今回の記事では日商簿記2級の工業簿記や
中小企業診断士試験の財務会計で
原価計算の問題が出たときに、
個別原価計算を使うべきケースなのか
それとも総合原価計算を使うべきケースなのか
判断する基準について解説します。
個別原価計算と総合原価計算は対の関係
個別原価計算と総合原価計算は対の関係になっています。
製品ごとに原価計算をする方法で
個別原価計算と総合原価計算があるんです。
個別原価計算と総合原価計算をどのように区別するのでしょう?
世間には鉄道車両を作っている会社もありますし
飛行機を作っている会社もあります。
こういう会社は受注生産業といいます。
たとえば、飛行機を作っている会社にボーイング社があります。
⇒ボーイング社のホームページ
たとえばボーイング社が787ドリームライナーという飛行機を
どんどん大量生産して世界の航空会社に売っているわけではありません。
たとえばピーチという会社がボーイングに対して
飛行機の発注をするときに、「450席作ってほしい」、
でもJALだったら「400席作ってほしい」というかもしれません。
こんな感じで航空会社によって
「この機体は同じ機体だけど、座席数はいくらで、ペイントはこうで」
と細かく仕様について注文を付けるわけです。
で、注文を受けた仕様の通りに作ってボーイング社は引き渡すはずです。
となると、ピーチとJALでは原価が違ってくる可能性があります。
座席数の違いで原価は違うのは想像に難くありませんね。
こんな感じで受注生産をしている産業があります。
受注生産は建設業にも当てはまります。
「壁はピンクで、材質は何々で」みたいに
細かい注文の通りに建物を建てます。
こういった受注生産業は個別原価計算を利用して計算します。
これに対してスマホはどうでしょう?
2018年末時点で、世界のスマホ利用者数は33億人だそうです。
スマホは大量に生産しているはずです。
毎日、大量に生産しないと需要に追い付かないでしょう。
つまり、
・スマホなどの大量生産業は総合原価計算
を利用して原価計算をします。
個別原価計算と総合原価計算の違い
個別原価計算というのは受注生産形態において
個別に原価を計算する方法のことです。
これに対してスマホは大量生産しているはずです。
たとえば同じiphoneをたくさんの人が所有しています。
となると、同じiphone(iphone10とか)ならAさんが持っているiphoneも
Bさんが持っているiphoneも原価は同じです。
こういった場合に総合原価計算を使います。
総合原価計算だと製品1台あたりいくらで完成したか?
を計算することができます。
でも受注生産(ボーイング社の飛行機)だと、
同じ飛行機でも座席数や塗料を使用する量などが違うので原価が違います。
だから個別に原価を計算しないといけません。
こんな感じで個別に原価を計算する方法が個別原価計算です。
これ以上詳しい計算方法は今後、解説していきます。
ただここでは受注生産の場合には個別原価計算を使い
大量生産の場合には総合原価計算を使うとだけ
知っておいてください。