶と500mLのお茶を作っている感じです。

それからパソコンを作っている会社があったとしましょう。

等級別総合原価計算

同じパソコンでも、
メモリーが8GBのものもあれば、16GBのものもあります。
メモリーの容量が大きいものほど原価が高くなります。

なので、販売価格だってメモリーが大きいものほど
高くなるはずです。

こういったまったく同じ製品だけど
容量の違いなどによって、等級に区別できる製品を
等級製品といいます。

このような等級製品を大量製品している工場で使う
総合原価計算を等級別総合原価計算
といいます。

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単純総合原価計算?

ここまで等級別総合原価計算とは何か、解説しました。
等級別総合原価計算に対して単純総合原価計算という用語があります。

単純総合原価計算は単一の製品を量産している場合に使われる
総合原価計算のことをいいます。

単純総合原価計算は
前回解説した先入先出法や平均法で計算します。
なので、こちらの記事をご覧になっていただければ
単純総合原価計算はわかるはずです。
総合原価計算の計算方法【日商簿記2級対策】
総合原価計算の先入先出法【日商簿記2級対策】
平均法を使った総合原価計算【日商簿記2級】

ここでも単純総合原価計算について解説したいのですが、
上記リンク先の3記事だけで2万文字近い解説をしています。

さすがにここで2万文字使って解説したら
頭が痛くなってしまうでしょう(苦笑)。

なので、分からない方は上記リンクをクリックしてご覧ください。

これに対して同じ製品でもMサイズとかSサイズとか
1Lとか500mLといった感じで差があって、しかも大量生産している場合には
等級別総合原価計算で計算します。

ちなみに組別総合原価計算は異種の製品を1つのラインで
大量生産する場合に活用する計算方法です。

たとえば布製の服と革製のカバンといった異種の製品を
1つのラインで大量生産する場合には
組別総合原価計算を使用します。

それから工程別総合原価計算は
投入から完成までのプロセスを作業内容によって2つ以上に分けたうえで
原価計算を行います。

たとえば製造に第1工程、第2工程に分かれるような場合には
工程別総合原価計算を利用します。

日商簿記2級でよく出題されるのは

・単純総合原価計算
・工程別総合原価計算

となります。

ただ、だからといって今回解説する
等級別総合原価計算の勉強を全くしていなかったとして
仮に本試験で出題されたら、
確実に落ちます。

なので、等級別総合原価計算も必ず
学習しておいてください。

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等級別総合原価計算のやり方・考え方

こちらのカバンをご覧ください。

等級別総合原価計算

上記画像でも上側のある2つのカバンをご覧ください。
色や形は同じですが、大きさが違いますね。
仮に小さいほうをMサイズ、大きいほうをLサイズとしましょう。

では、このMサイズとLサイズですが
単純総合原価計算でやってように
MサイズとLサイズの単価が同じでよいのか?
という問題があります。

よいはずがありません。

たとえば、500mLのジュースと1Lのジュースだったら
ペットボトルの大きさだって1Lのジュースの方が500mLのジュースより大きいですし
飲み物だって、1Lの方が多いでしょう。

ですので、カバンだってMサイズよりもLサイズの方が
原価が高くなるはずですね。

なので、LサイズのカバンとMサイズのカバンで
単価が同じと考えるわけにはいきません。

そこでMサイズとLサイズの原価の違いが
きちんと単価に現れるように計算するという方法が
等級別総合原価計算
になるんです。

以下の図をご覧ください。

等級別総合原価計算

等級別総合原価計算をする工場では
MサイズとLサイズの製品を同じ製造ラインで作っていますね。
それが上記図の左側です。
MサイズとLサイズが一緒の枠に入っています。

でも最後にMサイズとLサイズに原価が割り振られるようにしたいんです。
というのは、MサイズとLサイズを別々にして原価計算をするというのは
一見すると、「合理的な方法!」って思われがちです。

でも、これって面倒な計算になることが多いんです。
たとえば、等級別総合原価計算の等級製品で、
MサイズとLサイズの2種類くらいだったら、根性で計算できるでしょう。

でも、50種類あったら不可能でしょう。

等級別総合原価計算

たとえば、車のホイールです。
一つの工場で、軽自動車用のホイールや大型車用のホイールや
普通車用のホイールという大きさだけでなく
高級車用のホイールや安めのホイールなど
様々なホイールを作る可能性があります。

こんな感じの工場だともしかしたら100種類以上のホイールを
製造している可能性があります。
となると、単純総合原価計算だと、1つ1つ原価計算するので
いくらAIが発達した今日でも大変でしょう。

しかもその資料を人間が最後に確認するでしょうから
明らかに大変です。

そこでちょっとでも手を抜いて
楽に計算したいわけです。

等級別総合原価計算

そこで完成品原価というのはMサイズとLサイズを一括して計算します。
これが上記図の左側です。

一括計算した後に
MサイズとLサイズで原価の数字に差をつけたいので
2つに分けるわけです。
ここが等級別総合原価計算の最大のポイントなんです。

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等価係数とは?(等級別総合原価計算)

等価係数は『とうかけいすう』と読みます。

等価係数について理解するために
まず例を挙げてみますね。

等級別総合原価計算

500mLと1Lのジュースがペットボトルに入っているとしましょう。
500mLのジュースを1とすると1Lは500mLの2倍なので2となりますね。

なぜなら1L=1000mLなので。
それからペットボトル自体も2倍の大きさがあるはずです。

ということは材料費が2倍になりますね。

なので、
500mL:1L=1:2
となりますね。

この1;2のことを等価係数って言っています。
こんな感じで500mLを基準に1として考えると
1Lの製品は2倍、原価を負担すべきだという考え方が等価係数
です。

別の例で考えてみましょう。

等級別総合原価計算

Mサイズのカバンの皮の使用割合が5メートル、
Lサイズは10メートルとします。

Mサイズを基準に1としたらLサイズは2倍の皮を使うので2となりますね。
だから1:2の割合で原価を負担させようと考えます。
これが等価係数です。

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積数について(等級別総合原価計算)

次に積数ですが。

各製品の実際の生産量に等価係数を掛け算した値を積数といいます。
積数は『せきすう』と読みます。

先ほどのカバンを例に積数を考えてみましょう。

Mサイズのカバンの皮の使用割合が5メートル、
Lサイズは10メートルとしていたので
等価係数は1:2ですね。

で、Mサイズ100個、Lサイズ100個生産したとしますね。

すると積数は
Mサイズの場合、100個×1=100

Lサイズは100個×2=200
となります。

これどういう数字なのか?というと
Lサイズの方は、実際の生産量は100個だけど、
原価は200個分、負担しないといけないって意味です。

これを実際生産量の2倍の原価を負担すると表現します。
また、このときの生産量(Lサイズの200個)を等価生産量ということもあります。

このような意味が積数にはあります。

積数をまとめると

積数=各等級製品の完成品数量×等価係数

となります。

ここまで理解できたら等級別総合原価計算の問題を解けるので
実際に例題を解いて理解を深めていきましょう。

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等級別総合原価計算のやり方|問題を解いて理解を深めよう

例題(問題)

次の資料にしたがって、
平均法を使って、各等級製品の完成品総合原価および
完成品単位原価を計算してください。
小数点以下は四捨五入してください。

【資料】
1.完成品100個の内訳はSサイズ50個、Mサイズ50個とする。
2.Sサイズの等価係数は1、Mサイズの等価係数は2とする。

等級別総合原価計算

問題では平均法を使うと書いてありますね。
平均法についてはこちらの記事で詳しく解説しているので
「よくわかりません」という方はご覧ください。
平均法を使った総合原価計算【日商簿記2級】

計算の手順として
まず完成品の総合原価を先に出します。
このときには2つの製品に共通の完成品を出します。

次に等価係数と積数を使って各等級製品の原価を出していきます。

では、ボックス図を作成していきましょう。

ボックス図

ボックス図の見方、作り方、考え方がわからない方は
さきにこちらの記事をご覧ください。
総合原価計算の計算方法【日商簿記2級対策】

やりたいことは完成品の総合原価を出すことです。
2つの製品に共通の完成品総合原価です。

そこで生産データから見ていきましょう。
生産データについてよくわからない方は
さきにこちらの記事をご覧ください。
総合原価計算の計算方法【日商簿記2級対策】

ボックス図

生産データでは月初仕掛品が40個で換算量が50%なので20個となりますね。
月末仕掛品は20個と完成品換算量が12個(20個×60%)です。

それから当月投入は80個は与えられたデータからわかりますね。
加工費の計算のための投入量は、
完成品の100個と月末仕掛品の12個を加えて、そのあと、月初仕掛品の20個ひいて
92個となりますね。

また、原価ですが月初仕掛品材料費が2,000円、
そして加工費が5,000円。
当月材料費10,000円と加工費20,000円です。

このように生産データを整理して
次に平均法で計算していきましょう。

平均法ですからまず平均単価を出しましょう。

材料費の平均単価

上記のように月初仕掛品2000円、当月投入10000円の合計を
完成品100個と月末仕掛品20個の合計で割ったものが
材料費の平均単価となります。

この問題では@100円となりました。

なので、@100円×100個=10,000円
10,000円が完成品の負担する材料費。

@100円×20個=2,000円
2,000円が月末仕掛品の材料費となります。

以上が材料費の計算です。

次に加工費の計算をしていきましょう。
加工費の計算は材料費の計算と同様です。

加工費の平均単価

計算して、四捨五入して@223円となります。
なので、完成品は@223円×100個=22,300円
月末仕掛品は@223円×12個=2,676円
となります。

完成品総合原価は材料費の10,000円+加工費の22,300円で合計32,300円です。
月末品仕掛品原価は材料費の2,000円+加工費の2,676円で合計4,676円となります。

単純総合原価計算ならここで話は終わりでした。

でも、この記事は等級別総合原価計算です。
ここで話を終わらせるわけにはいきません。

完成品総合原価32,300円は2つの製品に共通の原価です。
ということでこの32,300円を次に各等級製品ごとに
分けていきます。

Sサイズの2倍、Mサイズはお金がかかります。

32,300円をSサイズの50個とMサイズの50個に
どうやって配分すればよいでしょう?

ここで積数が出てきます。
等価係数はSサイズ:Mサイズ=1:2です。
両方の生産量はSサイズ50個、Mサイズ50個です。

なので、積数はSサイズは50個×1=50
Mサイズは50個×2=100

となりますね。

この積数を使って32,300円を配分していきます。
完成品総合原価はSサイズ50、Mサイズ100で配分すればよいわけです。

Sサイズが50、Mサイズが100なので
合計50+100=150なので

全体の150のうちSサイズが50、Mサイズが100ですから
完成品総合原価は以下のような計算になります。

完成品総合原価

ということは
Sサイズ10767円、Mサイズ21533円がそれぞれの完成品の原価となります。

最後に完成品単位原価を見ていきます。
ここの計算はかなり重要です。

完成品単位原価

完成品単位原価は実際生産量(実際の完成品量)を使います。
積数を使ってはいけないってことです。

仮に積数を使ってしまったらMサイズは21,533円÷100で@215円という解答になってしまいます。
でもこれは間違いです。

積数を使った時に自分のミスに気が付く方法は
同じ単価になるかどうかです。

SサイズとMサイズと同じ単価になったら、
間違いだと気づけるでしょう。

ここでミスったら日商簿記2級や中小企業診断士試験に落ちますので
気を付けてください。

ところでどうして
完成品単位原価では実際生産量を使うのでしょう?
実際に生産したのは50個ずつですね。

ただ、原価を負担するときには
Sサイズと比べてMサイズの原価が倍になるようにしたいので
積数を使っただけなんです。

ここを踏まえて完成品単位原価の関係を見てください。
四捨五入しているから完全ではないですが、
Sサイズは@215円でMサイズは431円で
2倍の関係になってますね。

当たり前ですね。

材料代が倍だから原価も倍負担するのは当然です。

以上で等級別総合原価計算のやり方についての解説を終わります。