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一般知識

大衆民主主義の問題点とは?

大衆民主主義 問題点




今回の記事では大衆民主主義にはどんな問題点があるのか、
解説したいと思います。

ただ、その前にそもそも
民主主義とは何か?といった基本的な知識から解説します。
でないと、大衆民主主義の問題点が見えてこないからです。

それでは解説しますね。

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民主主義の種類と問題点

民主主義とは

民主主義とは民衆による政治のことです。
ところで民主主義には直接民主制と間接民主制があります。
以下、詳しく解説します。

直接民主制

直接民主制はみんなが参加するタイプの民主制です。
市民が直接集会に参加するのが直接民主制になります。

『みんなが参加できる』というのは誰が政治をやっても同じことだという前提です。
みんなが政治に参加できるのであれば
誰が政治をやってもよいわけです。

たとえば古代ギリシャではどうしてたか?というと
みんなが直接民主制として政治に参加します。
そのときに役職を決めます。
役職はくじ引きで決めていました。

民主制の基本はくじ引きです。
直接民主制みたいに誰が政治をやってもいいのであれば
くじ引きで役職を選んだって何の問題もありませんよね。
だから古代ギリシャではくじ引きで役員を選んでいました。

逆にくじ引きでなく選ぶということは
人には能力の差がある』ということになります。
そうすると純粋な民主制ではなくなってくるということですね。

間接民主制

市民が選挙によって代表者を選びます。
代表者=政治家です。
政治家が議会に参加します。
これが間接民主制です。
間接民主制だと市民は直接議会に行きません。

この記事を読んでいるあなたが国会に行って
議論をしませんよね。
私たちが選挙で政治家を選び、
選ばれた政治家が私たちの代わりに物事を決定します。
これが間接民主制です。

近代民主主義では選挙をするといったときに制限選挙でした。
誰でも選挙権を持っていたわけでなく、
一定の税金を納めた人だけが選挙に参加できることを制限選挙といいます。
制限選挙に関わっていた人を市民といいます。
市民は財産と教養があって理性的な人ということになっていました。
そういう人たちが政治をやっていたわけですね。

そのあと現代になり、大衆民主主義になりました。
普通選挙の成立によって大衆民主主義は生まれました。
納税額に関係なく、
法律で定める年齢に達したら選挙権を持てるのが普通選挙です。

だから大学生で働いてなくても
法律で定める年齢に達したら選挙に参加することができます。
無職で税金を納めてなくても1票ですし、
毎年高額の税金を納めている人も1票です。
投票の価値は平等です。

これが大衆民主主義です。
そこで出てきたのは大衆になります。
大衆は政治学的には非合理的な人たちだとされています。

ではここからが本題です。
大衆民主主義の問題点について解説します。

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大衆民主主義の問題点

民主主義で問題になるのは大衆民主主義です。
どうして問題になってくるのでしょう?
民主主義の基本は民衆による政治ですが、
その人たちが非合理的だというところです。

非合理的とは判断力がないという意味に置き換えてください。
判断力がない人が国の重要な政策決定に関わるというのは
どういうことか?ということです。

政治以外の分野で考えてみましょうか。
たとえば私は獣医師です。
当ブログ管理人のプロフィールはこちら
獣医師になるには6年間、専門の大学に行って
獣医師国家試験に合格しないとなれません。

逆に専門の大学に行かないし、獣医師国家試験に合格していない獣医師はいません。
素人の獣医師はいないってことです。

あるいは建築士。
建築士の国家試験に合格して資格を持っている人が設計します。
弁護士だってそうですよね。
司法試験に合格して司法修習所で2回試験を受けて合格した人だけが
弁護士として活躍しているわけです。

なのに政治家はどうでしょう?
政治だってかなり重要です。
なのにどうして大衆民主主義では素人に政治を任せているのか?
という問題が起こるわけです

たとえば、今の財政状況がわからない人が政治に関わっていたらどうでしょう?
これはちょっと直球すぎましたね。

柴犬の子犬

私が犬の診察でびっくりしたことがありました。
柴犬の子犬を飼い始めた飼い主さんの話です。
で、「メスです」といっていたのですが、
陰部を見ると明らかにオスです。

でもその飼い主さんは初めて犬を飼ったらしく
メスとオスを間違えていました。
というか、購入したのはブリーダーさんだったらしいのですが、
もしかしたらそのブリーダーさんも間違えていたのかもしれません・・・。

そんな素人みたいなブリーダーさんから犬を飼いたいですか?
って話になりますよね。

さすがにオスとメスを間違えて犬を飼うのはダメでしょう。
だって、オスとメスではオシッコの仕方だって違いますし、
メスは生理が半年に1回きますし。
犬は人間と違って生理中に妊娠します。
だから、この時期に散歩中に雄と接触することで妊娠する可能性だってあるわけです。

手術


避妊手術化去勢手術をするにしても値段や手術のリスクも全く違います。
将来起こる病気の種類も違ってきます。
例えば雌なら乳がんになることもあります。
オスなら前立腺肥大になることもあります。

だからブリーダーさんであったりペットショップは
ペットのプロでないといけないわけです。
正しいことをこれから犬を飼う人に教えてあげないと
飼われた犬が将来不幸になるかもしれませんからね。

飼い主としたら「そんなはずじゃなかった・・・」って
なってしまうかもしれません。

こんな感じで素人が政治に参加するのはどうなの?
ってのが大衆民主主義の問題点になるわけですね。

なので、まったく日本の経済状況がわからない、
どうしたら経済が良くなるか、想像もできないみたいな人が
政治に関わって1票を持っているというのはかなり末恐ろしいと感じる人もいるわけです。

こんな感じで大衆民主主義には問題点があるため、
大衆民主主義を批判する人たちが出てきます。

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大衆民主主義の問題点に気づいて批判した人たちとは?

大衆民主主義を批判した人(1)トクヴィル

トクヴィルは大衆民主主義の問題点として『平等化への圧力』ということを主張しました。
平等化への圧力とはみんな同じにしようよというような圧力のことです。

令和4年現在でよく聞かれる『同調圧力』と似たような意味合いです。


つまりトクヴィルは「みんな同じにしようよ」という圧力が働くと主張したわけですね。
それからトクヴィルは「なんでも多数決で決めればいい」みたいな話になりやすいと主張しました。
でも、政治的な問題というのは正しいか間違っているか?という真理を決めているのではありません。

たとえば消費税を増税するとか現状維持にするのか?という議論。
どちらも正しいわけで、どっちが正しいということは決まりません。

多数派の意見が必ずしも正しいとはいえないのにも関わらず、
多数派の意見を押し付けられてしまうような状況は
よくないのではないか?
とトクヴィルは考えました。
これを『多数者の専制』といいます。

基本的にトクヴィルや後で解説するオルテガは
多数者と少数者で優れているのはどちらか?というと、
優れている人間が多数いるということは歴史的にあり得ないと考えます。

優れている=多数より優れている
ということで優れている人間は常に少数なわけです。
ということは多数の意見をそのままごり押しするような状況はよくないとトクヴィルやオルテガは考えました。

大衆民主主義を批判した人(2)オルテガ

オルテガは『大衆の反逆』という本を1930年代に書きました。

オルテガから言わせると大衆とはどんなものか?というと
『大衆の反逆』の中で『満足しきったお坊ちゃん』といっています。
満足しきったお坊ちゃんとは向上心がないという意味と同じです。

他にもオルテガは『凡庸である(平凡ということ)』ことを権利主張するといって批判しました。
どういうことかというと、「普通っていいことでしょ!」ってごり押ししてくることを
オルテガは批判したってことです。
自己満足の状態ともいえますね。
こういうのが大衆だということです。

つまり、平凡な人間であるということを権利主張するってことです。
「何が悪いんだ!?」と居直っている状態です。

私が以前、新幹線に乗ってゆっくりしていたときの出来事なのですが、
通路を3歳くらいの兄弟が2人で「ワイワイ」言いながら走り回っていました。
でも親はスマホをいじっていてまったく注意しませんでした。

その子供たちは座席に戻ると
今度はおもちゃの取り合いでケンカし、片方が「おもちゃ返してよー」
と号泣しました。
でも、親は何の注意もしません。
そんな光景に出くわしたことがあります。

この場にふさわしくない行動態度をしているのに
「いてもいいでしょ!何が悪いの!?」って
態度で主張しているような感じがしました。

つまり場違いな場に出てきているようなものです。
たとえば政治についてよくわからないのに登場してきて
「政治というのは・・・」みたいに騒ぎまくっているような感じと同じです。

そういう人たちが増えてきたとオルテガは
批判したわけですね。
こういう自己満足している大衆が政治に関わり始めたとオルテガは批判しました。
これが大衆民主主義の問題点だとオルテガは感じているわけですね。

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大衆民主主義の問題点まとめ

ここまで解説した大衆民主主義の問題点を知ると
民主主義のあり方、捉え方が変わってくると思います。

制限選挙だと一定の財産と教養がある人が
政治に関わっていましたが、今は違っています。
誰でも政治に関われるようになったということは玉石混交になったということです。
いいものもあるけど、悪いものも多いということです。
政治学的にいうと、ものがわかってない人が権力を握り始めたと考えます。
(あくまで政治学の話ですよ)

いろんな大きい問題が政治的にはあるものの、
そういうことがわからずに選挙に行っているということは相当危険なことだと政治学では考えます。

そうなると民主主義のあり方を変えようという動きが出てきます。
現代民主主義論といいます。

今後の記事で解説したいと思います。