1次試験

製造間接費の部門別計算をわかりやすく解説




今回は個別原価計算の続きで、
製造間接費の部門別計算について解説します。

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製造間接費の部門別計算とは?

製造間接費 部門別計算

そもそも製造間接費は工場の中で発生しますね。
工場の中にはいろいろな部門があります。

どの部門で製造間接費がいくら発生したのか?
集計していくというのが
製造間接費の部門別計算です。

つまり発生場所ごと(部門ごと)に間接費を集計していくことを
製造間接費の部門別計算といいます。

ところで部門とはどういうものでしょう?
そもそものお話からしていきます。

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製造間接費の部門別計算|部門について

製造間接費 部門別計算

部門とは部署のことです。

日商簿記2級や中小企業診断士試験の財務会計で
知っておいた方がよい部門は2つあります。

1つは製造部門です。
製造部門は製造に直接かかわる部門です。
たとえば、製品を手に取って加工したり組み立てしたりする部門のことです。

2つ目は補助部門です。
補助部門は製造に直接かかわらない部門のことです。

たとえば加工用の機械が壊れたときなんかに修理してくれるような修繕工(修繕部門)は
補助部門に該当します。

つまり補助部門というのは製品の製造はしないけど
製品の製造を助けている関係にある部門のことです。

この補助部門がないと機械が修繕できなかったりします。
他にも工場全体に電力や動力を提供しているような部門があるなら
そういった部門も直接、製品の製造はしていないけど
電気や動力がないと製造がストップしてしまいますから
こういう部門も補助部門になります。

したがって製品の製造に直接携わっている部門を製造部門、
携わっていない部門を補助部門といいます。

具体的に製造部門には切削部門や組立部門が該当し
補助部門には動力部門、修繕部門、工場事務部門(工場内にある経理など)などが該当します。

製造部門と補助部門の関係は計算問題を解くうえで重要なので
覚えておいてください。

それから具体的な部門名まで覚える必要性は低いです。
たとえば動力部門と聞かれて補助部門と連想できるまで
暗記する必要はありません。

ただ、製造部門と補助部門は区別できるようにしておきましょう。

ここで、記事冒頭で示した以外の部門別計算の定義を
書きます。

部門別計算とはいくつかの部門が存在する場合、
原価を部門ごとに分けて集計することをいいます。

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製造間接費の部門別計算をする目的

製造間接費 部門別計算

人間は何かをするのには目的があります。
トイレに行くのは、スッキリしたいという目的があります。
受験勉強をするのは試験に受かって、
いい会社に就職したいという目的があります。

これと同様に、部門別計算の目的は
製造間接費を正確に配賦すること
です。

製造間接費 部門別計算

上記図を見てください。

製造間接費をA部門、B部門、C部門それぞれに配賦しています。
これがまさに部門別計算です。
製造間接費の発生額を各部門に配る(配賦)わけです。

こうやって各部門に行った製造間接費は
それぞれの部門の配賦基準を使うことができます。
これにより、より正確な製品の原価計算ができるようになります。

配賦基準についてはこちらの記事をご覧ください。
配賦基準とは何か?例を挙げてわかりやすく解説

以下の図をご覧ください。

製造間接費

まず、製造間接費が当月1,000円発生したとします。
この1,000円は切削部門と動力部門の2つの部門で発生したものです。

このうち切削部門では600円、動力部門では400円でした。

なので、600円は切削部門に、400円は動力部門に
振り替えます。

こんな感じで製造間接費がどの場所にいくら発生したのか
計算しているんです。

ここで注意しておきたいことがあります。
切削部門は正確には切削部門費という勘定で
動力部門は動力部門費という勘定です。

なので、語尾に『費』がついてますから
費用とか原価を表す勘定だということです。

このようにして製造間接費として
切削部門に600円、動力部門に400円発生したわけです。

ここまで解説すると
「こんな計算をして意味あるの?」
と思われた方もいるかもしれません。

もちろん意味があるからやっているんです。

どんな意味があるか?というと、
コスト削減効果があります。

具体例で考えた方がわかりやすいと思いますので
具体例をしますますね。

部門別計算

たとえば、あなたは実家暮らしで両親と同居しているとしましょう。
で、家族みんなでスーパーにやってきました。

お父さんとお母さんは夜ご飯の買い物をしています。
あなたは自分でお金を払わないので好きな生活用品をバンバン手に取って
両親が押しているカートにどんどん入れていきます。

これってある意味、製造間接費が1,000円という状態です。
みんな一緒になっていて、
子どもが買ったものか、親が買ったものか、
はっきりしないってことです。

本当は子ども(あなた、たとえば切削部門の責任者みたいな感じ)、
お父さん(動力部門の責任者)、お母さん(他の部門の責任者)
みたいな感じで、それぞれが商品を買っています。

でも、同じカートに子供であるあなたは商品を入れていくので
自分がどれだけ買ったかわかりません。
支払は親なので、無責任にどんどん
子どもであるあなたは商品を買います。

両親は困りました。
「そんなにお金ないよ!」と。

部門別計算

そこでカートを子供用、父親用、母親用の3つに分けました。
そうすれば、だれがどれだけ商品をカートに入れたかがはっきりします。

これが製造間接費1,000円を切削部門(ここでは子供用)に600円
両親に400円みたいに分けるイメージです。

こんな感じで買った商品や料金が明確にわかるので
自分で買ったものは自分で支払うというルールにしたとしましょう。

となると、子どもも自腹を切るのは嫌なので
無駄なものは買わなくなるはずです。

結局、家族全体の総支払額は減ってくる可能性が高くなります。

このように以前までは製造間接費1,000円と計算されていたので
それぞれの部門の責任者(子供、母親、父親それぞれ)にとっては
自分の部門の原価がいくらかがまずわかりません。

逆に自分の部門の原価が明確にわかると
無駄な原価をかけるわけにはいかないという意識が働くので
コストが減っていくというメリットが部門別計算にはあります

他にもメリットがあります。
切削部門だとおそらく労働者による手社業が多いでしょう。
なので直接作業時間が多く発生するはずです。
労働者がいっぱいいて、
作業していますから。

直接作業時間の意味についてはこちらの記事をご覧ください。
労務費の仕訳についてわかりやすく解説

そうなると、切削部門の間接費の中身というのは
間接労務費が多いはずです。

なので、切削部門の間接費が60だと計算しているので
直接作業時間基準で配賦しようと考えるわけです。

それから動力部門の方ですが、
動力は機械を動かしますから、
機械関係の減価償却費や電気代が増えるでしょう。

そうすると機械部門の間接費は機械作業時間を基準にして
配賦することができます。

ここまでの記事だと直接作業時間と決めたら
すべてにおいて直接作業時間で配賦していました。

たとえばこの記事の例題をご覧ください。
予定配賦額の求め方

でも、部門別計算をすることで
部門ごとに異なる配賦基準で配賦できるので
多少なりとも製品原価の計算が正確になるというメリット
があります。

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製造間接費の部門別計算|製造直接費

製造間接費 部門別計算

製造間接費を部門別計算するという話をここまでしてきました。

ここでこんなことを疑問に思いませんか?
「製造直接費は計算しないの?」と。

製造直接費は計算する必要がありません。
どの製品に対していくらかかったか明らかな費用が製造直接費です。
この部門別計算は個別原価計算の話です。
個別原価計算と総合原価計算の違い
個別原価計算だと製造間接費の配賦を行う理由

ということはそれぞれの製品ごとにかかった原価を把握したいので
製造直接費というのは、
製造間接費のような配賦といった考えをする必要がないわけです。

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製造間接費の部門別計算|部門個別費と部門共通費の違い

部門別計算は3ステップで計算していきます。
ここでは最初のステップの解説をします。

製造間接費の金額を部門個別費、部門共通費の2つに分けます。

部門個別費というのはある特定の部門で
いくら発生したかが、はっきりとわかるもの
をいいます。

たとえば切削部門で発生した切削用の機械の減価償却費は
特定の部門(切削部門)でいくら発生したかが明確なので
部門個別費に該当します。

それから組立部門の間接工賃金。
これは組立部門でしか発生しませんから部門個別費になります。

他にも、切削部門など、各部門の責任者の給料も部門個別費です。
各部門の責任者は他の部門で一切仕事をしないから、
この責任者の給料は部門個別費になります。

逆に製造工場そのものの減価償却費は
切削部門も組立部門もすべて同じ建物に入っています。
こういった費用は部門共通費になります。

あと、工場長の給料も部門共通費になります。
工場長がまさか、切削部門だけにかかりきりとか
組立部門だけにかかりきりってことはあり得ませんからね。

工場長というのは工場全体の管理をしているので
部門共通費となります。

こんな感じで部門共通費はどの部門で発生したかが明らかでないものをいいます。

ところで部門個別費は各部門に賦課します。
それから部門共通費は各部門に配賦します。

ちなみに賦課(ふか)は直課(ちょっか)ということもあります。

部門個別費はどの部門で発生した費用かがわかるので
その部門に直接請求みたいな形になるわけです。
こういうものを賦課とか直課というんです。

逆に部門共通費はどの部門にどれだけ負担させたらいいか
わかりません。
たとえば工場長の給料をどの部門にいくら負担させたらいいか
わかりませんね。

なんなら、ちょっとでもその部門は支払いたくないでしょう。
でも、部門ごとの原価をきちんと計算しないといけないので
部門共通費については配賦しないといけないんです。
配賦とは『配る』って意味だと考えてください。

それぞれの部門に原価を配るって感じですね。
しかも部門共通費の場合には、各部門の占有面積であったり
その部門で働いているスタッフの人数など
一定の基準にしたがって配賦
します。

ここまで理屈の話をしました。

ここから、一緒に例題を解いていきましょう。
そうすれば一気に理解が深まると思います。

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製造間接費の部門別計算|例題

例題

当工場では、製造部門として第1製造部門、第2製造部門があり、
補助部門として電力部門、修繕部門、工場事務部門があります。
次の資料にしたがって、製造間接費を各部門に集計してください。

部門別計算の例題

上記資料で
まずはここに注目です。

資料1

部門個別費と部門共通費に分かれていますね。
部門個別費に関しては第1製造部門で8,000円、第2製造部門で9,000円発生しているといった感じで
金額がわかっているわけです。

これに対して、電力料や工場全体の減価償却費は
各部門でどれだけかかっているか、わかりません。
そこで配賦することになるわけです。

つまり、部門個別費は直課(賦課)します。
だから部門個別費についてはやることはありません。
ここで計算が終わっているんです。

ということは部門共通費の電力料210円と工場減価償却費600円は
工場全体の発生額です。
なので、この210円と600円を配賦(配ること)していくことになります。

ここまで把握したら次の資料2を見ていきましょう。

部門共通費

部門共通費についての話ですね。

ポイントは

・電力料は各部門の電力消費量
・工場減価償却費は各部門の占有面積

によって配賦するというところです。

ここまでを踏まえて
次に部門共通費の配賦について考えていきましょう。

電力料210円の配賦です。
電力量210円を電力消費量210kwhを基準に配賦していきますので
60:80:20:10:40
という形で分けていくわけですね。

210kwhの電力を提供したら210円かかったということなので
以下のように計算します。

電力料の配賦

というふうに配賦をしていきます。

計算が終わったら、
検算をしておいてくださいね。

合計したら210円になっていたら大丈夫です。
こうすることでケアレスミスを防ぐことができます。

今回の計算では60円+80円+20円+10円+40円=210円
になっていますね。

次に工場減価償却費600円の配賦なのですが、
100㎡がすべての配賦基準になります。

そのうちの20㎡分が第1製造部門に対して配賦されます。
つまり30/100配賦すると考えましょう。

すると以下のような計算になりますね。

工場減価償却費

上記の計算結果をすべて足し合わせると600円となりますね。

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製造間接費の部門別計算|製造間接費部門別配賦表

先ほどの例題の結果を製造間接費部門別配賦表にしてみました。

製造間接費部門別配賦表

部門個別費、部門共通費をそれぞれの部門に
いくらずつ配ったのかの一覧表です。

日商簿記2級の工業簿記だと
「製造間接費部門別配賦表を作りなさい」
という問題がかなり出ています。

上記表で、たとえば電力料210円はそれぞれの部門に
60円、80円、20円、10円、40円と配賦されていますね。

工場減価償却費600円も同様に配賦します。
それから部門費については縦の合計金額を記載します。

たとえば第1製造部門だと
8,000円+60円+120円=8,180円となっていますね。

ここまでが部門別計算で3段階まであるうちの第1段階までの
計算方法や考え方となります。

次の段階では出した計算結果を補助部門に配賦していくことになります。
続きはこちらの記事をご覧ください。
直接配賦法と相互配賦法【部門別計算の第2段階】