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今回の記事では
・公式
・求め方
・計算方法
などについてわかりやすく解説していきます。
需要の価格弾力性とは?

弾力性という言葉って経済学を勉強していると
すごくよく登場します。
だから弾力性の意味を理解しておいた方がよいでしょう。
経済学において弾力性という言葉は以下のように使います。
AのB弾力性
みたいに使います。
AやBにはいろんな言葉が入ってきます。
いろいろな言葉が入ってくるのですが、
Bの変化率に対するAの変化率の大きさ
という意味になります。
ある数字が変化したときに
それに対して別の数字がどれくらい変化するのか、
これをAのB弾力性と呼んでいます。
そしてAのB弾力性の最たる例が今回解説する『需要の価格弾力性』となります。
もちろん、Aが『需要』でBが『価格』になりますよ。
なので需要の価格弾力性とは『価格(P)』の変化率に対する『需要量(D)』の変化率の大きさを意味します。
価格が変化すれば当然、価格の変化に対応して
需要量も変化します。
需要とか需要量の意味がわからない方はこちらをご覧ください。
・需要曲線と供給曲線についてわかりやすく解説

需要曲線は右下がりですからね。
価格Pが下がれば需要は増えますし、
価格Pが上がれば需要は減ります。
このときの価格の変化に対して需要がどれくらい変化するのか?
これを示すものが需要の価格弾力性です。
もちろん需要の価格弾力性は数式(公式)によって定義できます。
需要の価格弾力性の公式
需要の価格弾力性の公式は以下のようになります。

εはギリシア文字でイプシロンと読みます。
弾力性の式ではよくεの記号が弾力性の意味として使われることが多いです。
εに添え字Dをつけたのは需要Dの弾力性を表すためです。
また、需要の価格弾力性の公式で忘れやすいのがマイナス記号です。
忘れないでください。
それから需要の価格弾力性の公式の中にΔという三角形マークがついてますね。
この三角形マークΔはデルタと読みます。
Δは変化の大きさを示す記号になります。
たとえばΔP(デルタピー)やΔD(デルタディー)とあるなら
価格Pや需要Dがどれくらい変化したか?を意味します。
この需要の価格弾力性の公式なのですが
分数同士の分数ですよね。
$\frac{ΔD}{D} $という分数と$\frac{ΔP}{P} $という分数の
分数になってますよね。ややこしいしわかりづらいですよね。
だから変形しましょう。
こういった分数同士の分数は分数同士の掛け算にすることができます。
これは数学的な知識があればできます。

上記の式はと書き換えることができます。
この書き換えた公式も使いこなせるようになりましょう。
分数同士の分数は分数同士の掛け算にすることができます。
ただ、ご注意ください。
掛け算にする場合には分母に入っている分数$\frac{ΔP}{P} $を
ひっくり返して$\frac{P}{ΔP} $にして掛け算になってますからね。
分母にある分数は分子分母をひっくり返してから掛け算にするので
この点は間違いないようにお願いします。

変形した公式をさらに変形してみましょう。
上記公式になります。
弾力性の定義とともに
需要の価格弾力性の公式も忘れないようにしましょう。
経済学の問題を解くときによく使いますからね。
では実際に需要の価格弾力性を実際に問題を使って
求め方、計算方法を確認していきましょう。
需要の価格弾力性の求め方(計算方法)

では需要の価格弾力性の計算方法(求め方)を理解するための問題を出しますね。
一緒に考えていきましょう。
P(価格)が90円でD(需要量)が720のある商品があったとします。
この商品が81円で需要量が900になったとします。
このときの需要の価格弾力性はいくらになりますか?
求めてください。
この問題は2点間のεD(イプシロンディー)を求めていくことになります。
では図を書いて状況を整理していきましょう。

縦軸に価格P、横軸には需要量Dをとります。

問題文より価格が90円で需要量が720とありますね。

それから81円のときには需要量が900になっています。
このときの需要の価格弾力性を求める問題です。

需要曲線は具体的に示されてはいません。
でも、こういうときは一般性を持たせて上記図の2点を通るような右下がりの需要曲線を書きます。
上記グラフと公式を使って使って需要の価格弾力性を求めていくことにしましょう。

需要の価格弾力性の公式では⊿Dとか⊿Pがありましたね。
上記グラフの中に⊿Dや⊿Pがどんなふうに示されていくのか
考えていきましょう。
するとまずこの商品は90円だったのですが、81円になったわけですね。
つまり、90円から81円に価格が変化したわけです。
この変化の大きさを⊿Pという記号を使って表現していきます。
どう計算するか?というと変化の大きさは
変化後の数字から変化前の数字を引き算して計算することになります。
なので、ΔP=変化後の価格81円ー変化前の価格90円=ー9円(マイナス9円)
となります。
ΔPがマイナス9円とマイナスがついているのは
価格Pが小さくなったということを意味しています。
数字が9小さくなったからマイナス9円ということです。
こんな感じでΔ(デルタ)記号というのは
経済学でいっぱい登場します。
なのでしっかり意味を理解しておきましょう。
Δ(デルタ)がマイナスなら、0より小さいなら
数字が小さくなっているということを意味しています。
一方で数量の方は720から900に変化しています。
このとき需要量の変化ΔDはどのように表されるでしょう?
ΔD=変化後900ー変化前720=180
となります。
今回需要量Dは720から900に増えています。
どれくらい増えているか?というと180増えています。
増えている場合は符号はマイナスではなくプラスになります。
プラスは普通書きませんから単純に180となり増えていることを意味します。
では需要の価格弾力性を求めていきましょう。
需要の価格弾力性εD=ー$\frac{ΔD}{ΔP} $×$\frac{P}{D} $
なので、ここまでで計算した数字を上記式に代入していきましょう。
ちなみに変化率の求め方は変化した大きさΔDやΔPを
もとの基準値DやPで割って率を求めます。
$\frac{ΔD}{D} $とか$\frac{ΔP}{P} $
といった意味です。
だから例えば需要量でいうなら変化した大きさは180で
基準となる数字は720だから$\frac{180}{720} $で変化率を求めることになります。
だから基準となる数字は価格Pは90で需要量Dは720なので
すると、εD=ー$\frac{180}{ー9} $×$\frac{90}{720} $
となります。
以上を計算すると
εD(需要の価格弾力性)=2.5
となります。
需要の価格弾力性の公式や求め方まとめ
いかがでしたか?
需要の価格弾力性の公式は

となります。
それから、需要の価格弾力性の求め方に関しては
計算方法よりも、

上記図の理解の方が重要です。
なぜ重要か?というと、上記グラフの2点を黄緑色の直線で結んでみましょう。

上記図のようになります。

さらに黄色の線を加えてみると上記図のような三角形ができますね。

しかも直角三角形です。
この三角形を見つけるという作業はマクロ経済学であれ
ミクロ経済学であれとても重要なものになってきます。
なぜ重要なのでしょう?
上記図の直角三角形における角度を求めるという作業が
経済学の中ではすごく大事な作業になってきます。
数学に詳しい人なら角度の求め方はわかるでしょう。
ここの角度は$\frac{ΔP}{ΔD} $
ΔDは上記三角形の底辺を表していて、
ΔPは上記三角形の高さを表しています。
つまり上記直角三角形の角度は
$\frac{ΔP(高さ)}{ΔD(底辺)} $となります。
これをよく覚えておきましょう。
しかもここで求めた角度のことを傾きと呼ぶこともあります。
$\frac{ΔP(高さ)}{ΔD(底辺)} $=傾きということです。
と考えると傾きというのは
弾力性と無関係でないことがわかりますね。
需要の価格弾力性εD=ー$\frac{ΔD}{ΔP} $×$\frac{P}{D} $
において$\frac{ΔD}{ΔP} $の部分ですが、
傾き=$\frac{ΔP(高さ)}{ΔD(底辺)} $ですから
傾きと見比べてみるとちょうど傾きの分子分母をちょうどひっくり返したものと同じになっています。
つまり需要の価格弾力性εD=ー$\frac{ΔD}{ΔP} $×$\frac{P}{D} $
における$\frac{ΔD}{ΔP} $というのは傾きの逆数だということです。
逆数とは分子と分母をひっくり返した数のことです。
だから傾きが大きければ大きいほど
反対に弾力性は小さくなりますし、
傾きが小さければ小さいほど弾力性は大きくなるということがここからいえますね。
以上で需要の価格弾力性についての解説を終わります。