材料の消費価格差異、労務費の賃率差異、
そして製造間接費の配賦差異をひっくるめて原価差異といいます。
原価差異とは何?といわれたら
「消費価格差異、賃率差異、製造間接費配賦差異をひっくるめた用語ですよ」
とわかったら、それで終了です。
分からない場合には
消費価格差異、賃率差異、製造間接費配賦差異についての記事を
ご覧いただけると、うれしいです。
⇒材料消費価格差異の求め方と仕訳についてわかりやすく解説
⇒賃率差異の求め方をわかりやすく解説
⇒製造間接費配賦差異の仕訳手順
⇒製造間接費配賦差異の分析についてわかりやすく解説
別の言い方をすると原価差異とは
原価の予定額と実際額の差額のことです。
つまり材料費の消費価格差異、労務費の賃率差異、
製造間接費配賦差異の総称のことを原価差異という言葉で表現しているんです。
原価差異とは
原価差異=材料消費価格差異+賃率差異+製造間接費配賦差異
です。
この原価差異ですが、
毎月発生します。
この毎月発生する原価差異を
どのように求め、そして仕訳していくのか?
わかりやすく解説していきたいと思います。
原価差異の求め方|総論
原価差異の処理なんですが、
実際に発生した費用の残りというイメージです。
原価差異が発生した場合、
会計年度末に売上原価から加減します。
具体的には不利差異なら売上原価に加算し
有利差異なら売上原価から減算します。
不利差異の場合には発生した費用が
売上原価になっていないので加算します。
逆に有利差異だったら、費用のマイナスというイメージです。
節約できたわけですから。
だから売上原価から引き算するという処理を行います。
どういう場合に不利差異となり、
どういう場合に有利差異になるか?
というのは、消費価格差異、賃率差異、製造間接費配賦差異、
それぞれ理屈があります。
詳しくはこちらの記事をご覧ください。
⇒材料消費価格差異の求め方と仕訳についてわかりやすく解説
⇒賃率差異の求め方をわかりやすく解説
⇒製造間接費配賦差異の仕訳手順
⇒製造間接費配賦差異の分析についてわかりやすく解説
原価差異の求め方|不利差異(借方差異)のケース
原価差異が不利差異のケースを理解するために
例題をみていきましょう。
例題1
会計年度末おいて、材料消費価格差異を売上原価に加減するものとします。
なお、材料消費価格差異勘定の残高は600円(借方残高)、
原価差異を加減する前の売上原価は6,000円とします。
商業簿記で勉強したと思いますが、
売上原価は収益か費用か?ということでいうと
費用ですね。
例題の文中にありますが、借方残高と書いてありますね。
借方残高ということは不利差異ですね。
よくわからない方はこちらの記事をご覧ください。
⇒材料消費価格差異の求め方と仕訳についてわかりやすく解説
売上原価は費用なのでこちらも借方ですね。
ここまで理解できたら仕訳をしていきましょう。
となります。
こんな感じで借方の材料消費価格差異600円を貸方に持って行きます。
イメージとしては相殺です。
借方にあった材料消費価格差異600円を打ち消すために
貸方に材料消費価格差異600円を記載したってことです。
ただ、これではもともと借方にあった
材料消費価格差異600円が宙に浮くので
借方に売上原価600円を記載したわけです。
売上原価は費用なのでそもそも借方に存在しているわけなので
もともと借方にあった売上原価6000円に600円を加算するということです。
これを追加配賦といいます。
材料消費価格差異600円を売上原価に加算したあとは
6,600円になっています。
差異の勘定から売上原価に加算していくのは
不利差異のケースです。
覚えておきましょう。
原価差異の求め方|有利差異(貸方差異)のケース
今度は原価差異が有利差異(貸方差異)のケースを見ていきます。
このケースでは売上原価から引き算します。
不利差異とは逆です。
不利差異では費用の残りだから加算しました。
でも、有利差異の場合には費用のマイナスのようなものなんです。
だから売上原価から引き算します。
では一緒に例題を解いて理解を深めていきましょう。
例題2
会計年度末において、製造間接費配賦差異を売上原価に加減します。
なお、製造間接費配賦差異勘定の残高は600円(貸方残高)、
原価差異を加減する前の売上原価は7,000円とします。
今回は貸方残高なので、以下のような仕訳になります。
製造間接費配賦差異はもともと貸方にありました。
これを借方に持ってきて相殺します。
で、売上原価も600円分マイナスします。
つまり、そもそも借方に存在する売上原価の金額を減らすために
(貸方)売上原価600円とするわけです。
そうやって売上原価の総額を減らす仕訳を行います。
結局、売上原価は7,000円ー600円=6,400円となるわけですね。
原価差異の仕訳・求め方|まとめ
会計年度末において、
不利差異の場合には売上原価に加算します。
そして有利差異の場合には売上原価から減算する処理を行います。
以上で原価差異に関する解説を終わります。