参考文献・URL
マンキュー経済学ミクロ編・マクロ編分厚いマンキュー経済学を読み解くのがめんどくさい人は、こちらをおすすめします。
⇒スタンフォード大学で一番人気の経済学入門(ミクロ編) [ ティモシー・テイラー ]
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ケンブリッジ方程式とは?わかりやすく解説
ケンブリッジ方程式は古典派のマクロ経済学に対する考え方を示すものとして
めっちゃくちゃ有名なものです。
公務員のマクロ経済学「ケンブリッジ方程式について」
要点
・ケンブリッジ方程式とはマネーサプライMが名目上の国民所得PYに比例して決定されるとする貨幣数量説の一つ
・式としてはM(マネーサプライ)/P(物価水準)=k(マーシャルのk)Y(国民所得)となる#公務員 #23卒 #マクロ経済学— 知識図書館(公務員試験・資格ブログ) (@TandH_blog) November 21, 2021
ケンブリッジ方程式は前回解説した『MV=PY』の式
から導かれます。
⇒貨幣数量説でインフレが起こる条件とは?
M:貨幣供給量
P:物価水準
V:貨幣流通速度
Y:生産量(国民所得)
マーシャルのkとは?
ここで両辺をV(貨幣流通速度)で割ります。
すると、
M=$\frac{1}{V} $PY
となります。
この$\frac{1}{V} $ですが、記号をkに変えます。
するとM=kPY
となります。
この『k』はマーシャルのkと呼ばれています。
公務員のマクロ経済学「マーシャルのkについて」
要点
・マーシャルのkはケンブリッジ方程式で使われるもの
・マーシャルのkは国民所得の内、何%の割合で貨幣を保有して置きたいかを表すもの
・マーシャルのkは定数であり、勝手に変化することはない#公務員 #23卒 #マクロ経済学— 知識図書館(公務員試験・資格ブログ) (@TandH_blog) November 23, 2021
“「マーシャルのk」とは、貨幣数量説におけるケンブリッジ方程式から
k = 貨幣量/(物価x実質GDP)
と表される概念であり、定数または安定的な変数とされている。
(だからこそこの方程式に意味がある。)
ところが、文字通りにこの式を扱うと、kは安定しない。”— 高卒非正規が株式投資でアーリーリタイアを目指す (@ronaldread_blog) May 28, 2020
マーシャルという人はイギリスのケンブリッジ大学の教授です。
古典派経済学の一番偉い立場にいる人といっても過言ではないでしょう。
ネット検索より。
英国のケンブリッジ大学の経済学者アルフレッド・マーシャル の言葉らしい。
「ケンブリッジが世界に送り出す人物は、冷静な頭脳と温かい心をもって、自分の周りの社会的苦悩に立ち向かうために、その全力の少なくとも一部を喜んで捧げよう」(伊藤宣広訳『経済学の現状』)。— 山内かなこ 宮崎県議会議員 (@yamakana2021) December 31, 2021
一方でその後のケンブリッジ学派がマーシャル、ピグー、ケインズと市民社会と資本主義を事実であり規範でもあるとしてその発展に資する理論を構築していったのも、社会学的法学の方向性と一致していて思想史的に一体として捉えられそう。
— 骸骨 (@kasanosita) May 2, 2021
そんな古典派経済学のお偉いさんであるマーシャルさんの名前が入っている
マーシャルのk。
M=kPY
という数式は左辺が貨幣供給を示します。
では右辺はどんな意味を持つのでしょう?
左辺の貨幣供給と同じ意味を右辺は持つわけです。
供給と一致するものは何でしょう?
供給と一致するのは『需要』です。
M=kPY
という数式はつまり、古典派の考える貨幣市場の均衡式を意味しています。
これは以前解説したような貨幣市場の均衡式とは大きく違う点があります。
たとえば、以前解説した貨幣市場の均衡条件にはr(利子率)が必ず入っていました。
⇒IS-LM分析についてわかりやすく解説
ですが、古典派の考える貨幣市場の均衡条件の中には
利子率(r)は入っていません。
これがケインズの考える貨幣市場とは大きく異なる点です。
ということで古典派の貨幣市場の均衡は利子率に依存しないということです。
もし仮に利子率(r)に依存しないとするなら
古典派の考え方からIS-LM分析を理解しようとしたらどうなるでしょう?
通常LM曲線は上記のように右上がりになります。
詳しくはこちらをご覧ください。
⇒LM曲線の導出についてわかりやすく解説
これはある国民所得水準に対して貨幣市場を均衡させる利子率水準が変化するから右上がりになります。
ですが、古典派の場合、利子率rはまったく無関係です。
ある国民所得水準だけで
貨幣市場の均衡が決定してしまいます。
だとすると、古典派におけるLM曲線は以下のようになります。
こんな感じである国民所得水準で垂直になります。
つまり、まったく利子率rに依存しないLM曲線ができます。
もちろん、このとき決まる国民所得水準とは古典派の場合、
必ずYF(完全雇用国民所得)になります。
⇒完全雇用国民所得とは?
⇒貨幣数量説でインフレが起こる条件とは?
古典派の考え方からLM曲線を理解しようとすると
こんな感じで完全雇用国民所得YF水準で垂直なLM曲線になってしまいます。
もちろん、この場合には政策的な効果はまったくなくなってしまうことになります。
公務員のマクロ経済学「ケンブリッジ方程式について2」
要点
・ケンブリッジ方程式は古典派の考え方であり基本的には金融政策は無意味
・k%ルールという貨幣需要がk%増加する時、マネーサプライもk%増加させることで物価水準を一定にするという考え方もある#公務員 #23卒 #マクロ経済学— 知識図書館(公務員試験・資格ブログ) (@TandH_blog) November 23, 2021
それからマーシャルのkについてですが、
公務員試験でマーシャルのkが出題されることがあります。
この場合、必ずひっかけ問題でこんなのが出題されたりします。
マーシャルのkとは貨幣流通速度のことである。
〇か×か。
答えは×です。
M=kPYという式でしたね。
M:貨幣供給量
P:物価水準
V:貨幣流通速度
Y:生産量(国民所得)
kは$\frac{1}{V} $のことです。
このマーシャルのkとはV(貨幣流通速度)ではなく、
Vの逆数のことです。
逆数というのは分子と分母をひっくり返したものです。
[雑記/備忘]ホップ代数の絵算 2:割り算と逆元: … 算数の場合、aをbで割ると a÷b = a/b ですが、a/bは、bの逆数1/bをaにかけ算したモノとみなせます。a/b = a×(1/b) ですね。逆数をかけ算する操… http://bit.ly/9Zn66a
— t77y7gy (@t77y7gy) September 14, 2010
貨幣数量説のケンブリッジ方程式M=kPY Mは貨幣供給量 Pは物価 Yは国民所得 そしてkはマーシャルのkというもので、貨幣速度(どれだけ使われたか)Vを逆数とする、1/Vのことだ。 だったらM=PY/Vでいいじゃん。とか思ってしまうのだが。
— まよた (@pecker_001) March 31, 2011
しかし・・・中国サンのマーシャルK(貨幣流通速度の逆数・M2/GDP)は実は日本より高い・・・この貨幣流通速度の低さ(=貯蓄過剰)じゃあ今まで財政出動で供給されたマネーストックの大半は死蔵されデッドストック化してる可能性がある pic.twitter.com/qQ0W77Pki5
— 永井佑来 (@NagaiYuki55) August 26, 2015
$\frac{1}{V} $とは貨幣流通速度Vの逆数。
だからマーシャルのkとは貨幣流通速度のことではなくて
貨幣流通速度の逆数のことです。
これが正しい記述となります。
この辺はくれぐれもひっかからないように注意してくださいね。
ケンブリッジ方程式とマーシャルのkまとめ
いかがだったでしょうか?
今回の記事ではケンブリッジ方程式を示し、
その中で登場したマーシャルのkについてかなり詳しく解説しました。
ケンブリッジ方程式は古典派の特徴的な考え方が
表現されていましたね。
たとえばLM曲線一つとっても利子率rに依存しないから
垂直な線になるとか。
参考になったようならうれしいです。