今回の記事では
エーリッヒフロム『自由からの逃走』についてわかりやすく解説します。
エーリッヒフロム『自由からの逃走』
社会的性格
ある集団の中で一番多くの人が持っている(単に統計的に数が多いというだけでない)
性格構造の本質的中核であって
その集団に共通する基本的経験と生活様式の結果
ある人々に社会的な性格が形成、発達したもののこと。
です。
性格構造の本質的中核というのは
もっとも大切なものという意味です。
数が多いだけでなく質的にも重要度が高いのが社会的な性格です。
量的にもっとも多くみられるのは最頻的(モーダル)パーソナリティで
社会的性格とは区別されます。
社会的な性格は質的な部分が大事だということです。
これにより最頻的パーソナリティと社会的性格を区別します。
上記は社会的性格の定義です。
誰がどういう本の中で社会的性格の定義を述べたのでしょう?
社会的性格の定義はエーリッヒフロムが『自由からの逃走』という本の中で登場します。
⇒自由からの逃走新版 (現代社会科学叢書) [ エーリッヒ・フロム ]
自由からの逃走は英語の本の題名だと『escape from freedom』です。
『escape=バックレる』ということです。
ビックランの途中で居なくなる奴、クリスマス当日にバックレるケーキ屋のバイト並みに罪が重い
— かなりーぬ (@flower_eyes) December 11, 2022
『自由からの逃走』の中でエーリッヒフロムは
ドイツの下層中産階級の人々が持っている社会的な性格を
権威主義的な性格というふうに述べました。
ところで権威主義的な性格とはどんな性格なのでしょう?
権威主義的な性格とはサドマゾ的な性格を併せ持ったものです。
サドというのはマルキ・ド・サドという作家の名前です。
『悪徳の栄え』など、問題のある小説を書いた人です。
人を虐待することで喜びを感じるというのをサドといいます。
名古屋市の栄が、マルキドサドとコラボして「悪徳の栄」って、街全体をディストピアみたいにラッピングしないかな? しないだろうな。
— 村田らむ (@rumrumrumrum) March 8, 2021
そういえば好き俳優がマルキドサド題材の映画出てるとか言う作品あったのにこれもまた絶対日本版はVHSだけとかいう塞がりようで泣いちゃう
— ИTK (@natuko5aug) December 12, 2022
それからマゾというのもマゾッホという作家の名前です。
マゾッホさんの代表作は『毛皮を着たヴィーナス』です。
今日買った本。ザッハー=マゾッホ『毛皮を着たヴィーナス』。ちょっと読むのがどきどきではある。 pic.twitter.com/f0bkRBNDh1
— pokako (@pokakopokako) August 9, 2022
マゾとは人から虐待されることによって快感を得ることです。
・サドとは人を虐待することで喜びを感じること
・マゾとは人から虐待されることによって快感を得ること
です。
だからサドとマゾの両方のものを
併せ持っているのが権威主義的な性格です。
たとえば
ポーランド人やユダヤ人を虐待する、
ホロコーストに送り込むというのが
サド的な部分です。
ヒトラーという指導者を全面的に受容して
彼が示すものに従って生きようとするのはマゾ的な部分です。
だからサドマゾ両方の要素を持っているのが
ドイツの下層中産階級です。
第1次世界大戦に敗れたころに
ドイツの下層中産階級はそういった権威主義的な性格が形成されていったのです。
ちょうどその頃のドイツは戦いに敗れて自由という概念を享受することができました。
自由である状態というのは最初、喜んでいました、
でも自由という状態に長い間浸っていると少しずつ
不安な感情が芽生えてきます。
まったく自分が何をやっても自由だ
そういう状況の中で孤独感や孤立感、不安感がだんだん募ってきます。
自分の進む道を狭くして幸せになる人なんてほんのひと握りです。もちろん、現代の私たちは自由という名の罰を負わされていますから、あまりに自由すぎると不安にもなりますが、その不安を支えるのは哲学であり、倫理です。人権なのです。だから、思想には触れておいたほうがいい。
— 八神夕歌(やがみ ゆうか) (@kotonoha_yakata) December 10, 2022
そんな状況の中でヒトラーという指導者が登場したわけです。
孤独感、不安感を払しょくするために人々は
ヒトラーという指導者を信奉するようになりました。
ヒトラーを熱狂的に支持して、
彼が示すような世界観の達成のために自分が行動するというのが
自分の心の拠り所となるようになっていきました。
それでドイツの人々はナチスドイツを支持するようになっていったんだと
エーリッヒフロムの『自由からの逃走』では主張されています。
自由から逃走し
ヒトラーという指導者を信じることによって
不安感、孤独感を払しょくして心のバランス感覚を
取り戻そうとしていった、それがナチスドイツを人々が支援した理由です。
そういうことを分析していったのがエーリッヒフロムの『自由からの逃走』です。
⇒自由からの逃走新版 (現代社会科学叢書) [ エーリッヒ・フロム ]
以上でエーリッヒフロムの『自由からの逃走』についての解説を終わります。