工業簿記は材料を加工して製品にしお客さんに販売するという
一連の流れで扱う簿記でしたね。
⇒工業簿記と商業簿記の違いをわかりやすく解説
それから加工してできたものを製品と言って
仕入れたまま販売するものを商品というんでしたね。
⇒仕掛品と製品の違いをわかりやすく解説
で、材料を加工する業種を製造業っていいます。
製造業で工業簿記を利用するわけですが、
製造業では製品を作るのにかかった費用を計算することになります。
この費用の計算のことを原価計算といいます。
この記事では原価計算について簡単にわかりやすく
解説していきたいと思います。
原価計算とは何か?簡単にわかりやすく解説
原価計算とは何か?複雑にも簡単にも説明できますが
今回は簡単に説明しますね。
原価計算とは何かをするのにかかったお金を計算することをいいます。
たとえば、遊園地に行ってきたとしましょう。
遊園地に行って観覧車に乗って、フランクフルトを食べて
ソフトクリームを食べて、おみやげを買って帰ってきたとします。
遊園地で使ったお金を計算してみたら5万円でした。
この遊園地で使ったお金の計算も原価計算です。
遊園地で使ったお金を計算したわけですから立派な原価計算ですよ。
本当は商業簿記でも原価計算はやっているんですね。
でもほぼほぼ必要ないから試験でも出題されないだけなんです。
たとえば、仕入れ先からおもちゃを100円で仕入れて1000円で
お客さんに売ったとしましょう。
これは商業簿記の範囲です。
⇒工業簿記と商業簿記の違いをわかりやすく解説
この場合、売上原価っていくらですか?
100円で仕入れたんだから売上原価は100円ですよね。
これでも一応原価計算をやっています。
原価計算とは何かをするのにかかったお金を計算することをいいますから。
商業簿記の場合の原価計算は簡単です。
でも工業簿記を利用する製造業の場合、
原価計算が重要になります。
製造業では木材や鉄を仕入れてきて
のこぎりや金づち、バーナーなんかを使って加工します。
そしてまったく形の違う製品が出来上がりました。
たとえばここではイスという製品を作ったとしましょう。
イスの値段は10万円です。
で、イスを作るのにかかった材料代は3万円かかっていたとしましょう。
でも、仕入れ先から購入した材料費は9万円だったとします。
となると、「???、仕入れ先の材料代9万円でイスを作るのにかかった材料代が3万円、よくわからないよ」と思った方もいるでしょう。
ただ、これは普通のことです。
なぜなら製造業はお仕事でやっているんです。
イスを1個作って終わりって商売じゃありません。
このイスを3万円で作って、残り6万円(9万円―3万円)は
別のイスの製造に利用されるわけです。
こんな感じで製造業の場合、材料を仕入れても
全部使うわけじゃありません。
また、材料費のほかにイスを作る職人さんのお給料(労務費)が
かかったり、夏ならエアコン、冬なら暖房代(電気代)がかかります。
なので、商品売買業(コンビニなどの商売)みたいに
「パンの仕入れ業者にいくら払ったっけ?」と簡単に原価がわかるわけではありません。
製造業は商品売買業よりもかかった原価を計算するのは複雑な処理が必要になります。
そこで製造業の場合、製品が完成したら
この製品を作るのにいくらのお金をかけたのか?計算するのが原価計算です。
「遊園地に行ってきたよ」とかかったお金を計算するのも原価計算です。
工業簿記では製品の原価計算をしているだけです。
工業簿記と原価計算の関係
会社が材料を仕入れて製品にして売るという流れを
一通り記録するのが工業簿記です。
これに対して出来上がった製品がいくらで完成したのか?
を計算するのが原価計算です。