この記事では個別原価計算が前提になります。
「個別原価計算って何?」という方は
先にこちらの記事をご覧ください。
⇒個別原価計算と総合原価計算の違い
ところで製品が完成したら、
製品勘定になり、引き渡したら売上原価勘定になります。
ちなみに引き渡し=販売のことです。
お客さんに製品を渡すってことです。
で、製造指図書の製品が全部完成したら、
その原価を仕掛品勘定から製品勘定に振り替えます。
ですが、個別原価計算において
製造指図書の注文量全部が完成するまでは
仮に一部が完成していたとしても、完成品ではありません。
その場合、仕掛品のままなんです。
どうしてでしょう?
仕掛品から製品に振り替えるときの注意点【個別原価計算】
たとえば、製造指図書No102の注文量が20個で
そのうち、15個が完成しているけど、
残り5個が未完成だったとしましょう。
で、この製品を製造しているのが机のメーカーで
あなたがそのメーカーに製造を依頼していたとします。
そのメーカーが「すみません、あと5個、完成してませんけど
買い取っていただけますか?」といわれたら
あなたは「わかりました」というでしょうか?
恐らく言わないはずです。
全部完成してようやく買い取るはず。
なので、製造指図書の注文量、すべてが完成しないと
完成品にしないんです。
この場合、製造指図書No102は20個全部、仕掛品勘定として処理することになります。
逆に総合原価計算では全部完成していなくても
完成品として扱います。
これも総合原価計算と個別原価計算の違いです。
⇒個別原価計算と総合原価計算の違い
総合原価計算の場合、20個作っているというのは
お客さんが注文しての20個ではありません。
15個完成しているなら15個は完成品として扱います。
個別原価計算=受注生産(それぞれのお客さんが個別に注文する)
総合原価計算=大量生産(買うお客さんは、みんな同じ製品を買う)
という違いがありますから。
個別原価計算の場合は、
始めに注文した量が全部渡されないと完成したとはいえないんです。
ここは重要なので
しっかりと理解しておいてくださいね。
なので、個別原価計算の場合、20個注文されて
20個全部完成して初めて、以下のような処理を行います。
(借方)製品1000円/(貸方)仕掛品1000円
みたいな仕訳をします。
製品というのは製品という資産の増加を意味します。
反面、仕掛中のものがなくなったので、
仕掛品という資産の減少を意味します。
つまり、製品という資産が増え、
仕掛品という資産が減ったという処理を行うわけですね。
最後に完成した製品をお客さんに引き渡した(販売した)ときには
原価を製品勘定から売上原価勘定に振り替えます。
このとき
(借方)売上原価1000円/(貸方)製品1000円
みたいな処理を行います。
製品を引き渡した(売った)なら製品という資産が減少するわけです。
それから、製品を売り上げると、
売上原価という費用が発生するので、借方に売上原価勘定が発生します。
売上原価勘定は商業簿記では登場することはほぼありませんね。
売上原価は費用なので覚えておきましょう。