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1次試験

自然失業率とは?わかりやすく解説

自然失業率とは




参考文献・URL
マンキュー経済学ミクロ編・マクロ編

分厚いマンキュー経済学を読み解くのがめんどくさい人は、こちらをおすすめします。
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今回の記事では自然失業率仮説とは何か?
解説していきます。

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自然失業率とは?

自然失業率が何か?理解するために、
フィリップス曲線について先に解説させてください。

以前もフィリップス曲線について解説していますが
今回、あらためてグラフを書きながら説明していきますね。
フィリップス曲線とは?わかりやすく解説
フィリップス曲線が右下がりになる理由
長期フィリップス曲線と短期フィリップス曲線の違い

自然失業率の理解の前提となるフィリップス曲線

フィリップス曲線のフィリップスは人の名前です。
フィリップスさんが見つけ出した曲線だからフィリップス曲線といいます。

フィリップスさんはいったいどんな曲線を見つけ出したのでしょうか?

フィリップスさんはイギリスにおいて100年分のある実証研究を行いました。
実証研究というのは、実際の統計とか数値を材料として分析・研究を行っていくものです。
フィリップスさんはどんな実証研究を行ったのでしょう?

貨幣賃金上昇率と失業率の間の実証研究です。
貨幣賃金上昇率と失業率の間にどんな関係があるのか?
ということを両データの100年分の数値を照らし合わせることで
ある1つの関係性を見出すことができました。

その関係性をフィリップス曲線と呼んでいます。

ではフィリップスさんはどんな曲線を見出したのでしょう?
実際に書いてみると以下のような曲線になります。

フィリップス曲線

縦軸にはΔw/wです。
wは貨幣賃金なので、Δw/wで貨幣賃金の変化率(上昇率)となります。
横軸はu(小文字)で失業率を意味します。

失業を英語で『unemployment』と書くので
頭文字をとって『u』を使うことが経済学では多いですね。

この失業率と貨幣賃金の変化率上昇率の間に
どんな関係があるのでしょう?

フィリップス曲線


フィリップスさんが実証研究を行った結果、
非常にきれいな右下がり関係があることが発見されました。
これをフィリップス曲線と呼びます。

このことを言葉で説明すると
貨幣賃金上昇率と失業率との負の相関』となります。
この『負の相関』というのがフィリップス曲線で示されるる右下がりの線となります。

フィリップスさんが実証研究をしたことで得られた発見は当然といえば当然ことです。
なぜなら、失業率というのはどんな時に高くなるでしょう?
景気が悪い時です。

景気が悪く不況に陥ると失業率が高まっていきます。
失業率が高まっていくと仕事に就けない人が増えてきます。
仕事に就けない人は給与水準が下がってもいいから仕事に就きたいと考えるでしょう。

実際に働いている人だって
賃金が下がっても構わないから働き続けたいと考えるはずです。
賃金の上昇率は低くなっていくはずです。

フィリップス曲線

つまり、失業率が上昇すればするほど貨幣賃金の上昇率は低くなっていくはずなので
右下がりの関係があるというのは直観的に考えれば確かにうなずける話ですが、
フィリップスさんがすごいところはそれを100年分という気が長くなるような統計データをもとに
それが事実であることが確認できたところにあります。

こんな感じで直観を事実として確認するというのは大事な作業です。
こういった直観が事実に照らして間違いない事が確認されたというのがフィリップス曲線の
大きなポイントになってきます。

フィリップス曲線のどこが自然失業率?

フィリップス曲線

このフィリップス曲線が縦軸のΔw/w=0で
横軸の失業率と重なっているところをUN(自然失業率)といいます。
この自然失業率とはどんな失業率なのでしょう?
自然失業率とは完全雇用時の失業率です。

つまり、完全雇用が実現されているときの失業率が自然失業率です。

なぜ自然失業率が完全雇用状態における失業率といえるのでしょう?

フィリップス曲線

自然失業率が表される点というのは
貨幣賃金上昇率(Δw/w)が0、
つまり貨幣賃金が上がりもしなければ下がりもしない状態です。

どういうときに貨幣賃金が上がりも下がりもしない状態になるのでしょう?
労働市場において時給が均衡している状態です。

古典派の労働市場を想像してみてください。

労働需要と労働供給があったときに交点で均衡が決定します。
この均衡点は労働の需給が一致しているから、
人が余ってもいなければ不足してもいないから
賃金も上がりもしなければ下がりもしません。

つまり、この賃金の上昇率が0のポイントというのは
労働市場が均衡している状態を示すわけです。

ということで労働市場が均衡している状態、
当然それは古典派でいえば完全雇用と一致するはずだから
自然失業率は労働市場の均衡、すなわり完全雇用が実現しているときの失業率ということになります。
これが自然失業率です。

もちろん失業がまったくないというわけではなくて
自発的失業とか、摩擦的失業というのは当然あります。

とはいえ、自然失業率とは完全雇用時の失業率ということになります。

フィリップス曲線の数式と自然失業率の関係

ちなみにフィリップス曲線の数式は

$\frac{Δw}{w} $=-a(u-U$N $)
となります。

ちなみにaは正の定数で、uは失業率、
U$N $は自然失業率です。

ところで、(u-U$N $)ですが、
失業率と自然失業率の差をとっていますが、
たとえば、失業率が自然失業率を下回っているなら
完全雇用の状態よりも失業率が低い、つまり人手不足の状態を意味します。

フィリップス曲線

完全雇用よりも失業率が低いということは
完全雇用を超えて人を採用しようと企業は考えているわけです。
当然、人手不足になれば賃金は上がります。

なぜなら$\frac{Δw}{w} $=-a(u-U$N $)で
右辺の-a(u-U$N $)全体がプラスになるからです。
結果、貨幣賃金上昇率がプラスになります。

逆に失業率が自然失業率よりも下回っているなら
完全雇用よりも低い水準に雇用があるので
この場合、$\frac{Δw}{w} $はマイナスになり、賃金は下落していくということになります。

この関係を数式的に示したものが
$\frac{Δw}{w} $=-a(u-U$N $)
という式になり、これがフィリップス曲線です。

次回の記事ではフィリップス曲線の知識を前提として
物価版フィリップス曲線について説明していきます。