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1次試験

賃率差異の求め方をわかりやすく解説




前回、予定賃率について解説しました。
予定賃率を使った労務費の求め方

予定賃率を使って労務費を計算すると予定消費額を
求めることができます。

ただ、予定消費額はあくまで予定の話で
実際の話ではありません。

予定消費額は以下のように求めることができるんでしたね。
予定賃率を使った労務費の求め方

予定消費額=予定賃率×実際作業時間

でした。

つまり、予定賃率に実際作業時間をかけて計算するので
実際の賃率と予定賃率の差が実際消費額と予定消費額の差だといえます。

材料費のときも不利差異、有利差異がありましたが
賃率差異にも不利差異、有利差異があります。
材料消費価格差異の求め方と仕訳についてわかりやすく解説

以下、詳しく解説していきます。

この差のことを賃率差異といいます。

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賃率差異の求め方|不利差異(借方差異)

賃率差異を求めた結果、
予定消費額よりも実際消費額の方が大きかった場合を
不利差異、あるいは借方差異
といいます。

たとえば予定消費額が1,000円で実際消費額が1,500円だったケースが
不利差異(借方差異)です。

つまり実際消費額の方が大きいということは
当初の予定消費額1000円と比べて
実際消費額の方が500円だけ多くかかっているわけです。

会社的には嫌なケースです。
思ったよりもお金がかかっているからです。

理解を深めるために一緒に例題を解いていきましょう。

例題

当月の直接工賃金の実際消費額(全部、直接作業分とします)は
2,000円でした。
直接工の賃金は予定賃率(@200円)を使って計算しています。
当月の実際直接作業時間は8時間だったとします。

まず賃金を消費した時、以下のような仕訳になります。

@200円×8時間=1,600円なので

(借方)仕掛品1,600円/(貸方)賃金・給料1,600円

考え方としては
直接工賃金で全部、直接作業分なので
直接労務費となり、仕掛品勘定となりますね。

「よくわかりません!」
という方はこちらの記事をご覧ください。
労務費の仕訳についてわかりやすく解説

で、問題文から
賃金・給料の実際消費額は2,000円ということなので
予定消費額1,600円<実際消費額2,000円
と、実際消費額の方が大きかったことがわかります。

貸方の賃金・給料が1,600円ではなく2,000円だったので
仕訳でみると、2,000円-1,600円=400円
少なく記載してしまったと考える
んです。

これを仕訳の形で表しましょう。

(借方)賃率差異400円/(貸方)賃金・給料400円

と記載します。

これで合計すれば貸方の賃金・給料が1600円+400円で2,000円となり
実際の消費額が反映されました。

借方は賃率差異勘定を使います。

仕訳ですから借方と貸方にそれぞれ科目が書き込まれていないといけません。
で、賃金・給料勘定が貸方にあるけど、借方には何もないから
賃率差異という勘定を用意したと考えます。

こんな感じで仕訳のときに借方に賃率差異勘定が出てくるので
借方差異といったりします。

また、会社的には賃金の支払いが予定より増えたので不利差異
いったりします。

たとえばアメリカ旅行に行って帰ってきたとします。
旅行に行く前は「30万円あったら足りるだろう」と30万円の予算を組んでいたのですが
アメリカ旅行から帰ってきてみると、実際は40万円かかっていたとすると
実際の方が10万円余分にかかっていたので、普通は損した気になりますよね。

これと同じ感覚が不利差異ってやつです。

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賃率差異の求め方|有利差異(貸方差異)

次に賃率差異が有利差異(貸方差異)の場合をみていきましょう。
賃率差異が有利差異になるのは
予定消費額の方が実際消費額よりも多い場合です。

会社的には嬉しいケースなので有利差異といいます。

理解を深めるために一緒に例題2を解いていきましょう。

例題2

当月の直接工賃金の実際消費額(全部、直接作業分とします)は
1,000円でした。
直接工の賃金は予定賃率(@200円)を使って計算しています。
当月の実際直接作業時間は8時間だったとします。

先ほどの例題と例題2の違いは実際消費額だけです。
先ほどの例題では実際消費額が2,000円だったのに対し
例題2では実際消費額が1,000円です。

なので、
先ほどの例題と同様に
賃金を消費した時の仕訳は

@200円×8時間=1,600円なので

(借方)仕掛品1,600円/(貸方)賃金・給料1,600円

となります。

これと実際消費額1,000円と比べましょう。
すると、1,600円ー1,000円=600円

600円分だけ、実際にかかった額は小さかったわけです。
なので貸方の賃金・給料を600円分だけ減らす仕訳をします。

つまり、

(借方)賃金・給料600円/(貸方)賃率差異600円

となります。

先ほどの不利差異(借方差異)との違いは仕訳をしたときに
差異が貸方に出てくるというところです。

ではなぜ今回は借方に賃金・給料が出てくるのでしょう?
まず予定消費額が1,600円だったのですが、
実際は1,000円だったわけです。

だから賃金・給料を1,000円に修正したいわけです。
ということは貸方に書いた賃金・給料1,600円から
直接600円を削る方法は工業簿記にはありません。

そこで借方に賃金・給料600円とすることで
貸方の賃金・給料1,600円と差し引きしています。

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賃率差異の求め方|有利差異か不利差異かの見極め方

試験で有利差異化不利差異か
どうやって見極めたらよいのでしょう?

やり方としては
予定消費額から実際消費額を引き算するというやり方でできます。

たとえば例題2では
予定消費額1,600円ー実際消費額1,000円=+600円
プラスだと有利差異だと判断します。

予定したコストより安く済んだ(これは会社からしたら有利な話なので有利差異)から
予定の方が実際より高いわけでプラスになります。

有利差異は貸方差異だから
先に貸方に賃率差異600円を書きます。
すると相手は賃金・給料しかないので

(借方)賃金・給料600円/(貸方)賃率差異600円

と試験では解きます。

逆に予定消費額から実際消費額を引くとマイナスになるなら
不利差異だと判断し、借方に賃率差異を記載し、
相手になる賃金・給料を貸方に記載するようにします。

これは材料費のやり方と一緒です。
材料消費価格差異の求め方と仕訳についてわかりやすく解説

以上で解説を終わります。