ソクラテス、プラトン、アリストテレスの3人を三大哲学者といいますが、
今回の記事ではソクラテスの無知の知と問答法(産婆術)とは何か?
わかりやすく解説していきます。
ソクラテスの無知の知とは?

まずソクラテスさんって著作を残さなかったというのをご存じですか?
つまり、ソクラテスさんが書いた本って存在しません。
ソクラテスさんの活動というのは弟子のプラトンが書いた『ソクラテスの弁明』によって
間接的にわかるだけです。
⇒ソクラテスの弁明 (光文社古典新訳文庫) [ プラトン ]
ソクラテスさんの『無知の知』ですが
何か?というと、『自分の無知の自覚』のことです。
この『無知の知』というのが大事なんだとソクラテスさんはいいました。
自分の無知を自覚するからこそ、何かを知ろうという気持ちになり、
結果、知を愛する、つまり哲学の出発点になるんだと言われています。
だから無知の知が哲学の中では大事だとされています。
一方でなんでも自分は知っていると思っている人は
それ以上何かを知ろうという気持ちになれません。
だからそれ以上の知の欲求を持ちません。
ですが、自分の無知を自覚している人こそが何かを知ろうとなるので
真の知に向かっていくための出発点になるとソクラテスさんは主張しています。
ソクラテスの問答法(産婆術)とは?

問答法は産婆術(さんばじゅつ)とも言われています。
これはソクラテスさんの教育法のことです。
ソクラテスさんは若者たちに対して教育活動をしていました。
そのときの教育法が問答法です。
問答法ってどんなものだったのでしょう?
問いかけることによって相手から答えを引き出す、
これが産婆さんが女性から赤ん坊を取り出すのに似ていることから
産婆術ともいわれています。
問答法ですが、たとえば前回解説したゴルギアスさんなどのソフィストは
自分の知っていることを一方的に話すことで相手に知をあたえます。
⇒ゴルギアスの懐疑主義についてわかりやすく解説
でも、ソクラテスさんから言わせると、
そういう教育は本当の教育ではないといいます。
本当の教育というのは、相手から答えを引き出す手助けをすることだと
つまり、問答法こそが本当の教育なんだとソクラテスさんは主張していました。
ソクラテス『知徳合一』とは?
で、ソクラテスさんの言葉で『知徳合一』があります。
ソクラテスの有名な言葉に『知行合一』『知徳合一』があります。
どういう意味でしょうか?
正しいことを知るというのは
それでお終いになるわけではなくて
正しいことを行うことに繋がっているんだという考えを『知行合一(ちこうごういつ)』といいます。
『知行合一』は徳となって表れる(これを知徳合一(ちとくごういつ))
とソクラテスは考えます。
徳というのは人間だったら当然身に付けるべき、
それを目指すべき、良い品性のことです。
そういう意味でソクラテスさんは実践的な活動を重視したということですね。
ソクラテスさんは本を残していませんが、
本を書くみたいな間接的な教育ではなくて
マンツーマンみたいな問答法みたいな教育活動を重視したということです。
以上で解説を終わります。