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一般知識

マートンの逸脱行動についてわかりやすく解説

マートンの逸脱行動についてわかりやすく解説




社会学の世界には、
人々の行動に影響を与えるさまざまな理論が存在します。
その中でも、マートンの逸脱行動理論は、
なぜ人々が社会のルールや規範から逸脱するのかを理解する上で非常に重要です。

この記事では、マートンが提唱する逸脱行動の概念を、
具体例を交えながらわかりやすく解説していきます。

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マートンの逸脱行動

アメリカンドリーム


マートンさんはアメリカの社会を調べました。
彼の研究では、人々が目指す大切な夢と、
その夢を実現する正しい方法が合わないことが分かりました。
この不一致が、「アノミー」と呼ばれる混乱の大きな原因です。
「アノミー」とは、ルールがないごちゃごちゃした状態のことです。
アノミーについてはこちらの記事で解説しています。
アノミーとは?例を挙げながらわかりやすく解説

アメリカには「アメリカンドリーム」という夢があります。
この夢は、最初は何もないけれど、
アメリカでお金をたくさん稼ぎ、成功することです。
多くの人がこの夢を追っています。

失敗した人

しかし、この夢を実現する方法は人によって異なります。
お金持ちの家の人や裕福な人には多くの方法があります。
しかし、働き手やお金のない人には、その方法がほとんどありません。
そのため、正しい方法で夢を叶えられない人は、
悪いことをしてでもお金を手に入れようとします。
例えば、盗みをします。

このような状態は、社会で多くの問題を引き起こします。
正しい方法でお金を稼げない人々は、悪い方法を使ってしまいます。
これが、アメリカで犯罪が多い理由の一つです。
マートンさんによると、アメリカではお金を稼ぐことが重要視されています。
しかし、そのための正しい方法を守ることがあまり重視されていません。
お金持ちには稼ぐ方法がたくさんありますが、
お金がない人にはほとんどありません。
この状況が問題を悪化させています。
マートンさんは、この問題にどう対処するかも分析しました。
それがマートンの逸脱行動の類型とよばれるものです。

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マートンの逸脱行動の類型

類型(1)同調

同調とは、お金をたくさん稼ぐという夢を自分の目標として受け入れることです。
つまり、「私もお金持ちになりたい」と思うわけです。
そして、その夢を叶えるためには、真面目に努力して、
ルールに従った方法でお金を稼がなければなりません。
ルールを守ってお金を稼ぐことも大切にするんです。

これは悪いことをするわけではないので、
問題のある行動ではありません。
むしろ、お金持ちになるために一生懸命努力する人は、
良い市民の見本です。

アメリカの夢を実現しようとする人は、
このような考え方を持つべきです。
だから、これは問題のある行動ではなく、
ルールを破るようなこともありません。

同調の具体例

たとえば、サッカー選手になりたい中学生がいるとします。
この子は、お金持ちになるという夢を持っていて、
サッカー選手になることでその夢を叶えたいと考えています。
同調の考え方では、この子はまず、サッカー選手になるために必要なこと、
つまり上手になるための練習や健康管理を真面目に行うことを受け入れます。
この場合、真面目に努力することは、
サッカー選手として成功し、
夢であるお金持ちになるための「ルールに従った方法」と言えます。

この子が悪いこと、
例えばルールを破ったり不正をしてまでお金持ちになろうとは考えません。
なぜなら、正しい方法で夢を追い求めているからです。
このように、目標を持ち、その目標に向かって正しい方法で努力することは、
問題のある行動ではなく、むしろ良い市民の行動と言えます。

類型(2)革新

革新


問題は2つ目からです。
2つ目は革新です。
革新とは、お金持ちになりたいという夢は持っているけど、
ルールに従ったやり方ではなく、
ダメな方法でお金を手に入れようとする考え方です。
つまり、「お金持ちになりたいけど、
正しい方法ではなく、悪い方法でお金を稼ごう」と思うんです。

たとえば、強盗をする人がこれに当たります。
犯罪をする人の多くは、このように正しい方法ではなく、
悪い方法でお金持ちになろうとしているんです。

類型(3)儀礼主義

3つ目は儀礼主義です。
儀礼主義

儀礼主義とは、お金をたくさん稼ぐことや
大成功を目指す夢にはあまり興味を示さないけれど、
ルールにはしっかり従う考え方のことです。
公務員の人がいい例です。

公務員の人は、上司が言うことを外から見るとちゃんと
聞いているように見えますが、
心の中では実は上司の言うことに納得していないことがあります。
でも、他の人から見ると、その公務員は一生懸命働いているように見えます。
このように、心の中で思っていることと外に見せている行動が違うことを指します。

例えば、この公務員は上司から新しいプロジェクトの提案を受けた時、
表面上は「はい、やります」と言いますが、
心の中では「これは本当に意味があるのかな?
自分にとってはあまり重要じゃないかも」
と思っているかもしれません。

つまり、彼らは仕事をする上でのルールや手続きはきちんと守りますが、
その仕事に対する本当の興味や情熱はそれほど高くない
というわけです。
外から見たら一生懸命働いているように見えますが、
本人の心の中では別の考えを持っているんです。

類型(4)逃避主義

4つ目は逃避主義と呼ばれる人たちです。
逃避主義とは、社会の一般的な目標や、
それを達成するための方法を拒否する考え方です。
つまり、お金持ちになることや、真面目に働くことなど、
社会が大切にしている価値を受け入れず、
社会のルールから離れた生活を選ぶ人たちのことを言います。

こんな人たちは、社会の普通の流れから離れて、
自分の世界で生活しています。
ホームレスの人たちは、この逃避主義の例としてよく挙げられます。
彼らは、家族のために働くとか、何か大きな目標のために頑張るということもせず、
社会の一般的なルールや仕組みから離れた生活をしています。
ホームレスの人たちは逃避主義の一例ですが、
他にもいくつか例を挙げてみましょう。

逃避主義の具体例:ヒッピー運動

ヒッピー運動

1960年代に起こったヒッピー運動の人々も逃避主義の一例です。
彼らは戦争や消費社会を拒否し、
平和や愛、自然との調和を重んじる生活を選びました。
彼らは一般的な仕事を持つことを拒否し、
コミューンで共同生活をしたり、
音楽や芸術に身を投じたりしました。

逃避主義の具体例:ニート

社会から引きこもって、仕事にも学校にも行かず、
家族との関わり以外で社会との接触を持たない若者たちも、
ある意味で逃避主義と言えます。
彼らは社会が定める「成功」という目標や、
そのための「努力」という手段を拒否しています。

これらの例から分かるように、
逃避主義は社会の主流の価値や目標から距離を置き、
異なる価値観や生き方を選ぶことを意味します。
社会的なルールや目標に従わず、
自分なりの方法で生きる道を選んだ人たちのことです。

類型(5)反抗

それから最後、反抗と呼ばれる類型があります。
反抗というのは、社会が大切にしている通常の目標を拒否して、
自分たちで新しい目標を作り出す考え方です。
たとえば、お金をたくさん稼ぐことを目指す代わりに、
みんなが自由で平等な社会を目指すことを新しい目標として立てます。

環境活動家

そして、その新しい目標を達成するためには、
普通の方法を使わず、
時には革命のような大きな変化を起こす方法を選ぶこともあります。
この考え方を持つ人たちは、例えば革命家のような人たちです。
彼らは既存のルールややり方に従わず、
新しい社会を作るために大きな変化を起こそうとします。

反抗のもう一つの具体例を紹介します。
環境保護活動家も反抗の一例です。
彼らは、経済成長や産業発展といった既存の文化的目標を拒否し、
代わりに環境保護や持続可能な社会の構築という新しい目標を設定します。
たとえば、大企業が行う環境に害を与える活動に反対し、
政府や社会に変化を求めるデモやキャンペーンを行います。

このような活動家たちは、既存の政治的手段や法律を使うだけではなく、
時には直接行動や抗議活動といった、
より積極的で衝撃的な手段を選ぶこともあります。
彼らの目的は、環境に優しい政策の実施や、社会全体の意識変革を促すことにあります。

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マートンの逸脱行動の類型まとめ

革新と儀礼主義と逃避主義と反抗という4つの類型は
逸脱行為、あるいは逸脱行動に類型化されます。
ということは同調だけが逸脱校ではありません。
革新も儀礼主義も逃避主義も反抗も逸脱行動に該当します。
以上は大事なので、公務員試験受験生は類型を絶対に覚えておきましょう。

今回の解説は以上になります。
最後までご覧いただきありがとうございました。