今回の記事では直系家族制とは何か?
夫婦家族制と比較して解説していきたいと思います。
まずは夫婦家族制を理解するために父権制、母権制、父系制、母系制について
解説します。
目次
直系家族制とは?
父権制、母権制、父系制、母系制は読み方が似ているが・・・
父権制、母権制、父系制、母系制って読み方がすごく似ているので
「ほとんど同じ意味なんじゃないの?」って思った方もいるかもしれませんね。
ですが、父権制、母権制には権力の権がついてますね。
父系制、母系制には系譜の系です。
系譜というのは家族などがどのように続いてきているのか?
書き表したもののことです。
あなたがいて、あなたのお父さん、お母さんがいて、
お父さんのお父さんやお母さんがいて、みたいな感じです。
系譜は人間の家族だけでなく、
植物にだって適用される言葉です。
全国のソメイヨシノをDNA解析すると6つの系譜に分かれるとのこと。上野恩賜公園の古いソメイヨシノ4本を調べたところ、お互い異なる系譜だと判明。つまり、4本はそれぞれ全国の系譜のルーツ? さらに4本のうち、祖先に一番近い木を特定──ソメイヨシノの歴史に迫る新研究🌸https://t.co/HBaXmi8srq
— 東京ズーネット[公式] (@TokyoZooNet_PR) March 17, 2022
これに対して権力というのは、
あなたが自分の意思で他人に行動させる力のことです。
たとえばあなたはコンビニの店員だったとしたら
店長の指示には逆らえないですよね。
これは店長が権力を持っているからです。
【アルバイトあるある】
職場にボスキャラの女性が必ず一人はいる!(パートリーダーなど)
店長よりも権力を持っているボスキャラの女性は、職場に一人はいますよね?
あなたの職場はどうですか?
共感できる人はいいね&RT!#リツイート #アルバイト #パート #RTした人全員フォローする
— バイト体験報告掲示板 (@S79881481) March 16, 2022
こんな感じで権力の権と系譜の系で意味がまったく違ってくるわけですね。
父権制、母権制とは?
父権制、母権制とは家族集団の権力を握っているのは男か女か?
ということです。
男が権力を握っているなら父権制で
女が権力を握っているなら母権制ということです。
吉本の社長会見を見て、橋本治の『父権制の崩壊 あるいは指導者はもう来ない』(朝日新書)を想起した人はわたしだけではないと思う。
ああいう組織は、とっくに時代遅れになっているのに、そこにいる人たちにはわからない。「家族」とか「親子」といったフレーズに弱い。もう崩壊しているのにね。— 古屋美登里 Midori Furuya (@middymiddle) July 22, 2019
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たとえば、『かかあ天下』みたいな言葉がありますが、
これは母権制の具体例になると思います。
「かかあ天下」というコメントがあったので追加の一言。19世紀の人類学は大昔は女性が権力を握っていた(母権制)と考えたが、実際にはそのような社会は見つかっていない。なので、正しい問いは「社会の存続には女性の方が重要なのに、なぜ人間社会はずっと男性優位の設定を続けてきたのか」です。
— 赤堀雅幸/AKAHORI Masayuki (@abou_yuto) December 23, 2018
明日は
ホワイトでー🌟
男性にとっては
お財布に痛い🥲
イベントですね😁ですが
ここは上州
かかあ天下の前橋です💕奥様には5倍返しが
安泰です😊
くれぐれも
お忘れなきよう🤕こもれびで
お待ちしております😁 pic.twitter.com/gDPUKDKrPO— ケーキ屋こもれび (@pqNUxtCtfwq30BS) March 12, 2022
父系制、母系制とは?
父系制、母系制とは家族の系譜を男性基準で捉えるか、女性基準で捉えるか?です。
男性基準で捉えるなら父系制で女性基準で捉えるなら母系制です。
B.マリノフスキー『未開社会における性と抑圧』(ちくま学芸文庫)阿部年晴、真崎義博訳
人類における性は内なる自然と文化的力との相互作用のドラマである。人類の根源的テーマを比較文化的視点で問い直す古典的名著。父系制母系制との関係等、未だ示唆を得る。2017年1月刊#ちくま1000「本」ノック821 pic.twitter.com/gWmfKJghc7— 筑摩書房 (@chikumashobo) February 25, 2020
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「家族の系譜って何?」って思った方もいるかもしれませんね。
己れの出自、家族の系譜が一目瞭然、日本の戸籍制度は素晴らしい。
否定する理由が分からない! https://t.co/oqDMB45bMm— 新川真実 (@ofJfJMAlGtL8YLy) October 19, 2021
今だと家族というのは一代限りのものというイメージを持っている方もいるでしょう。
でも、一昔前まで家族のイメージは過去から未来につながる連続体でした。
ご先祖様から子孫に向かってずっと連続してつながっている、
これが家族だということです。
「君の家の後継ぎは誰?」
「誰を正当な後継ぎとして認めるのか?」
と辿る時の基準にあたるのが父系制、母系制です。
ただ、「後継ぎって長男がなるに決まってるだろ」
と思うかもしれません。
でも、長男が後継ぎというのは明治民法で強く規定されたものです。
昔は西日本の方だと女性基準で家族の系譜をたどるというのも普通にあったそうです。
ただ後継ぎが女性だからといっても
女性が偉そうにしているかどうかは別の話です。
権力を握っているか(父権制、母権制)と何を基準に家族をたどるか(父系制、母系制)?は別の話なので区別されます。
直系家族、夫婦家族
まず夫婦家族は夫婦だけで暮らすか、
夫婦と未婚の子と暮らす、つまり核家族だけで暮らすことを指します。
これに対して直系家族は男系あるいは女系(父系、母系)だけの縦の系譜だけが同居できることです。
たとえば長男が後を継ぐとした場合、
次男や三男は未婚のうちは家にとどまり続けるものの
結婚したら家から出ていきます。
結婚しても家に残るのは直系だけ。
これが直系家族です。
先ほど例で長男だけが家にとどまるといいました。
でも、東北地方だと末子相続という習慣がある地域もありました。
末子相続は一番下の子供が後継ぎになるという制度です。
これはこれで合理的です。
昔の結婚出産と今の結婚出産の大きな違いとして
今は結婚は遅いですが、出産期間は短いです。
一番上の子供と一番下の子供の年齢差がせいぜい10歳くらいです。
でも、昔は結婚が早いだけでなく出産期間も長かったです。
なので一番上の子供と一番下の子供で20歳以上離れているのが普通でした。
するとお父さんが60歳を過ぎて引退するころには
長男も40歳を過ぎ、少し元気がなくなってきています。
でも一番下の子供は20歳くらいなので元気です。
だったら農家や自営業なら一番若い元気な子供に後継ぎを任せるのがよいという
考え方から末子相続という制度があったりします。
相変わらず明治民法の影響が強くて長男が後継ぎという意識があるかもしれませんが
実際は昔の東北みたいにいろんな家族習慣があるわけです。
「これしかない」みたいなことはなく、いろんな可能性があるわけです。
複合家族
ところで複合家族もあります。
複合家族は直系以外の子供も結婚しても同居し続けることです。
次男や三男も結婚しても家に残るということです。
だから複合家族が一番家族の規模が大きくなることになります。
直系家族制とは?
ここまで話してきた直系家族とか夫婦家族って言うのは家族の形のお話でした。
これを制度と結びつけると直系家族制、夫婦家族制となります。
直系家族制とは男系、女系といった縦の系譜で同居する制度のことです。
ポイントとしては家族を過去から未来への連続体でとらえるところです。
個人を越えてずっと引き継がれるものとして捉えるのが直系家族制です。
だから私たちはしょせんご先祖様から受け継いで子孫に伝えていく、リレーランナーにすぎないということです。
そうやってどんどんバトンを引き継いでいくということです。
すると家族をずっと引き継ぐためには後継ぎが必要になります。
だから直系に関しては家に残るわけですね。
次男や三男、四男は抜けるにしても
長男が後継ぎだったら長男は結婚しても家に残り続けるわけです。
でも家に残るということは相続も優先されたりします。
明治民法がそうでしたが、家督相続者に優先的に家の財産は相続されるとなっていました。
女性が結婚相手に #長男以外 を好むのはいわば必然。日本の直系家族システムを完成した明治民法では、家督相続権者は長男だったが、今では兄弟姉妹平等です。それでいて、日本人の規範意識は今も直系家族風ゆえ、長男は何かと責任を負う「損な」役回り。但し、少子化で #長男以外 は稀少化しています。
— 堀 茂樹 (@hori_shigeki) November 14, 2019
12/5読了。今年の50冊目。古代から家族形態の歴史を紐解き、北欧や先進国との比較も述べられている。明治民法では嫡出の女子より、庶子の男子の方が相続順位が上。昨今は共働き夫婦が多い国ほど出生率が高い。女性の遅番勤務が増え、家事の負担増に。高所得同士の同類婚が増え、格差が増大#光文社新書 pic.twitter.com/PY64kagzgM
— 読書好きの情報収集 (@ysg6S8lV120LXKl) December 12, 2018
できます。
婿養子ってのがありまして…
明治民法の「家制度」においては、女性は家督の相続ができない規定がありました。
そこで男子が産まれなかった家では他所から男子を養子に迎え、娘さんと結婚させ家督を継がせることで、家を存続させるってことがあったんですねぇ https://t.co/JKSLi9SHAX
— ひかる (@Hikaru_K_Kousyo) March 5, 2022
ですが、これは昔の事情です。
かつては農家が中心でした。
農家の場合、相続するのはだいたい畑です。
畑を分けるのは問題ですよね。
たとえば、6人子供がいるからといって
畑を6つに分割したら、まさに田分け者(戯け者)です。
【たわけ者】
今から1000年前の鎌倉時代、それまで長子相続制であったものを、まるで民主党のような鎌倉幕府は、子供の人数に応じた均等相続に変えました。それを「田分け」と言います。それが原因で鎌倉幕府は滅びたのです‼️それ以来、家を潰すばか者や愚か者を「田分け者」と呼ぶようになりました。 pic.twitter.com/wUsooKUVGf
— 🇯🇵日本の息吹「保守パパ侍」 (@ibuki_teika777) June 18, 2021
戯け者=田分け者
田んぼは、
絶対売ってはいけないよ— みーこ ☆闇浄化の巫女☆ (@miko119808) June 22, 2020
畑の面積が狭すぎると農業として成り立たなくなります。
あまりにも小さい畑だと専業農家としてやっていけなくなるからです。
だから畑に関しては分割せずにまとめて一人の後継ぎにあげた方が合理的だったわけです。
うちの田んぼは一町四反。つまり約1.4ha。もっと広い田んぼを持っている方もたくさんいます。
"資産は分割すると衰退していく"という話があります。
「たわけ者」の語源は「田分け者」という説がありますが、本当は「戯け」からきています😂
志ん屋の田植え2021終了しました🙏🏼 pic.twitter.com/097Xdw9F0R
— 飯田勇太郎|神鍋高原「志ん屋」四代目 (@ytr__4n8) May 20, 2021
直系家族制に対して夫婦家族制があります。
夫婦家族制では家族は一代限りのものだと考えます。
男性女性が結婚した段階で家族が始まり、
2人が亡くなったらその家族は終わりになる、
つまり一代限りのものとして捉えるのが夫婦家族制です。
夫婦家族制で物事を考えると
子どもは結婚するまでは同居していますが
結婚したらみんな家から出ていくことになります。
そうなると直系だけ特別扱いする必要がありません。
だからこの場合、相続は均等配分が一般的になります。
現在の民法はそうなっています。
相続は民法ですよ。配偶者が1/2、子どもが1/2で、現配偶者の子も、元配偶者の子も、結婚していない相手との間の子も、その1/2を「均等」に分けます。それが日本の法律です。たとえ、亡くなった人の息子の妻が介護を一手に引き受けていたとしても、1円も相続できません。 https://t.co/kf4TKpb03X
— 3a8(ab) (@saya_fairyland) September 8, 2020
ただ令和4年現在、農家ってほとんどありません。
日本の農業問題に焦点を当てようと思い、農業構造動態調査(農林水産省)のデータに目を通した。
いくつか項目を確認すると年齢別農業従事数や総農家数が毎年統一した形で調査されていないことに驚いた。
総農家数は2009年以降、空白が目立つ。
色々と問題を感じる。https://t.co/hpF8dAnc8B pic.twitter.com/ISyjJrt3YD
— グラフ兄さん📊🌏🇯🇵#グラフ系YouTuber (@Graph_Niisan_JP) February 24, 2021
となると、相続するのはお金ということが多くなります。
土地と違ってお金は分割しやすいです。
だから均等配分も戦前よりはしやすくなっているという事情もあるでしょう。
直系家族制とは?まとめ
いかがだったでしょうか?
直系家族制は一代限りでなく、
ずっと先祖から子孫(孫の代まで)引き継いで行くものであって
夫婦家族制は一代限りのものという理解があると
忘れないと思います。
令和4年現在でも、直系家族制の色合いは残っています。
でも、おおまかにいうと戦前は直系家族制の色合いが強く、
戦後は夫婦家族制の色合いが強くなっているということです。
民法も夫婦家族制を支える形になっています。
以上で解説を終わります。