総合原価計算では材料費と加工費に原価を分けます。
個別原価計算では
・材料費
・労務費
・経費
・製造直接費
・製造間接費
という分け方をしていました。
でも総合原価計算では同じ製造原価ですが
基本的には材料費と加工費という分け方をするんです。
この記事では加工費と材料費の違いについて
わかりやすく解説していきます。
加工費・材料費の違い(総合原価計算)
材料費は投入時に全額発生する原価のことです。
逆に加工費は少しずつ発生する原価のことです。
この説明だけでは不足しているので
さらに詳しく解説していきますね。
材料費ってどんな原価でしょう?
![総合原価計算 加工費](https://www.management-consultant.info/wp-content/plugins/lazy-load/images/1x1.trans.gif)
たとえば袋で考えてみますね。
その会社では紙袋とビニールの袋を製造しているとしましょう。
たとえば紙袋を製造するとしましょう。
どの段階で紙を投入したらよいのでしょう?
つまり、作業の始まりのことで、工程の始点という言い方をします。
もちろん、紙袋における紙はメインの材料ですから
工程の始点で投入するのが一般的でしょう。
逆に紙を工程の終点(最後)で投入することって可能でしょうか?
どう考えても無理でしょう。
たとえば紙がないのにどうやって柄を印刷したり、
持つところをつけるのでしょうか?
紙袋の製造は紙を最初に投入するはずですね。
ですから、材料費というのは普通、工程の始点(作業の始まり)に
投入するものです。
なので、材料費というのは作業の最初に投入します。
たとえば、紙(材料)を500円分、最初に投入します。
作業の途中で、紙に印刷を施したりします。
でも、作業の途中において
紙を加えたりするわけではないので
途中でも、500円のままですね。
追加料金がかかってないってことです。
もちろん紙袋が完成しても
紙代は500円のままです。
ということで、投入時(工程の始点)で材料費は全額発生します。
最後に完成品に含まれる材料費も工程の始点で発生する材料費も
ずっと金額は変わりません。
では加工費は?
![総合原価計算 加工費](https://www.management-consultant.info/wp-content/plugins/lazy-load/images/1x1.trans.gif)
たとえば、紙袋の柄を印刷するときに(加工しているときに)使用する電気代や
工場全体を照らす電気代を考えてみましょう。
つまり加工中に電気代ってかかりますね。
こういった電気代は加工費になります。
加工中の電気代は
作業開始直前は当然0円です。
でも、紙袋の製造のために1時間作業したら
1時間分の電気代がかかります。
3時間作業したら、3時間分の電気代がかかりますね。
要するに加工費は加工作業が進めば進むほど
徐々にかかっていくわけです。
総合原価計算の場合には
この材料費、加工費に分けるというのが基本になります。
加工費、材料費はあるけど製造直接費、製造間接費はないの?
個別原価計算の解説のときに
製造直接費、製造間接費の話が登場しましたね。
⇒直接材料費について例を挙げてわかりやすく分類
⇒間接材料費について例を挙げて解説
製造直接費には
・直接材料費
・直接労務費
・直接経費
があり、
製造間接費には
・間接材料費
・間接労務費
・間接経費
がありましたね。
詳しくはこちらの記事をご覧ください。
⇒製造原価の内訳
総合原価計算では製造直接費とか製造間接費といった用語を
みかける機会は少ないと思います。
なぜなら、直接材料費だけを総合原価計算上では材料費とよんで
それ以外の部分、つまり、直接労務費、直接経費、間接材料費、間接労務費、間接経費
を加工費と分類しているからです。
ややこしいので一度まとめますと、
総合原価計算の材料費は
・直接材料費
のことで、
総合原価計算の加工費は
・直接労務費
・直接経費
・間接材料費
・間接労務費
・間接経費
なのです。
別の言い方をすると
総合原価計算において直接材料費だけが材料費で
他は加工費だということです。
加工進捗度とは?
加工進捗度とは製品の完成度のことで、
「かこうしんちょくど」と読みます。
日商簿記2級では加工進捗度の問題が出ますので知っておいてください。
加工進捗度0%はこれから製造を開始するところで、
半分完成したら加工進捗度は50%、
完成したら加工進捗度は100%となります。
以上で解説を終わります。