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「クモの巣調整過程って何だろう?」
この記事では、図解を用いて市場均衡の仕組みをわかりやすく解説します。
グラフを見ながら、クモの巣調整過程の基本を楽しく学びましょう。
クモの巣調整過程とは?
クモの巣調整過程というのは、
くもの巣と呼ばれる調整メカニズムのことです。
縦軸に価格P、横軸に数量Xを取ります。
そして、ここに需要曲線と供給曲線を書きます。
ここで少し注意が必要なのは、
書き方にコツがあるということです。
まず、右下がりの需要曲線Dと右上がりの供給曲線Sを書きます。
しかし、このとき注意してほしいのは、
供給曲線Sの方が急になるということです。
需要曲線Dと比べると供給曲線の傾きは急になります。
これを意識して書かないと、
グラフがうまく描けなくなるので気をつけてください。
経済学って難しいと感じることも多いですよね。
でも、クモの巣調整過程は、
少し違った視点から見ると理解しやすくなります。
このクモの巣調整過程は、
ワルラス的調整過程やマーシャル的調整過程とは異なります。
⇒ワルラス的調整過程とは?わかりやすく解説
⇒マーシャル的調整過程とは?グラフの見方についても解説
なぜなら、このくもの巣調整過程では時間を考慮するからです。
価格が上がったり下がったり、
数量が増えたり減ったりするのに時間がかかりますよね。
この時間の要素を明示的に考慮に入れたのがクモの巣調整過程です。
経済学は複雑ですが、ゆっくりと一つ一つのステップを理解していくと、
だんだんとその面白さが見えてくるはずです。
焦らず、一緒に学んでいきましょう。
例えば、1つの例を挙げて、
この時間について考えてみましょう。
例として、生鮮食品、特に野菜について考えてみましょう。
野菜はわかりやすい例ですので、ぜひ一緒に考えてみてください。
時間の特徴(1)生産に時間がかかる
野菜を例にすると、1つ重要な特徴があります。
それは、生産に時間がかかるということです。
たとえば、今キャベツがすごく高く売れているとしましょう。
そんなとき、「明日、キャベツを大量に増産しよう!」
と思っても、すぐにできるわけではありませんよね。
野菜は苗や種を植えて、それを半年、
あるいは1年かけて育てて収穫するものです。
「明日欲しい!」からといってすぐに作れるものではありません。
ここが、少し複雑に感じるところかもしれませんが、
大丈夫です、一緒に考えていきましょう。
経済学的に考えると、
何をどれだけ作るかは価格を見て決めます。
価格が高ければたくさん作り、
価格が安ければあまり作らないという判断をします。
しかし、その判断をする際に、
生鮮食品である野菜については少し違った考え方が必要です。
今期の生産量S1は、前期の価格P0を参考に決めるのです。
つまり、野菜を作るときには、
「今年の値段が高いから今年たくさん作る」というわけではなく、
「去年高く売れたから今年たくさん作ろう」
あるいは「去年安くしか売れなかったから、
今年はあまり作らないでおこう」といったように、
前の年の価格を見て今年の生産量を決めます。
例えば、「今年安くしか売れなかったら来年は少なく作っておこう」、
「今年高く売れたから、来年はもっとたくさん作ろう」というように、
前の期の価格を前提として次の生産量を決めるのが、
生鮮食品の特徴です。
経済学は時に難しく感じるかもしれませんが、
このように具体的な例を使って考えると、
少しずつ理解が深まるはずです。一緒に頑張りましょう。
時間の特徴(2)保管ができない
それからもう1つの特徴があります。
それは、保管ができないということです。
ニンジンはそうですよね。
例えば、北海道の農家のおじいさんが、
今年たくさんのニンジンを収穫したとしましょう。
北海道では、ニンジンの種を5月に植えて、10月に収穫します。
でも、もしそのニンジンが売れ残ってしまったらどうでしょうか。
「このニンジンを倉庫にしまっておいて、来年売ろう!」
なんてことはできませんよね。
ニンジンは時間が経つと、冬が終わる頃には腐ってしまいますから。
だから、保管ができないという特徴もあるのです。
ここからわかることとしては、今期の生産量S1という数量は、
今期の需要価格で売り尽くさなければならないということです。
つまり、今期に生産した分はすべて、
今期の需要価格の水準で売らなければならないのです。
需要価格というのは、消費者が払ってもよいと考える上限の価格のことです。
この需要価格を超えて販売することはできません。
だから、今期に生産した分は、
消費者が払ってもよいと考える価格水準で、
すべて売り尽くさなければならないのです。
なぜなら、保管ができないからです。
経済学は時に難しく感じるかもしれませんが、
このような具体的な例を使うと少しわかりやすくなると思います。
これで、ニンジンの生産と価格の関係が少し理解できたでしょうか。
くもの巣調整過程の作図(グラフ)を作ってみよう
以上の2つの特徴、すなわち「生産に時間がかかること」
と「保管ができないこと」を覚えておくと、
クモの巣調整過程がもっと理解しやすくなります。
経済学の学びはゆっくりと、
一歩ずつ進めていきましょう。
さて、こうした2つの特徴があるとき、
市場ではどのような調整メカニズムが働くのでしょうか?
それを考えていきましょう。
例えば、価格の水準がP0と決まっているとしましょう。
そして、その価格から右へ行って
供給曲線とぶつかるところで生産量が決定します。
これを第0期としましょう。
第0期の値段がP0の水準だから、
供給曲線Sとぶつかった横軸の値、
S1という生産量を決めることになります。
さて、このようにして生産したとき、
消費者はいったいどれくらい支払う用意があるでしょうか?
最大限どれだけ支払えるかを考えると、
このS1から上へ行って需要曲線とぶつかるところ、
ここで消費者が払っても良いと思う価格、
つまり需要価格が決まります。
これをPD1としましょう。
生産者は、自分の意図に関わらず、
このPD1という価格水準でS1という供給量をすべて売りつくさなければなりません。
次の年、生産者はPD1という価格を前提に供給曲線とぶつかるところ、
つまりS2という次の期の生産量を決定します。
そして、S2で生産されたものに対して、
消費者がどれくらい最大限支払えるかを考えると、
同様に需要曲線とぶつかるところでPD2という新たな需要価格が決まります。
生産者は、S2という生産量をPD2で売りつくさなければならないのです。
さて、今度はこのPD2という価格で商品が売れたわけですから、
今度はPD2という価格を前提に、
右へ行って供給曲線とぶつかるところ、
つまりS3という供給量を決定します。
S3が新たな供給量ということになります。
そして、同じように供給量S3に対して
需要曲線とぶつかるところで新たな需要価格PD3が決まります。
そして、この需要価格PD3をもとに
供給曲線とぶつかるところで新たな供給量S4が決まります。
この動きを繰り返していくのです。
この動きを最初から見ていくと、
P0をスタートとし、供給曲線とぶつかるところ、
そして需要曲線とぶつかるところ、
これを繰り返していきます。
最終的には、需要曲線と供給曲線の交点である
均衡点にたどり着くことになります。
このようにして均衡が実現することをクモの巣調整と呼びますが、
見てみると、まるでくもの巣のような形をしていますよね。
だから、これをクモの巣調整と呼んでいるのです。
公務員試験などの問題では、
ワルラス、マーシャル、クモの巣、この3つの観点から見て、
市場の図が均衡に向かって安定しているか、
あるいは均衡から離れていくかを確認させる問題が多いです。
今回のクモの巣調整では、まずスタート(例:P0)を決めて、
左右に見て供給曲線とぶつかるところを探します。
そして、次に需要曲線とぶつかるところを探します。
これを繰り返して、供給曲線と需要曲線の交点である
均衡点にたどり着くかどうかを確認します。
最初に需要曲線とぶつからないように、
必ず供給曲線から始めてください。
供給と需要を交互に見ていくことで、
均衡にたどり着くかどうかを確認すればOKです。
今回の記事は以上です。経済学の学びは焦らず、
ゆっくりと理解を深めていきましょう。
今回のクモの巣調整過程の解説が、
皆さんの理解を深める手助けになれば嬉しいです。
公務員試験や学部試験を受ける方にとって、
この知識は重要なポイントとなります。
焦らずに一歩一歩、理解を深めていくことが大切です。
疑問があれば、この記事を何度でも読み返してください。
皆さんの健闘を心から応援しています。