総合原価計算では材料費と加工費に原価を分けます。
個別原価計算では
・材料費
・労務費
・経費
・製造直接費
・製造間接費
という分け方をしていました。
でも総合原価計算では同じ製造原価ですが
基本的には材料費と加工費という分け方をするんです。
この記事では加工費と材料費の違いについて
わかりやすく解説していきます。
加工費・材料費の違い(総合原価計算)
材料費は投入時に全額発生する原価のことです。
逆に加工費は少しずつ発生する原価のことです。
この説明だけでは不足しているので
さらに詳しく解説していきますね。
材料費ってどんな原価でしょう?
たとえば袋で考えてみますね。
その会社では紙袋とビニールの袋を製造しているとしましょう。
たとえば紙袋を製造するとしましょう。
どの段階で紙を投入したらよいのでしょう?
つまり、作業の始まりのことで、工程の始点という言い方をします。
もちろん、紙袋における紙はメインの材料ですから
工程の始点で投入するのが一般的でしょう。
逆に紙を工程の終点(最後)で投入することって可能でしょうか?
どう考えても無理でしょう。
たとえば紙がないのにどうやって柄を印刷したり、
持つところをつけるのでしょうか?
紙袋の製造は紙を最初に投入するはずですね。
ですから、材料費というのは普通、工程の始点(作業の始まり)に
投入するものです。
なので、材料費というのは作業の最初に投入します。
たとえば、紙(材料)を500円分、最初に投入します。
作業の途中で、紙に印刷を施したりします。
でも、作業の途中において
紙を加えたりするわけではないので
途中でも、500円のままですね。
追加料金がかかってないってことです。
もちろん紙袋が完成しても
紙代は500円のままです。
ということで、投入時(工程の始点)で材料費は全額発生します。
最後に完成品に含まれる材料費も工程の始点で発生する材料費も
ずっと金額は変わりません。
では加工費は?
たとえば、紙袋の柄を印刷するときに(加工しているときに)使用する電気代や
工場全体を照らす電気代を考えてみましょう。
つまり加工中に電気代ってかかりますね。
こういった電気代は加工費になります。
加工中の電気代は
作業開始直前は当然0円です。
でも、紙袋の製造のために1時間作業したら
1時間分の電気代がかかります。
3時間作業したら、3時間分の電気代がかかりますね。
要するに加工費は加工作業が進めば進むほど
徐々にかかっていくわけです。
総合原価計算の場合には
この材料費、加工費に分けるというのが基本になります。
加工費、材料費はあるけど製造直接費、製造間接費はないの?
個別原価計算の解説のときに
製造直接費、製造間接費の話が登場しましたね。
⇒直接材料費について例を挙げてわかりやすく分類
⇒間接材料費について例を挙げて解説
製造直接費には
・直接材料費
・直接労務費
・直接経費
があり、
製造間接費には
・間接材料費
・間接労務費
・間接経費
がありましたね。
詳しくはこちらの記事をご覧ください。
⇒製造原価の内訳
総合原価計算では製造直接費とか製造間接費といった用語を
みかける機会は少ないと思います。
なぜなら、直接材料費だけを総合原価計算上では材料費とよんで
それ以外の部分、つまり、直接労務費、直接経費、間接材料費、間接労務費、間接経費
を加工費と分類しているからです。
ややこしいので一度まとめますと、
総合原価計算の材料費は
・直接材料費
のことで、
総合原価計算の加工費は
・直接労務費
・直接経費
・間接材料費
・間接労務費
・間接経費
なのです。
別の言い方をすると
総合原価計算において直接材料費だけが材料費で
他は加工費だということです。
加工進捗度とは?
加工進捗度とは製品の完成度のことで、
「かこうしんちょくど」と読みます。
日商簿記2級では加工進捗度の問題が出ますので知っておいてください。
加工進捗度0%はこれから製造を開始するところで、
半分完成したら加工進捗度は50%、
完成したら加工進捗度は100%となります。
以上で解説を終わります。