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前回の記事ではワルラス的調整過程について解説しました。
⇒ワルラス的調整過程とは?わかりやすく解説
今回はマーシャル的調整過程について解説しますが、
当然、ワルラス的調整過程とは違います。
以下、詳しくみていきましょう。
マーシャル的調整過程とは?グラフを使って解説
ワルラス的調整過程では価格の調整でグラフを見ていきました。
ですがマーシャル的調整過程では数量を調整する形で
グラフを見ていくことになります。
マーシャル的調整過程を使う具体例は農業になります。
たとえば牛乳ってメス牛が妊娠して出産しないとできません。
メス牛は年に何回も妊娠できませんし、
妊娠期間も人間並みに長いです。
こんな感じで作るのにかなりの期間が必要な物に
マーシャル的調整過程を利用することが多いです。
で、先ほども言いましたがマーシャル的調整過程は
数量を中心にグラフを見ていくことになります。
![マーシャル的調整過程](https://www.management-consultant.info/wp-content/plugins/lazy-load/images/1x1.trans.gif)
数量はグラフの横軸です。
「じゃ、横軸を中心に見て行けばいいんですね?」
と思った方がいるかもしれません。
でも違います。
グラフは縦で見ていくことになります。
ワルラス的調整過程はグラフを横に見て行ったので
マーシャル的調整過程と違いますね。
ただ、マーシャル的調整過程はグラフを縦で見ていくことさえ
わかっていれば、あとはワルラス的調整過程と
考え方は同じです。
⇒ワルラス的調整過程とは?わかりやすく解説
つまり、超過供給か超過需要か?という観点から
考えていくということは同じです。
⇒超過需要とは超過供給とは何か?グラフを使って解説
たとえばS(供給)の方がD(需要)より大きいなら
それは超過供給状態といえます。
超過供給だと数量はどうなるでしょうか?
![マーシャル的調整過程](https://www.management-consultant.info/wp-content/plugins/lazy-load/images/1x1.trans.gif)
超過供給は供給(売っている数量)の方が
需要(買いたい数量)より多いわけです。
物が余っています。
だから商品の数量を減らさないといけません。
なので超過供給だと商品の数量が減る動きが発生します。
逆に超過需要だと買いたいと思っている数量(需要)の方が
売りたい数量(供給)より多いわけです。
商品が足りていません。
だから、会社側はどんどん数量を増やそうとしてきます。
マーシャル的調整過程のグラフ
まず生産量がQBのときから見ていきましょう。
マーシャル的調整過程は縦でグラフをみます。
![マーシャル的調整過程](https://www.management-consultant.info/wp-content/plugins/lazy-load/images/1x1.trans.gif)
上記の紫色の線を縦にたどっていくと
会社側(商品を作っている側、供給者側)は
PAの価格で売りたいということがわかります。
でも、買いたい側(需要者)は、、、価格PBでしか
買いません。
![マーシャル的調整過程](https://www.management-consultant.info/wp-content/plugins/lazy-load/images/1x1.trans.gif)
買う側が価格PBでしか買わないわけなので
価格はPBに決まってしまいます。
数量QBを縦にみていくと、S(供給)の方がD(需要)より
大きいですね。
これは超過供給の状態ですね。
超過供給なので物が余っている状態です。
![超過供給](https://www.management-consultant.info/wp-content/plugins/lazy-load/images/1x1.trans.gif)
だから物の数量を減らそうという動きが起こります。
次に数量がQAの場合を見ていきましょう。
これも縦に見ていくことになります。
需要者側は価格PA、供給者側は価格PBとなります。
そして需要(D)の方が供給(S)より大きいので
超過需要となります。
商品が足りない状態なので
数量(生産量)を増やそうとします。
超過供給でも超過需要でも数量はQEに動こうとするので
安定均衡の状態になります。
マーシャル的調整過程(不安定なケース)
次にマーシャル的調整過程の考え方を使って
不安定になるケースをみていきましょう。
不安定なケースは需要曲線(D)と供給曲線(S)が
逆に入れ替わるケースです。
![不安定](https://www.management-consultant.info/wp-content/plugins/lazy-load/images/1x1.trans.gif)
価格が下がれば下がるほど需要が減るという面白いケースです。
具体的にはギッフェン財のケースになります。
⇒ギッフェン財とは?図と例を使ってわかりやすく解説
需要曲線と供給曲線が入れ替わっても
考え方は同じです。
供給量の方が需要量より多いなら超過供給となり
数量は減る方向になります。
供給量の方が需要量よりも少ないなら超過需要となり
数量は増える方向になります。
またマーシャル的調整過程ではグラフは
縦で見るという点も同じです。
では数量がY1のケースから見ていきましょう。
![超過需要](https://www.management-consultant.info/wp-content/plugins/lazy-load/images/1x1.trans.gif)
数量がY1では需要側は価格X1で買いたいと思い
供給側は価格X2で売りたいと思っています。
需要側(買う側)がX1というX2より高い価格で
買ってくれるなら、当然供給者側はX1で販売します。
しかも供給者側にとって、思った価格より
高額で売れていくので数量を増やします。
またグラフより、需要の方が供給より多いので
超過需要状態になっています。
次に数量がY2のケースを見ていきましょう。
![マーシャル的調整過程不安定](https://www.management-consultant.info/wp-content/plugins/lazy-load/images/1x1.trans.gif)
価格がX2だと、供給者側はX1の価格で売りたいけど
需要者側はX2の価格でないと買いません。
なので価格はX2となります。
また、供給の方が需要より大きいので超過供給の状態です。
超過供給、つまり商品が売れ残っているので
生産量(数量)をY2よりさらに減らすことになります。
こんな感じでギッフェン財の場合、
需要曲線と供給曲線の交点(均衡点)から
数量が離れていくので、不安定ですね。
これはワルラス的調整過程と同じですね。
⇒ワルラス的調整過程とは?わかりやすく解説
ワルラス的調整過程とマーシャル的調整過程の違いは?
ここまで解説してきましたが、
あなたはこう思ったかもしれません。
「ワルラスで考えてもマーシャルで考えても
安定するときは安定するし、不安定なときは不安定になる。
だったら、どっちか1つで十分なんじゃないか?」と。
もちろん、ここまでの解説だと
ワルラスでやってもマーシャルでやっても
まったく同じ結果になります。
でもそうならないケースもあるんです。
以下のケースだとワルラス的調整過程と
マーシャル的調整過程では結果が違ってきます。
まずワルラス的調整過程の考え方でみていきましょう。
⇒ワルラス的調整過程とは?わかりやすく解説
![ワルラス的調整過程](https://www.management-consultant.info/wp-content/plugins/lazy-load/images/1x1.trans.gif)
ワルラス的調整過程は横で見ていくんでしたね。
価格がX1のとき、横で見ていくと
D(需要量)の方がS(供給量)より右側にあるので
Dの方が多いです。
なので超過需要です。
超過需要だとどんどん商品が売れていくので
価格はX1よりも上がります。
次にマーシャル的調整過程でみていきましょう。
こちらは縦で見ていくんでしたね。
数量がY1だったらどうなるでしょう?
![ワルラス的調整過程](https://www.management-consultant.info/wp-content/plugins/lazy-load/images/1x1.trans.gif)
今度は縦に見ていきますと
S(供給量)の方がD(需要量)より多いですね。
なので超過供給です。
商品は売れ残っているので
数量をY1より減らすことになります。
安定か不安定かはDとSの交点(均衡点)から
離れているか近づいているかで判断します。
均衡点に近づくなら安定、離れるなら不安定です。
![不安定と安定が混在](https://www.management-consultant.info/wp-content/plugins/lazy-load/images/1x1.trans.gif)
上記のようにワルラス的調整過程では
価格X1は均衡点から離れていっているので不安定です。
ですが、マーシャル的調整過程では
数量Y1が均衡点に近づいているので安定です。
よってワルラス的には不安定、
マーシャル的には安定なので、逆の結果になりました。
こんな感じでワルラス的なやり方とマーシャル的なやり方が
違うので、逆の結果になることもあります。
以上で解説を終わります。