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一般知識

アメリカの政治体制についてわかりやすく解説

アメリカ 政治体制




この記事ではアメリカの政治体制についてわかりやすく解説します。

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アメリカの政治体制

アメリカの政治体制(1)基本原理

アメリカは連邦共和制です。
以下の記事の中の単一国家と連邦国家の違いについて解説たときに
簡単に連邦制について触れています。
興味がありましたらこちらもご覧ください。
議院内閣制と大統領制の違い

連邦制というのは国の中に支分国がいっぱいつまっているんでしたね。
共和制というのは選挙でもって元首を選ぶんでしたね。

それからアメリカ合衆国の憲法は世界最古の成文憲法典です。
1787年なのでフランス革命より2年早いです。

あと厳格な権力分立制をとっているというのも
アメリカの政治体制を語るうえでは重要でしょう。
とくに行政権と立法権がきっちりと区分されているという点
などいろいろなところから厳格な権力分立制をとっています。

アメリカの政治体制(2)大統領制

アメリカの政治体制の典型といったら大統領制でしょう。
アメリカの大統領は国家元首であり行政権の長です。
高級官吏の任命ということでもって
役所のトップクラスの人事というのを大統領が自分で行っていきます。

それから連邦最高裁判所判事の任命も行っていますが、
上院の助言と承認が必要です。
『上院の助言と承認』という点から『上院の優越』という間違った表現をする方がいます。
でもこれは間違いです。

アメリカ合衆国は日本と違って両院対等な関係です。
日本みたいに衆議院の優越みたい話はありません。

アメリカの場合、どっちが優越しているか?ではなくて
仕事に関して上院がする仕事、下院がする仕事といった感じで
役割分担がしっかりとされているだけの話です。

こういった高級官吏の任命や連邦最高裁判所判事の大統領人事に対して
助言や承認を与えるのは上院の仕事だったりするわけです。

それから大統領選挙人団による間接選挙によって大統領は選出されます。

また大統領の任期は4年で3選は禁止されています。
なのでバイデンさんは2023年6月現在1期目なので
次の大統領選挙にも立候補できます。

それから大統領選挙には予備選挙なるものがあります。
予備選挙とは党内の大統領候補者を選び出すその選挙の準備のことです。
で、決まるのが8月です。

8月になるとだいたい共和党の大統領候補、
民主党の大統領候補が出てきて一騎討ということになります。

そして11月に投票ということが一般的です。
スーパーチューズデーというふうに言われたりします。

そうやって大統領が決まっていくのですが
ちょっとややこしいことがあります。
ここまでで実質決まるだけです。
形式的にちゃんとした形で決まるのは翌月だったりするわけです。

そこで誰が投票するのか?といったら
大統領選挙人が実際の投票を行うということになっています。

それから大統領は反逆罪で弾劾裁判を受ける以外は
議会から責任を追及されません。
すなわち議会は大統領を「やめろ」と不信任決議案を出せないってことです。
アメリカの大統領は任期いっぱい4年間しっかりやるということになります。

逆に大統領も議会を解散させることはできません。
ここが日本の議院内閣制とはまったく違いますね。
こういうところがアメリカの厳格な権力分立だと言われる理由です。

それからアメリカの大統領は議会に対して一般法案や予算法案を提出することができません。
でもこれもまた厳格な権力分立の表れなのです。
では一切議会に対して手を出せないのか?
というとそんなこともありません。

教書(きょうしょ)という形で手を打つことができます。
教書とはメッセージの事です。
議会に対して「ああして欲しい、こうして欲しい」という形で
自分の政策を展開する中で「これどうしても必要だからやってほしいのですが」
と議会に頼むのがメッセージ(教書)だと思ってください。

大統領は法案や予算案が出せない代わりに
措置として教書があるということを知っておきましょう。

それから大統領には拒否権があります。
大統領は立法権を行うことができません。
でも大統領は議会が通してきた大統領から見たら変な嫌な法律というのを
絶対に執行しないといけないわけではありません。
法案を受け取ってから10日以内であれば
大統領は拒否権を行使できます。

これに対して上下両院が3分の2以上の特別多数でもって
同一の法案を再可決した場合には
大統領がいくら拒否権を行使しても法律になります。
このことをオーバーライドっていいます。

オーバーライドは日本の地方自治でも登場する用語なので
ぜひ覚えておいてください。

そして大統領の拒否権、オーバーライドは
アメリカの権力分立の一環であります。

こんな感じで最初から議会と大統領でケンカのやり方が決まっています。

以前の記事で大統領制と議院内閣制の違いについて解説したものがあるので
興味のある方はこちらもあわせてご覧ください。
議院内閣制と大統領制の違い

アメリカの政治体制(3)大統領選挙

例えば大統領選挙人5人の州と大統領選挙人2人の州があったとしましょう。
大統領選挙人というのがいて
その州ごとに人数が違います。
有権者は誰に投票するか?といったら「バイデンさん」とか「トランプさん」
といった形で投票するわけではありません。

大統領選挙人に対する投票ということになります。

たとえば大統領選挙人5人の州は共和党が6万票、民主党が5万票
みたいにとったとします。

そしたら当然共和党が勝ちと通常はなります。

これに対して大統領選挙人2人の州は
共和党が18000人で民主党が5万人だったとします。
だから民主党が買ったとします。

そうすると民主党の表は合計5万+5万=10万票
共和党の表は合計6万+18000=7万8000票となります。

これって民主党の勝ち?
って言ったらそうではありません。

たとえば大統領の選挙人5人の州においては共和党が勝ちましたね。
これによって5人の選挙人を全員ゲットできるのです。

同じように大統領選挙人2人の州においては
民主党が買ったので2人の選挙人をゲットすることになります。

大統領選挙人の数では共和党5人、民主党2人で
民主党が負けています。

アメリカ合衆国は得票数ではなくて選挙人の数を重んじます
だから選挙人をどれだけ多くゲットしたか?で決まるってことです。
今回の例では得票数は少ないけど共和党の勝利になってしまいます。

一応、勝った陣営が選挙人を全員確保することになります。

たとえば、民主党が5万人で共和党が6万人だから
分けたらいいじゃないか?
つまり、共和党が3で民主党を2にしたらいいじゃないか?
みたいな話です。

確かにそういう州もあります。2州あります。
ネブラスカ州とメーン州は選挙人総どりでない珍しい州です。

しかし圧倒的に多くの州が
ちょっとでも勝った方が全部どりをやっています。

結果として得票数は民主党の方が上待っているのにも関わらず
共和党の方が勝ってしまって大統領の座をゲットするということがあったりします。
実際にあったりします。

トランプさんとヒラリーさんのときがそうでした。

アメリカの政治体制(4)連邦議会

連邦議会は二院制です。

連邦議会の二院制とは

・上院・・・州を基礎とする
・下院・・・人口を基礎とする

のことです。

議会の行政権からの独立性が高いのが特徴です。
具体的には法案提出権は議員のみということ
それから閣僚と議員の掛け持ち(兼職)は禁止になっています。

イメージ湧きますか?
行政権と立法権が遮断されているということです。

それから上院の定数は100人で任期は6年です。
そして各州に2名が配分されています。

アメリカの星条旗

ちなみにアメリカ合衆国の星条旗、
星の数がいくつあるか知ってますか?
50個あります。
この50個に2人ずつ配分されているから
50×2=100名
という覚え方をすると忘れにくいでしょう。

それから上院は2年ごとに定数の約3分の1ずつが改選されます。
日本の参議院は3年ごとに定数の半分が改選されるのがお約束です。
アメリカ合衆国とはちょっと違いますね。

それから下院の定数は435人でイギリスと同じ小選挙区制です。
比例原理というのは一切使わないというところはアメリカやイギリスの面白いところです。
イギリスがどうだったか、覚えていますか?
違いが公務員試験や行政書士試験で問われる可能性が否定できませんから、
しっかりと確認しておきましょう。
イギリスの政治体制についてわかりやすく解説

話を元に戻します。
下院の任期は2年です。
「はや!」って感じですよね。

あと特徴的なことがあります。
両院とも解散がありません。
これはアメリカ合衆国は大統領制であって議院内閣制でないことから出てくる帰結です。
議院内閣制と大統領制の違い

「下院は解散がある」みたいな選択肢があったら間違いですからね。
こういった肢に足元をすくわれないようにしてくださいね。

アメリカの政治体制(5)裁判所

アメリカ裁判所

連邦制の国家ですから州の法律がありますし
連邦の法律があります。
州の憲法があって連邦の憲法があります。

州の最高裁判所があって連邦の最高裁判所があります。
くどかったですかね。
要するにアメリカの裁判所は二元的な構成になっているということです。

どうしてそんな制度になっているか?というと
各州は独自の法律を制定する権限を持っているからです。
支分国ですから当たり前ですよね。

それから日本は三審制ですがアメリカも三審制です。

それから陪審制も広く用いられています。
今後の記事で陪審制と裁判員制度との違いについて解説しますが、
陪審制は有罪か無罪かだけ、すなわち事実の判定だけやっていくという違いがあります。
裁判員はもっと深くやります。
たとえば裁判員は刑を決めたりってこともやります。

それからアメリカは違憲立法審査権の母国です。
ですが、憲法に明示規定がありません。
日本国憲法には81条に違憲立法審査権があるということが規定されています。
でもアメリカ合衆国の憲法には違憲審査権について何にも書いてありません。
ではどうやって確立したのでしょう?
判例でアメリカの違憲立法審査権は確立しました。

もう少し詳しく解説しますと
1803年2月24日マーベリー対マディソン事件判決です。

とりあえずアメリカの違憲立法審査権は
憲法に明文規定がなく判例法で確立しているということは
知っておいてくださいね。

以上で解説を終わります。