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一般知識

同心円地帯理論とは?わかりやすく解説

同心円地帯理論 わかりやすく




今回の記事では同心円地帯理論とは何か?分かりやすく解説していきます。

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同心円地帯理論とは?

同心円地帯理論はシカゴ学派のバージェスさんが主張した理論です。
シカゴ学派については前回の記事で詳しく解説しています。
シカゴ学派の都市社会学についてわかりやすく解説
同心円というのは以下の図をご覧ください。

バージェスが書いた本も以前解説したパークと同じ本です。
シカゴ学派パークによる社会学の特徴

三人の共著者の中の1人がバージェスです。
バージェスの様々な都市の理論の中で最も有名なのが同心円地帯理論です。

同心円地帯理論 わかりやすく

同心円地帯理論はシカゴという都市が
どうやって拡大発展していったのか?

同心円的により郊外へ郊外へと発展した。
それを1つのモデルとして取り扱って
同心円地帯理論という形でまとめていきました。

同心円とは方向は無関係で、
単純に中心からの距離によって利用形態が変わること
です。

たとえば1番の真ん中は都心地域と呼ばれるところです。
都市の中心となっているところです。
中央のビジネス街で銀行とか公官庁とか劇場とか。
その都市においてもっとも重要で華やかなそういうものが
集中してあるのが1番の都心地域と呼ばれるところです。

基本的には人は住んでいない非居住地域ということになります。
そりゃそうですよね。
デパートのすぐ隣に人は住みませんよね。
東京や大阪でも考えてみてください。
そういう都心地域は昼間、そこに集まって仕事とかショッピングとか
する人が多いですよね。

でも仕事やショッピングが終わったら自分が住んでいるところに帰っていきます。
だから都心地域には人は基本的には住んでいません。

都心地域という1番から始めってより郊外へ郊外へという形で
都市というものは発展していくというのが同心円地帯理論です。
同心円的にどんどん拡大していくということです。

バージェスの問題意識というのは
以前解説したパークと同じような問題意識を持っています。
シカゴ学派パークによる社会学の特徴

1つは人間生態学という問題意識を共有しています。
さらには都市は生きた社会的な実験室である。
そういう問題意識もバージェスは同じように持っています。

ということはパークが人間生態学とか
社会的実験室という言葉を最初に使ったけど、
それはシカゴ学派全体の共通の言葉でもあるということです。

ただ単にパークが最初に人間生態学とか社会的実験室という言葉を使ったにすぎません。
バージェスも同じような問題意識を同様に持っているということです。

ではそれぞれの地域の説明をしていきますね。
まさに人間生態学的な感じですよね。
シカゴという都市のどういうところには
どういう社会階級の人たちが生活していて
その地域は都市においてどんな機能を果たしているのか?
これはまさに人間生態学ですよね。
人間生態学はこちらで解説

同心円地帯理論 わかりやすく

同心円地帯理論|(1)中心業務地区(都心地帯、都心地域) 同心円地帯理論 わかりやすく

すると、都市の中心に位置するのが(上記図の1)中心業務地区になります。
中心業務地域は都心地帯とか都心地域という場合もあります。
書籍によっていろんな言い方がされています。

都心地帯は、先ほど解説したように中央のビジネス街で
基本的には人が住まない非居住地域です。
その都市の中で最も華やかな部分の施設。
都市の中枢的な機能である公官庁。
そういうのが集中しているのが1番の都心地帯です。

町の中心部って歩いている人はいっぱいいますし
いっぱい買い物をしている人がいますけど、この場所に住んでいてノーメイクで
朝っぱらからゴミ出しをする人っていないわけですよ。

一般的に、町の中心部はビジネス街になっていて、
いろんな官公庁とかデパートが立ち並んでいることが多いです。
都心って、立ちながら友達と一緒にハンバーガーを食べたりするので
落ちた食べ物をネズミが食べることがあり、
すごいネズミもいますよね。

そんな中心部に住みたいなんて思いませんよね!?
私は住みたくありませんよ。

同心円地帯理論|(2)遷移地帯

同心円地帯理論 わかりやすく

中心からちょっと外側の2のエリアを遷移地帯(せんいちたい)といいます。
遷都(せんと)という言葉がありますね。
たとえば歴史でいったら平安遷都とか。

都市が変わる、都が変わることを遷都するといいますね。
まさに土地利用が不安定で常に変わっていくのが2番の遷移地帯ということになります。

英語で書くと『Zone in Transition』です。
なので、移り変わりの激しい場所という意味になります。
どんどん移り変わっていく場所ということです。

バージェスによると2番目の遷移地帯は『移民が最初に居住するどん底社会である』といいました。
「中心部の隣だったら、誰もが住みたい町なんじゃないの?」
って疑問に感じた方もいるかもしれませんね。

まぁまぁ、最後まで話を聞いてくださいね。

こちらの記事で解説しましたがシカゴという都市は
いろんな地域から人々が働くためにやってきます。
シカゴ学派の都市社会学についてわかりやすく解説

そのときに最初に流入する地域が2番の遷移地帯です。
遷移地帯は土地利用が不安定でスラム街もあります。
ということは家賃が安いということです。
あまりお金を持っていないような同じような境遇な人が
最初に移り変わるにはもっとも適した地域です。
シカゴという都市に人が入ってくるときは2番の遷移地帯に流入してくるということです。

ということはお金を持っていない人が
たくさん2番の遷移地帯にやってくるわけですから
公衆衛生もよくないし、犯罪とか非行とか
様々な都市問題が集中して起こるところが遷移地帯ということになります。

もっともお金のない人たちが遷移地帯に住み着くということです。

移民はやってきてもなかなか仕事に就くことができません。
そこでだいたい最初にやるような仕事は
たとえば電車の棚を見て、そこで読み捨てられている雑誌を拾ってきて
駅前で安く売るような感じです。

これだったら会社に雇われなくてもできますからね。
こうやって移民はなんとか一生懸命生きているわけですよ。

ただ、こういった雑業(新聞や雑誌を拾って売る仕事)というのは
町の中心部でないとありません。
郊外にはありません。
だって郊外だったら住民はいますけど、中心部より人がいないし
電車も通ってないことがあるので、棚に捨てられた雑誌や新聞もありませんから
どう考えても雑業が成り立ちません。

だから町の中心部に仕事に行かないといけないわけですが、
移民はお金がないので遠くに住めないわけです。
遠くに住んだら電車賃などの交通費がかかるじゃないですか。

かといって、根性でめっちゃ遠くから歩いて中心部の職場に向かうのは大変ですよ。
歩きだったら1日かかってやっと中心部に到着ってこともあるかもしれません。
そうなったら仕事できませんよね。

なので、仕事がたくさんある都市中心部に近い、
歩いて行けるくらいの場所に住むしかありません。

とはいえ、遷移地帯って町の中心部に近いので土地の値段は高いです。
高いから普通だったら住めません。

ただ、同心円地帯理論ができたような19世紀から20世紀初めころというのは
空気も水も汚かったです。ネズミもいたことでしょう。

だから普通の人は都市中心部に住みたくありません。
仕事があるから仕方なく都市中心部に行っているけど、
こんな生活環境に住みたくないから空き地が多いです。

そういった空き地を不等占拠したりして
事実上、居住地行くにしていきました。
またこのような移民地域には飲食店街ができたりします。
移民というのは飲食店を始めることが多いです。

普通に労働するより飲食店をやった方が割がいいからです。
単なる肉体労働者であればイタリア系移民であろうが、中国系移民であろうが
ポーランド系移民であろうが何も変わりません。

これが料理となると
中国系移民が家庭料理を作ったとしてもシカゴだと珍しいわけです。
中華料理ですから。
イタリア系移民が料理を作るとイタリア料理となるので
シカゴでは珍しいわけです。

だから東京新宿の歌舞伎町あたりには韓国系料理がたくさんあったりしますし
横浜だと中華街がありますが、
こんな感じで中心部のちょっとはずれには移民系の人たちの料理店が
たくさん並んでいることが多いです。

というわけで移民の人たちは飲食店を経営することが多かったりするわけです。

ということで
そういう危ないところに例えば定職を持った人たちが住みたいと思いますか?
嫌ですよね。
常に非行とか犯罪が多発していて
公衆衛生もよくないところにずっと住みたいと思いませんよね。
ということは定職を持った人たちは2番から
より郊外の外側の3番へと移り住んでいきたいと思うわけです。

同心円地帯理論|(3)労働者住宅地帯

同心円地帯理論 わかりやすく

さらに外側3番目のエリアに成り立つのが労働者住宅地帯です。
これは通勤に便利な場所で、移民2世が居住します。
主にヨーロッパからアメリカに移民が進んでいったのですが、
時代によって移民先の元の国は違います。

ざっくりいうと北西ヨーロッパから南ヨーロッパへ
とか、プロテスタント地域からカトリック地域へという感じで
だんだん移民のメインが変わってきます。

たとえばドイツ系移民とイタリア系移民を比較すると
ドイツ系移民の方が早かったです。

そのあと何十年かたってイタリア系移民が入ってくるわけです。
シカゴはこんな感じで移民がたくさん来たので人口が急増したわけです。

同心円地帯理論 わかりやすく

最初はドイツ系移民だってお金がありません。
だから2番目のエリアに最初は住んで、頑張っていくわけです。
そのあと何十年かたってイタリア系移民が入ってきます。
イタリア系移民が入ってきたとしても、もともとはドイツ系移民の方が多いです。
だからイタリア系移民が入ってきてもドイツ系移民は何の影響もありません。
でも、イタリア系移民が少しずつ増えてくると
なかにはマフィアになる人が出てくるわけです。

もともとはシチリア島の家族集団を指す言葉でしたが
シカゴにいってギャング団になります。
アルカポネという有名なギャングがいますが、
彼もイタリアからの移民でシカゴでギャングになった人です。

最初のころは仕方がありませんが
ドイツ系移民も子供くらいの世代になるとお金がたまってきます。
だったら都心近くの空気も水も汚い生活環境が悪い場所じゃなくて
もう少し外側の場所に引っ越そうということで3番目のエリアにうつっていくわけです。

別の視点から3番の労働者住宅地帯について解説しますね。

労働者には

・頭脳労働者
・肉体労働者

の2種類あります。

この労働者住宅地帯で住んでいる人たちは
肉体労働者です。
工場の現場で働く作業員の人たちです。
額に汗しながら油まみれになって働く人たちです。
いわゆるブルーカラーと呼ばれる人たちが住む場所になります。

同心円地帯理論|(4)中流階級居住地帯(住宅地帯)

同心円地帯理論 わかりやすく

ブルーカラーとの間に一線を画そうとする人たちがいます。
自分たちは学歴も高いし収入も多いし
なんせやってる仕事が知的な労働に携わっている。
雇用された知的な仕事に携わっている人たち。
それはホワイトカラーと呼ばれる人たちですね。

そういったホワイトカラーと呼ばれる人たちが住むところが4番の住宅地帯です。
住宅地帯は中流階級居住地帯いわれたりもします。

ということなので4番は中流階級の人たちが住む地域ということです。
かつて中流階級の人たちが住んでいる地域は1番から4番のどれに該当するか?
みたいな問題が公務員試験で出題されたことがあります。
ここまで読んでくれていたら即答できますね。

話を元に戻しますね。
中流階級という言葉は翻訳した人がつけた意訳です。
そもそも英語では『Residential Zone(日本語だと住宅地)』ですから。

中流階級居住地帯は広い土地や豊かな緑がある環境的によい住宅地です。
そんな場所なので高級マンションであったり一戸建ての家が多いです。
中流というとお金持ちっぽい感じがしますね。

英語で中流というのは裕福な層を指す言葉です。
たとえば会社の社長はアッパーミドルクラスといったりしますからね。

同心円地帯理論|(5)通勤者地帯

同心円地帯理論 わかりやすく

一番外側に位置する5番が通勤者地帯です。
中心の1番から30分から60分の距離にあって田園風景が広がっているような地域です。

アメリカの社会でよく成功した人間を描く場合、
都市の郊外の一戸建てでプール付きの家というのが
ハリウッドの映画などで出てきますよね。

まさに都市において経済的に成功をおさめた人が住みつくのが
最後の5番ということになります。
上流階級の居住地域が5番ですが
それを言い表す言葉が『通勤者地帯』です(苦笑)。
通勤者地帯と言うことになると、
日本的な感覚からすると通勤定期を持った平均的な
サラリーマンが住んでいるというそういう意味で感じてしまいますよね。
でも、そういう意味ではありません。

5番の通勤者地帯というのは上流階級。
だから黒塗りの車を例えば自分で運転するとか、
あるいは運転手がいて自分は後部座席に座っているような
そういうリッチな人々を思い浮かべてくださいね。
上流階級ですからね。

ということで5番の通勤者地帯というのは上流階級の居住地域ということです。

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同心円地帯理論とは?まとめ

同心円地帯理論 わかりやすく

以上のような形でどんどん都市が郊外へ郊外へと発展していきます。
これを同心円地帯理論という形でバージェスはまとめました。

ざっくりいうと外側に行けば行くほど
生活レベルが上がっていくイメージです。
つまり都会のど真ん中なんて空気も水も汚くてとても人が住むような場所ではありません。

移民たちは他に行く場所がないから我慢するしかないし
交通費も払えないので、仕事がある中心部の歩いて行けるくらいのすぐ近所に住むしかありません。
でも、お金がある人たちは電車に乗ったり自家用車で通勤してもOKです。

なので仕事のために仕方なく中心部(1)に行くわけですが、
普通のときは郊外の空気のきれいな場所に住んで生活する形です。
ですから外に行けば行くほど生活レベルが上がるということです。

こんな感じで同心円、中心からの距離によって生活形態が変わる
この構造自体は変わらないわけですが、中身はどんどん入れ替わります。
2番目のエリアにはドイツ系移民が最初に入ったけど、
そのあとイタリア系移民が入ってきて競争関係になり
最後はドイツ系移民は外に出ていきます。

中身は競争関係で入れ替わるわけですが、
中心からの距離によって生活形態、都市構造が変わるということ自体は不変だということです。
これはわかりやすかったので、受けがよかったようです。

同心円地帯理論 わかりやすく

東京特別区は例えば中流階級の人たちは
どこに住んでいるか?ということを言い当てるだけでなくて
1番から5番のところを括弧でくりぬいていて
それぞれ正しい組み合わせを述べなさい見たいな問題が出題されたりします。
特別区は図表が大好きなようです。

だから上記図表は出題される可能性があります。
どこに何が該当するか、ちゃんとわかるようにしておきましょう。
覚え方としてはより郊外に行けば行くほどリッチな人が住んでいると思えばよいです。

ところで、この同心円地帯理論を批判する人も出てきました。
それで出てきたのが扇形モデルです。

次の記事では扇形モデルについて解説します。
扇形モデルとは?わかりやすく解説について解説します。